今日の日経を題材に法律問題をコメント

2005年03月31日(木) 武富士に、違法な提訴として損害賠償の命令

 日経(H17.3.31)社会面に、武富士を批判した本を出版した出版社と執筆した弁護士に対し、武富士が損害賠償請求を行い、逆に弁護士らが、武富士に対して、損害賠償請求の反訴をした事件で、東京地裁は出版社・弁護士らの言い分を認め、武富士に対し480万円の支払いを命じたという記事が載っていた。


 最近、弁護士の活動に対し、損害賠償請求を起こし、それより弁護士業務に圧力をかけようとする事例が多いように思う。


 弁護士もいろいろいるから、損害賠償請求されても仕方ないケースもあるが、提訴することによって業務の圧力をかけるというのはいかがなものかと思う。


 この裁判でも、裁判所は、「(武富士は)認められる余地がないと知りながら、あえて批判的言論を封じる目的で行われたものであり、裁判制度の趣旨に照らして、違法な提訴である」と認定している。


 この裁判所の認定は正当であると思う。



2005年03月30日(水) 三菱自動車が旧経営陣に総額13億円の損害賠償請求

日経(H17.3.30)1面で、三菱自動車のリコール問題について、三菱自動車は、三人の社長経験者を含む旧役員に対し、総額13億円の損害賠償請求をする方針を固めたと報じていた。


 リコール隠しについては、旧経営陣は訴えられるだけの責任があると思うし、会社が訴えなければ株主代表訴訟を起こされるだろう。


 しかし、三菱自動車の場合、経営陣が総入れ替えになったわけではなく、訴える側の役員は旧経営陣の部下たちである。


 その元部下たちから、すべての財産を取られてしまうような請求をされるのだから、大変な世の中になったものである。



2005年03月29日(火) 愛知博 弁当持ち込み禁止は独禁法違反?

 日経ではなく、朝日新聞(H17.3.29)社会面に、愛知万博の会場内に飲食物の持ち込みが禁止されているのは独占禁止法に違反するとして、弁護士3人が、公正取引委員会に告発したという記事が載っていた。


 入場者は、指定した飲食物販売業者と取引するよう強制されており、これは、独禁法で禁じられている「抱き合わせ販売」にあたるということのようである。


 おもしろい考えである。


 
 その後、この告発のせいかどうかは分からないが、小泉首相が、弁当持込の許可を指示したそうである。



2005年03月28日(月) 土壌汚染のある土地は、土地に瑕疵がある

 日経(H17.3.28)1面で、三菱地所と三菱マテリアルが、大阪アメニティパークの土壌汚染を隠蔽してマンション販売したことで、会社トップの刑事事件に発展したことを報じていた。


 当事者たちも、土壌汚染を告げなかっことが刑事事件にまで発展するとは思っていなかったかもしれない。


 ただ、土壌汚染があれば、その土地には瑕疵(欠陥)があることになる。

 そのような瑕疵ある土地を売却した場合には、損害賠償など瑕疵担保責任を問われることは当然予想できたと思う。


 それだけに、それを隠して販売した三菱地所などの責任は重いと思う。



2005年03月25日(金) 保釈金の相場

 日経(H17.3.25)社会面に、堤義明コクド元会長が1億円で保釈されたと報じていた。


  保釈金の多くは200万円前後であるから、それからすれば1億円というのはかなり高い。

 
 ただ、保釈金は、逃げたら没収するという心理的圧力をかけるためである。

 それゆえ、その人の資力によって金額が違ってくる。


 200万円程度では、堤被告にすれば、心理的圧力にならないだろう。
 
 そのため、1億円という高額な保釈金になってしまうのである。



2005年03月24日(木) ニッポン放送事件 東京高裁の決定の意義

 日経(H17.3.24)1面トップで、東京高裁が、ニッポン放送の新株予約権発行を認めない判断をしたと報じていた。


 私の予想は外れたが、東京高裁の判断は、経営支配権の維持・確保目的での新株予約権の発行も許される場合があることを具体的に明らかにしたという点において、意義があると思う。



