今日の日経を題材に法律問題をコメント

2006年04月28日(金) 銀行の体質は変わっていない

 日経(H18.4.28)1面で、三井住友銀行が、金融商品の購入を強制したことを理由に、一部業務を半年停止する処分を受けたと報じていた。


 問題になった金融商品の押し付け販売に対して、「断わることができるでしょうか」という相談を受けたことがある。


 当然、「そのような金融商品の購入義務はない」と答える。


 しかし、中小企業にとって金融機関の融資は命綱であり、その要求を断わることはできないのが実態である。


 同様な問題で昔からあるのが「歩積・両建て」である。

 歩積両建とは、銀行が融資する際に預金を拘束しておくことである。


 この場合、借り入れる方にメリットはなく、預金が拘束されるのだから、実質金利が高くなるというデメリットのみがある。


 最近は大手銀行ではあまり見ないが、地方銀行ではいまでも見かける。


 今回の三井住友銀行処分の記事を読むと、銀行の体質は変わっていないなあと思う。



2006年04月27日(木) 堀江被告、東京地裁が保釈を認める

 日経(H18.4.26)社会面で、東京地裁はライブドア事件の堀江被告の保釈を認めたと報じていた(但し、地検が準抗告したため、結論は持ち越しになった)。


 堀江被告は全面否認しているそうであるが、それでも保釈が認められたのは、公判前整理手続きが適用されており、その準備を考慮したのではないかとの評価がある。


 確かに公判前整理手続きを充実させるためには、被告人が保釈されていることが望ましい。


 しかし、本件の他の被告人はすでに保釈されており、それは証拠隠滅の恐れがないと考えたからのはずである。

 そうであれば、公判前整理手続きの有無に関係なく、堀江被告についても保釈すべき事案ではないかと思う。



2006年04月26日(水) 耐震強度偽装事件で、司法書士まで逮捕

 日経(H18.4.26)社会面に、耐震強度偽装事件に関連して、架空増資をした容疑で、イーホームズの社長だけでなく、登記に関わっていた司法書士も逮捕と報じていた。


「司法書士まで逮捕」には驚いた。


 例えば、非公開の中小会社では株主総会を開いていないのに、開いたことにして取締役選任登記をすることは多いが、その際、司法書士が株主総会の議事録まで作成することがある。


 このような場合にも、司法書士は公正証書原本不実記載罪の容疑で逮捕される可能性があるということになる。


 もちろん、この場合、株主総会は開いていないが、議事録の内容は株主の真意に反していないだろうから、架空増資とはまったく違う。

 しかも、逮捕された司法書士は、イーホームズの監査役だったという特殊性もある。(追記 見せ金を用意したのもこの司法書士のようである)


