| 2007年01月31日(水) |
被告人に対して被害者が尋問できるようになる |
日経(H19.1.31)1面で、刑事事件の被害者が、法廷で検察官のそばに座り、被告人に直接質問したり、自らが考える量刑を主張したりすることができるようになると報じていた。
しかし、被害者に被告人に対する尋問まで認めると、それは生の被害感情をぶつけるだけになり、私的裁判に近づくのではないかと危惧される。
もちろん、被害者の苦しみは理解できる。
そして、その苦しみを判断者である裁判官に直接訴えることは認められてよいと思う。
しかし、被告人に対する尋問まで認めることは、弊害の方が大きいのではないかと思う。
| 2007年01月30日(火) |
「期待権」というあいまいな権利を認めてもよいか |
日経(H19.1.30)1面で、従軍慰安婦問題を巡る民間法廷を取り上げたNHKの特集番組に取材協力した市民団体が、無断で番組内容を改編されたとして、損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が東京高裁であり、裁判所は「期待権を侵害した」として原告の請求を一部認めたと報じていた。
これは期待した番組が放映されるだろうという期待と、編集の自由との調和の問題であり、難しい問題である。
ただ、本件を判断するにあたり、「期待権」というあいまいな権利を認めて報道機関の編集権を制約することが果たして適切だっただろうかという気はする。
そのような「期待権」というものを観念しなくても、合意違反という構成が可能ではなかったのか。
すなわち、従軍慰安婦問題を巡る民間法廷を放送で取り上げることについて一定の合意があり、そのような合意があるから取材協力したのに、その合意に反して番組内容を改編されたとして、合意違反として捉えることが可能ではなかったかと思うのである。
そうすれば番組編集権の制約という憲法上の問題は生じないだろう。
ただ、このような構成は、憲法問題を回避しているという批判を受けることはあり得る。
| 2007年01月29日(月) |
熟年の離婚予備軍は多い |
日経(H19.1.29)3面に、離婚時の年金額の通知について、3か月で相談が1万5000件に及んだと報じていた。
しかも、相談者の81%が女性からだそうである。
熟年の離婚予備軍は多いと思われるし、私の実感からもそれは言える。。
| 2007年01月26日(金) |
LEC大学の教員のうち6割に勤務実態がない |
日経(H19.1.26)社会面に、LEC大学の教員のうち6割に勤務実態がなく、文部科学省が改善勧告を出したと報じていた。
LECは司法試験予備校として成長した会社であり、私も受験生時代や司法試験合格後にアルバイトしたことがある。
それだけに残念なのだが、「教員の6割に勤務実態がなく、勤務実態がある教員も半数以上が予備校の教員と兼務している」というのだから、ひどい話である。
「大学」とは到底いえないだろう。
| 2007年01月24日(水) |
長野の男女焼死事件の民事事件 |
日経(H19.1.23)社会面で、日経(H19.1.23)社会面で、長野の男女焼死事件の民事事件で、裁判所は、他殺と認定し、保険会社に保険金支払いを命令したと報じていた。
この事件は、男女の焼死死体が見つかったが、保険会社が、自殺であるとして保険金の支払いを拒否したため、遺族が、保険金の支払いを求めて民事訴訟を提起したものである。
捜査は継続しており、刑事事件では自殺か他殺かの判断はなされていない。
民事事件では、被告の保険会社の「自殺であること」の主張は「抗弁」にあたると思われる(保険約款を見ていないので推測ではあるが)。
そうであれば、保険会社が「自殺であること」を立証しなければならない。
新聞記事では、裁判所が他殺であることを積極的に認定したように報じている。
しかし、保険会社が「自殺であること」を立証できなかったことが判断の決め手になったのではないだろうか。
| 2007年01月23日(火) |
納豆業者が損害賠償請求できるか |
日経(H19.1.22)社会面に、情報番組「あるある大辞典�供廚亮存灰如璽燭隣埖ぬ簑蠅如◆嵌崛箸鯊任狙擇蠅悄廚畔鵑犬討い拭�
この番組では、「納豆でやせる」と放映したため、一時スーパーで納豆が売れ切れになり、納豆製造業者に発注が殺到していた。
それが一転して、データが捏造だったということで、発注が取り消されたようで、納豆製造業者は「損害賠償請求したい」と言っているようである。
納豆製造業者が怒る気持ちはよく分かる。
しかし、損害賠償請求は可能なのだろうか。
「納豆でやせる」と放映したことと、納豆製造業者との損害の間には、「納豆でやせる」→購入者が殺到→スーパーなどで売り切れになる→販売業者が通常以上に発注する→納豆製造業者が増産する→データ捏造が発覚→販売業者が発注を取り消す
という因果の流れがある。