2005年03月23日(水) 情報保護のためにセキュリティー技術だけに頼ることは限界がある

 日経(H17.3.23)1面に、「守れるか個人情報」という連載記事で、保護技術の過信は危険ということについて書いていた。

 例えば、指紋認証機能にしても、何らかの機会に指紋を読み取れば、それでゼラチン状の人口指ができる。

 その人工指を作ってセンサーをなぞればロックは解除されるのである。


 情報の保護に対しては、セキュリティー技術に頼るだけでは限界がある。

 現状は、情報に対する違法な取得に対しては、事案に応じて窃盗罪、業務上横領罪、業務妨害罪などを適用して対処している。

 しかし、今後は情報窃盗罪の新設など、トータルな処罰規定が必要となってきているのではないだろうか。



2005年03月22日(火) 偽造した偽札を盗まれて逮捕

 日経(H17.3.22)社会面で、偽札を偽造した容疑で、小学校教諭が逮捕されたという記事が載っていた。

 この教諭は、偽造した偽札を財布に入れて、車の中に置いていたところ、その財布を盗まれ、盗んだ犯人が、その偽札を使ったことから犯行が発覚したものである。

 そんなことで偽札を偽造したことがバレるとは思わなかっただろう。


 ただ,この教諭は、興味本位で作ったと言い分けているようであるが、本当だろうか。

 興味本位で作っただけであれば、作った偽札を財布の中に入れることまではしないだろう。

 興味本位で偽札を作っただけでなく、偽札を使用したと疑われても仕方ない。




2005年03月18日(金) 時効について

 日経(H17.3.18)社会面に、長崎屋放火事件が時効になったという記事が載っていた。

 放火の時効は15年である。

 殺人も同様であり、どうな悪質な罪を犯しても、時効の最長は15年である。

 被害者にとっては決して長い期間とはいえないのではないだろうか。


 時効の制度を定めている理由の一つとして、被害感情の鎮静化が挙げられることがある。

 しかし、15年経っても被害感情が鎮静化することはないと思う。

 
(注) 
 平成16年12月8日に刑事訴訟法が改正され、「死刑にあたる罪の時効は25年」となり、その3か月以内に施行されといる。
 そのため、平成17年3月18日の時点では、現住建造物放火罪や殺人罪の時効は25年である。
 したがって、「放火の時効は15年」という上記の記述は誤りである。
 ただ、附則で、時効の規定は犯行時の規定によるとされているので、この事件では時効期間は15年である。



2005年03月17日(木) メディアの存在意義について

 日経(H17.3.17)社会面に、人権擁護法案について、新聞協会、民放連が、メディア規制条項を削除すべきという共同で声明したという記事が載っていた。


 この法律では、過剰な報道合戦などによる人権侵害に対する規制を盛り込んでいる。


 確かに、これまでの報道の例をみると、無実の人を簡単に犯人扱いしたり、取材と称して人の生活をメチャメチャにしたりするなど、メディアによる人権侵害はひどいと思う。


 また、インターネット社会の到来により、草の根情報だけで十分足りるようになってきており、既存のメディアの存在意義が問われてきている。

 ライブドアとニッポン放送との事件でも、堀江社長が意識しているかどうか分からないが、インターネット社会において、これまで通りのメディアのあり方でよいのかということが根源的に問われているのだと思う。


 そうすると、メディアだけ特別扱いする必要なく、他と同様、メディアによる人権侵害に対しては、法律によって規制すべきことにつながることになる。


 しかし、私は、インターネット社会においても、権力の対抗する存在として、メディアの意義はあると思うし、国家がメディアを規制していいとは思わないのだが。

 マスコミに対する規制以外にも、人権養護法案は、人権委員会が強大な権限を持つなど、問題が多い法案であると思う。



2005年03月16日(水) ライブドアがニッポン放送株を49.8%獲得

 日経(H17.3.16)1面で、ライブドアがニッポン放送株を49.8%獲得したと報じていた。

 1面の記事にライブドアの記事がないことはないという感じである。


 ところで、ニッポン放送の新株予約権発行は差し止めの仮処分が認められた。

 東京地裁の判断で注目すべきと思うのは、発行目的が「支配維持」であっても、フジサンケイグループに残ることが企業価値の維持に資することが明らかなであれば、新株予約権の発行が認められることがあるとしたことである。


 従来は、資金調達が主目的であれば新株発行は認められるが、支配維持が目的の場合は新株発行は認められないという図式であったから、資金調達目的でなくても新株発行が認められることがあるとしたことになる。


 今回、ニッポン放送の主張が認められなかったのは、フジサンケイグループに残ることが企業価値の維持に資するという十分な証拠(疎明資料)を提出できなかったからであろう。

 とするなら、今後も裁判は続くわけであり、その中で追加立証していけば、ニッポン放送の主張が認められる可能性があるかも知れない。



2005年03月15日(火) 経済産業省の職員がインサイダー取引

 日経(H17.3.15)社会面に、経済産業省のキャリアがインサイダー取引をしたことを受け、株取引について全職員の調査に乗り出したと報じていた。


 かつては上級公務員は、天下国家を論じ、給料は安いが、高い倫理感があったと思うのだが、そんな時代ではなくなったのかもしれない。


 それにしても、重要な情報が集まる経済産業省のキャリアがインサイダー取引をするとは。
 あまりにもひどすぎる。




2005年03月14日(月) 金利一本化が議論されている

 日経(H18.3.14)31面の「経済教室」に、ある大学教授が、貸金業の金利の一本化について論じていた。


 最近、重要な最高裁判例が相次いで出されたことをきっかけに、利息制限法と、貸金業・出資法とで認めている利息が違っていることが改めて問題になっており、金利の一本化が議論されている。