 そうはいっても、こうなると司法書士は怖くて仕事ができないのではないだろうか。



2006年04月24日(月) マスコミに対する対応について

 日経(H18.4.24)社会面に、岐阜県中津川市で中学2年生が殺害された事件で、殺人容疑で逮捕された高校1年生と接見した弁護士の話した内容が載っていた。

 接見した弁護士は、少年が話した犯行当日の行動などについて答えていた。


 社会的に関心のある事件で、接見した弁護士にマスコミが取材をすることはよくあり、その際、一切取材を断る弁護士もいれば、取材に応じる弁護士もいると思う。


 それは事件の性質にもよるだろうから、取材に応じることが一概にいいとも悪いともいえない。
 

 ただ、弁護士は依頼者の弁護人であり、依頼者の利益を第一義的に考えるべきではないだろうか。


 その観点からすると、今回少年が話したことは、犯行内容そのものであり、またプライバシーにもかかわる問題である。

 
 それを、いかに社会的に関心のあることとはいえ、安易にマスコミに話していいのだろうかという疑問が私にはある。



2006年04月21日(金) 弁護士が適法意見をつけるのは無理ではないか

 日経(H18.4.21)1面で、東京証券取引所が、新株発行の規制を強化するという記事が載っていた。


 その規制の一つとして、第三者に有利な発行価額で新株を発行する際には、発行が適法であるとの弁護士の意見書を付けるように求めるそうである。


 しかし、「特に有利な発行価格かどうか」について明確な線引きはないのに、弁護士が「適法である」という意見書は書けないのではないだろうか。


 新聞記事が正確に伝えていないのかも知れないが、記事を読む限りでは、少し無理な要求のように思う。



2006年04月19日(水) なぜ「29.2%」という端数なのか

 日経(H18.4.19)4面で、消費者金融の貸し出し金利について、「上限金利を引き下げることでおおむね一致」と報じていた。


 現在の上限金利は年利29.2%である。


 この「29.2」という半端な数字は、日歩で計算してきたことの残滓である。


 日歩とは、元金100円あたりの一日あたりの利息であり、100円借りたときに一日8銭の利息がつく場合には、日歩8銭という。


 これを年利に直すと、0.08%×365=29.2%となる。


 このように、日歩を年利に直すと端数が出るし、分かりづらい。


 今回の改正を機に、きりのいい数字にして欲しいものである。



2006年04月18日(火) 将棋の名人戦の契約について

 日経(H18.4.18)社会面に、将棋の名人戦の主催を毎日新聞から朝日新聞に移す問題について、その続報が載っていた。


 将棋の名人戦は永らく毎日新聞が主催していたが、将棋連盟はその契約を破棄し、朝日新聞に移すことを決めた。


 しかし、毎日新聞はその決定に反発している。


 将棋連盟が毎日新聞との契約を破棄できるかは、契約の内容次第である。


 報道されている限りでは、契約期間は3年の自動更新のようである。


 「自動更新」というのは、どちらかが解約の意思表示をしない限り自動的に更新されるというものである。

 逆にいえば、解約の意思表示をいれば、契約期間満了により解約はできる。


 とすると、報道の限りでは、法律的には毎日新聞に言い分はないように思われる。



2006年04月17日(月) 懲罰的損害賠償請求について

 日経(H18.4.17)社会面で、三菱自動車製トレーラーのタイヤ脱落事故で、亡くなった方の母親が、三菱自動車などを訴えた裁判の判決が18日に言い渡され、裁判所が懲罰的損害賠償請求を認めるかどうかが焦点と報じていた。


 記事によれば、請求額は1億6500万円であり、そのうち1億円が懲罰的損害賠償額とのことである。


 このような懲罰的損害賠償請求は日本の裁判では認められていない。


 今回の判決でも正面から懲罰的損害賠償請求を認めることはないだろう。


 損害賠償というのは「損害」の填補であり、「損害」以上を請求することができないという理屈による。


 しかし、法律は、懲罰的損害賠償請求を明確に否定しているわけではない。


 実際、精神的損害である慰謝料の算定においては、相手方の違法性が高い場合には慰謝料が増額されることはよくあることである。


 そうであれば、懲罰的損害賠償請求を正面から認めても差し支えないと思うのだが・・。



2006年04月14日(金) 株式売渡し請求

 日経(H18.4.14)6面に、「会社法 ここをチェック」という特集記事が載っていた。

 その中で、譲渡制限を定めている会社では、相続人等に対する株式売渡し請求権が認められたと解説していた。


 これは、オーナー企業などにおいて、相続などによって会社経営に好ましくない者が株主となることを防ぐものである。


 相続によって株式が分散し、内紛が生じることはしばしばある。


 それゆえ、今後非公開会社では、この株式売渡し請求ができるようにしておくことが望ましいだろう。


 ただ、株式売渡し請求は事前に定款で定めておかなければ認められないとされている。


 新会社法があと半月で施行されるが、中小会社では十分な対応はなかなか難しいようである。

 そうであっても、株式売渡し請求については定款変更をして、取り入れておいた方がよいと思う。



2006年04月13日(木) 株取引で負債をつくった場合

 日経(H18.4.13)1面の「ネットと文明」という連載記事があり、その中で、インターネットの株取引で1000万円の負債をつくり、自己破産したということを書いていた。


 そして、その記事の横に破産決定書の写真が載っていた。


 しかし、その破産決定書には、「本件破産手続きを廃止する」と記載しており、それは「同時廃止」の内容である。


 これは、債権者に配当するだけの資産がないため、破産手続きを進めないという意味である。


 ただ、東京地裁の現在取り扱いでは、たとえ債権者に配当するだけの資産がなくても、株取引で負債を作った場合には、管財人をつけて、免責が妥当かどうか調査することになるだろう。


 逆にいえば、株取引で負債を作った場合には、本来であれば免責されないということであり、簡単に負債がゼロになるわけではない。



2006年04月12日(水) 弁護士のメーリングリスト

 日経(H18.4.12)7面で、「消費者金融大手4社が、過払い金の返還が響き、予想を下方修正」と報じていた。


 各社とも過払い金は100億円を超えているから、大変な額である。


 このように過払い金の返還が増えた原因として、日弁連が管理している消費者問題のメーリングリストがあり、そこで全国の弁護士が情報交換していることが大きいと思う。


 かつては、過払い金返還訴訟に積極的な弁護士は少なかったのであるが、このメーリングリストで続々と「成果」が報告されると、「それじゃ、おれもやるか」ということになったわけである。


 ただ、このメーリングリストには消費者金融会社の代理人になる弁護士も登録しているといううわさがあり、最近は、情報漏れを嫌ってあまり積極的な発言をしなくなったり、別のメーリングリストをつくったりしている。