相当因果関係の有無は社会通念に従って判断されるから、断定はできないが、これだけの因果の流れがあると、私の感覚としては相当因果関係はないように思う。
なお、相当因果関係の範囲でなくても、特別の事情によって生じた損害でその事情を予見しえた場合には特別損害として請求可能である。
しかし、その事情を予見しえたとはいえないだろう。
もう一つ問題なのは、納豆製造業者が新たに設備投資したのであれば別であるが、短期間でデータ捏造が発覚したので、そのような事情もなく、納豆製造業者に損害がないのではないかと思われることである。
むしろ、一時的には製造した納豆がすべて売り切れているから、利益が出ている可能性さえある。
テレビ番組に振り回された納豆製造業者が怒るのは当然であるが、法的には損害賠償請求は難しいという結論になると思う。
| 2007年01月22日(月) |
新聞は、もう少し正確に書いて欲しい |
日経(H19.1.22)1面の「試される司法」という連載記事に、裁判員に分かりやすくするための様々な工夫をしていることを取り上げていた。
その中で、刑事裁判の裁判官が、「冒頭陳述」という言葉を使わず、「これから検察官に事件のあらましを述べてもらいます」と話すという例を上げていた。
しかし、「冒頭陳述」とは「検察官が立証しようとする事件のあらまし」に過ぎない。
検察官が主張する事件のあらましについて、その後の手続きで、それが事実かどうかを裁判員は判断するのである。
それゆえ、「これから検察官に事件のあらましを述べてもらいます」という言い方は、あたかもそれが事実のように聞こえ、問題である。
おそらく裁判官も、「これから検察官がこれから立証しようとする事件のあらましを述べてもらいます」と言っているのだろう。
新聞はもう少し正確に書いて欲しいと思う。
| 2007年01月19日(金) |
司法修習生16人が不合格 |
日経(H19.1.19)社会面で、「司法修習生16人が不合格」と報じていた。
司法試験に合格しても、修了試験に合格しないと法曹資格は得られない。
修了試験は秋にあり、確か、昨年秋の修了試験では100人近くが不合格になったと思う。
その人たちは卒業留保となって、再度試験を受けたはずであり、それでも合格しなかったのが16人いたということなのだろう。
この人たちが、今後どのような処遇になるのかはよく知らない。
再度修習願いを出し、認められれば一から修習し直しことになるのかもしれない。
いずれにせよ、法曹資格取得目前だっただけに、可哀想な気もする。
| 2007年01月18日(木) |
食品の賞味期限のように、製品の使用可能期間を明記すべき? |
日経(H19.1.18)11面の「きしむ品質 いま現場では」という連載記事の中で、「高まる経年劣化リスク」ということが書いていた。
融雪装置を付けた住宅で火災が起き、融雪装置の経年劣化が原因である可能性があることから、製造業者は、製品を無償で取り外し、買取り費用として10万円を支払っているとのことである。
買取り費用10万円以外に、取り外しの人件費が必要であろうから、これでは何のために販売をしたのか分からなくなってしまう。
そもそも、融雪装置に隠れたる瑕疵があればメーカーに責任があるが、それとて、特約がなければ瑕疵担保責任期間は1年、商行為では6か月である。
しかも、事故が起こったとしても、経年劣化が原因であることも多いであろう。
かといって、「メーカーに責任はない」として知らん顔すると、メーカーの社会的責任が問われる時代である。
メーカーとしては、食品の賞味期限のように、製品の使用可能期間を明記して販売するしかないのかもしれない。
| 2007年01月17日(水) |
政府は労働時間規制除外法案の国会提出を断念 |
日経(H19.1.17)1面で、政府は労働時間規制除外法案の国会提出を断念したと報じていた。
この法案の趣旨は、仕事をした時間の長短よりも、成果を重くみて賃金を決めることができるようにするものである。
ただ、理念はそうかもしれないが、実際は、サービス残業の実態を法が追認するだけになるのではないかと思う。
かといって、現行法制度のままで残業手当をきちんと支給すると、会社が立ち行かなくなってしまうところは多いのではないか。
なかなか難しい問題である。
| 2007年01月15日(月) |
公証人の業務に不備が見つかるケースが相次ぐ |
日経(H19.1.15)21面に、「遺言公正証書の信頼保て」というタイトルで、法務省の立ち入り調査で公証人の業務に何らかの不備が見つかるケースが相次いでいるという記事が載っていた。
調査では公証人の6割に業務上の不備があったそうである。
私の経験でも、病院まで来てもらって遺言公正証書を作成してもらったときに、その公証人は裁判官出身で知財関係では高名な方であったが、証人が署名する欄に公証人が署名してしまい、公正証書を作り直したことがある。