 
 弁護士の間でも、いろいろな攻防をしているのである。



2006年04月11日(火) 蛇の目ミシンの元社長らには同情するが

 日経(H18.4.11)社会面に、蛇の目ミシンの株主代表訴訟で、最高裁が、1、2審の判断を覆し、蛇の目ミシン元社長らに賠償責任を認めたと報じていた。


 記事によれば、仕手集団の代表が、暴力団に株式を譲渡したとして会社に対し買い戻し資金の提供を求め、暴力団が株主となることを恐れ、会社社長らが巨額の融資をしたというものである。


 1,2審は、融資は、暴力団が株主となることを恐れてやむを得ず行ったものであり、会社社長らに過失はないとして責任を否定していた。


 確かに、このような局面に陥った会社経営陣には同情する。


 しかし、この場合に取締役に責任がないとすると、脅迫によって融資を求められ、それに屈して融資をして会社に損害を与えても取締役は免責されることになる。


 これでは、違法行為に歯止めがなくなり、暴力団の跋扈を許すことになりかねない。


 最高裁は、1,2審の判断を覆したわけであるが、その結論正当であると思う。



2006年04月07日(金) 盗難カードの被害補償で、支払い拒否不当で訴える

 日経(H18.4.7)社会面に、盗難カードの被害補償で、金融機関が補償を拒否したのは不当であるとして、賠償を求める訴えを起したと報じていた。


 訴えられる金融機関の中では信用金庫が多く、それ以外の金融機関もほとんどは規模の小さい金融機関である。


 資金力がないため、支払いがシブいということになのだろうか。


 そういえば、私の修習生時代のことであるが、ある裁判官が、交通事故の訴訟で、特定の損害保険会社がなかなか和解に応じないと嘆いていた。


 これも規模の小さい損害保険会社であった。



2006年04月06日(木) 自白しないと保釈しないのは問題である

 日経(H18.4.6)社会面で、ライブドア事件で、熊谷被告が保釈されたと報じていた。


 これで、残っているのは堀江被告だけである。


 堀江被告が保釈されないのは、否認を続けているからであろう。


 しかし、すでに共犯者はすべて保釈されており、しかも検察官は十分証拠を固めていると思われる。


 したがって、堀江被告を保釈を認めても、証拠隠滅なんかできるはずがない。


 否認を続けているだけで保釈を認めないというのは、自白を強要するようなものである。

 裁判所の姿勢は問題であると思う。



2006年04月05日(水) 企業買収防衛策の効果

 日経(H18.4.5)13面に、「検証 買収防衛策」という囲み記事があった。

 買収防衛策を導入する企業が増えているが、その対策が行き過ぎではないかという問題意識があるようである。


 企業の買収防衛策として、様々な対策が提案された。


 しかし、その実効性となるといずれも疑問がある。


 経営に参加する意思がなく、株価を吊り上げて高値で株式を引き取らせるだけの目的などの場合には防衛策として認められよう。


 しかし、そのような目的が明確でない場合には、買収が適切かどうかは、結局、株主の判断に委ねるしかないのではないだろうか。


 それゆえ、様々な防衛策が考えられたが、それほど使われる場面はないと思うのだが。



2006年04月04日(火) 大手法律事務所が合併

 日経(H18.4.4)1面に、大手法律事務所同士が合併し、所属弁護士370人の大手法律事務所が誕生すると報じていた。


 これを機に、他の大手法律事務所も合併を進めてしていくだろう。


 これらの大手法律事務所は東京に集中しており、規模の拡大を図るために、司法研修所を出た若手の司法修習生を大量に採用している。


 そうかといえば、大阪で勤務を希望している修習生が、採用してくれる法律事務所がなくて探しているという話を聞いた。


 法律事務所の規模においても、東京一極化がますます進んでいるということのようである。



2006年04月03日(月) 「地域名+商品名」での商標登録が容易に

 日経(H18.4.3)19面に、この4月に商標法が改正され、「地域名+商品名」の組み合わせで登録できる地域団体商標登録制度が導入されたと報じていた。


 登録すれば、他人が商標を勝手に使うのを差し止めたり、損害賠償請求することができる。


 すでに先駆けとして「富士宮やきそば」などがあり、予備軍は3000件もあるといわれている。


 このニュースを聞き、東京でうどん屋を経営している人が、「『さぬきうどん』が商標登録されたら、『さぬきうどん』という言葉は勝手に使えなくなるのだろうか」と心配していた。


 しかし、「さぬきうどん」は登録できないのではないか。

 というのは、「さぬきうどん」という言葉はすでに希釈化され、商標としての価値が薄れてしまっているからである。


 商標としての価値を守るためには、希釈化する前に、早期に商標登録を行い、法的な措置を細かく講じておく必要があるのである。


 < 過去  INDEX  未来 >


ご意見等はこちらに
土居総合法律事務所のホームページ


My追加
-->