そのケースは単なるケアレスミスであり、実害はなかったが、問題となるのは、認知症の人の公正証書遺言である。
認知症になってから公正証書を作成しようというのだから、将来、相続人間で争いが予想される場合が多いからである。
もちろん、公正証書が無効になるケースはまれであるが、後の紛争を未然に防ぐ意味でも、公正証書遺言をするのであれば、認知症になる前の元気なときに作成しておいた方がよいと思う。
| 2007年01月12日(金) |
コンプライアンスの基本は、正直であること |
日経(H19.1.12)3面に、不二家が消費期限切れ牛乳を使用し、洋菓子の製造販売業務を全面的に中止したことを報じていた。
不二家は、事実を把握しながら2か月も公表しなかったようである。
取締役会レベルで把握していたのに意識的に発表しなかったのであれば、株主代表訴訟の対象となるだろう。
コンプライアンスの基本は、「正直であること」だと思う。
| 2007年01月11日(木) |
弁護人は、被告人の利益のために弁護活動すべき |
日経(H19.1.11)夕刊で、歯科医宅で短大生が兄に殺され、遺体を切断された事件で、逮捕された兄の弁護人が、殺害の経緯についての兄の供述内容を記者会見で明らかにしたと報じていた。
最近、被告人の供述内容を弁護人が記者に話すことが多いように思う。
しかし、それは適切なことなのだろうか。
弁護人は、被告人の利益のために弁護活動するべきである。
ところが、今回のケースもそうであるが、たいていの場合、被告人の様子や供述内容を明らかにしても被告人の利益になるとは思えないのである。
記者の取材攻勢がすごく、記者会見に応じないと仕事もできないない状況だったのかもしれない。
それでも、弁護人である以上、被告人の利益につながらない限り、接見したときの被告人の様子や供述内容を明らかにする必要性はないと思う。
| 2007年01月10日(水) |
解約通知の内容が自分勝手過ぎるのではないか |
日経(H19.1.10)4面で、消費者金融各社が、貸金業者への規制強化を受けてリストラを拡大していると報じていた。
すでにある消費者金融会社では、有人店舗として賃借している物件について解約の申し入れをしており、先日、そのビルのオーナーから相談を受けた。
その解約通知には、次のように書かれていた。
(原状回復費用を勝手に査定した上で)その原状回復費用と、解約までの賃料を敷金から充当して欲しいこと(したがって、解約までの賃料は支払わない)。
敷金で不足する分は、退去後支払うこと。
一週間以内にこの申し入れを承諾しない書面を提出しない場合には、この申し入れを承諾したものとみなすこと。
しかし、敷金というのは賃貸人側の担保であるから、賃借人の側から、「原状回復費用や賃料の支払いは保証金で充てる」ということはできない。
また、一方的に書面を送りつけておいて、「拒否の返事がない場合には承諾したものとみなす」ということは法律上認められない。
随分勝手な言い分だなあと思った。
| 2007年01月09日(火) |
姉歯被告が一審判決を不服として東京高裁に控訴 |
日経でなく朝日ネットニュース(H19.1.9)であるが、耐震強度偽装事件で建築基準法違反などに問われた姉歯被告が、懲役5年罰金180万円の実刑とした一審判決を不服として東京高裁に控訴したと報じていた。
通常、控訴審では20分くらいで審理は終結し、次回は判決となることがほとんどである。
一審で十分審理したはずだから、控訴審では審理を二度行う必要ないという考え方に基づいている(法理論としては、「控訴審は事後審だから」という言い方がされる)。
そして、一審判決後によほど事情の変更がない限り、控訴は棄却される。
判決には許容される一定の幅があり、その幅の範囲内にある限り、一審の判断は適法であるという考え方に基づく(説明のしかたが人によって若干違うが、原審の判断を尊重すべきという結論は同じである)。
したがって、姉歯被告の場合も、控訴しても結論は変わらないと思われる。
| 2007年01月05日(金) |
金利を規制すると必ず弊害が生じる? |
日経(H19.1.5)33面で、竹中前総務大臣が、「経済教室」欄に「『改革の配当』をテコに飛躍」「後戻りを許すな」というタイトルで論文を書いていた。
その中で、「貸金業金利の上限金利の規制は価格統制と同じであり、必ず弊害が生じる」と論じていた。
しかし、金利を規制すると「必ず弊害が生じる」のだろうか。
金利規制によって弊害があるかについてはこれまで何度も議論され、諸外国の事例も紹介されたが、結局、確たる論証はなされなかったように記憶している。
価格統制と金利規制を同視して、「上限金利の規制は必ず弊害が生じる」という竹中氏の論旨は、少々乱暴な議論ではないかと思う。
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