 ただ、金利を一本化するといっても、上限金利で一本化するのか、利息制限法の金利で一本化するのかについては議論がある。


 そして、この論者は、「両者の主張が妥協できる方策を考えたい」といいつつ、金利は40%程度という主張している。


 しかし、100万円借りると、1年後には140万円返さなければならない。

 借金するのは金がないからであり、そのような人が、1年後に40万円も利息をつけて返済することは無理である。


 この論者の主張は、中立的な立場を装いながら、貸金業者の立場にたつものであり、問題ではないかと思う。



2005年03月11日(金) 最高裁が、抵当権者の賃借人に対する明渡請求を認める

 日経(H17.3.11)社会面で、最高裁は、抵当権者が、適法に占有している賃借人に対する明け渡し請求を認める初めての判断をしたと報じていた。


 かつては、抵当権は交換価値を担保しているだけであり、使用収益する価値まで担保していないという考え方があり、そのため、最高裁は、不法占有している者に対してさえも、抵当権者が明渡請求することを認めていなかった。


 しかし、抵当権を妨害するような事例が後を絶たないため、次第に抵当権者の権利を強く認めるようになってきた。


 すでに、1999年には、最高裁はそれまでの判例を変更して、不法占拠者に対する抵当権者の明渡請求を認めている。

 そして、今度は、抵当権者による、適法な賃借人に対する明渡請求まで認めたものである。


 もっとも、最高裁は、�…村攷佑剖デ笋鯔験欧垢詭榲�があること、�⊇衢�者による適切な維持管理が期待できないこという条件を付けている。

 したがって、通常の賃借人であれば抵当権者から明渡請求を受ける心配はない。



2005年03月10日(木) 電子投票のトラブルで選挙無効

 日経(H17.3.10)社会面に、岐阜県可児(かに)市の市議選で電子投票機がトラブルを起こした事件で、名古屋高裁は、「投票機の故障で、無視できない数の有権者が投票できなかったと推測され、選挙結果に影響を及ぼすおそれがある」として、選挙を無効としたと報じていた。


 電子投票のメリットは、開票の手間が省けることぐらいであろう。

 もっとも、手書きできない人には電子投票は便利であるが、電子投票でなければダメというわけではなく、別の手当が可能である。

 
 電子投票の問題は、本件のようにトラブルが生じた場合、その復旧に時間がかかることがあり得ることである。

 それ以上に電子投票が問題なのは、誤作動したり、不正な利用をしたとしても、その検証が極めて難しいということである。


 私は、大金を掛けて電子投票システムを導入するメリットはないと思う。

 投票は手作業でいいではないのだろうか。



2005年03月09日(水) 村岡旧橋本派元会長が直接証人尋問

 日経(H17.3.9)社会面で、旧橋本派のヤミ献金事件で、旧橋本派元会長の村岡被告が、滝川証人を直接証人尋問したという記事が載っていた。


 滝川証人は検察官側証人であり、ヤミ献金について村岡被告に報告をして指示を仰いだと証言している。


 反対尋問では、それを突き崩す質問をするわけだが、通常は弁護人が反対尋問を行う。


 被告人自身が尋問することはほとんどない。

 そんなことをすれば、法廷で、被告人に不利な証言をする証人と被告人とがけんかになってしまう。

 また、被告人が尋問すると、「自分はやっていない」などという自分の主張ばかりしたり、証人に対し嘘つき呼ばわりするだけで、尋問にならない可能性が高い。


 本来、反対尋問というのは、被告人に不利な証言をする証人に対し、矛盾する証拠を示して証言の信用性を低めたり、証言の中で矛盾している証言を指摘したりして、その証言を崩すために行うものである。

 したがって、反対尋問で、尋問する側が自分のいいたいことばかり言っても意味がないのである。


 案の定、村岡被告は証言を否定する発言ばかり繰り返し、裁判長から「(自分の言いたいことをいうのではなく)質問にしてください。」とたしなめられている。


 当事者が直接尋問できないとなると、自分だけ蚊帳の外に置かれたみたいで不満を持つ人もいるし、その気持ちは分かる。

 しかし、実際問題としては被告人が尋問することは、被告人自身にとってもあまり利益のあることではないと思う。




2005年03月08日(火) 住友信託銀行が1000億円の請求

 日経(H17.3.8)1面で、UFJとの合併交渉差し止め事件で、住友信託銀行が、損害賠償請求額を1000億円としたという記事が載っていた。

 1000億円を請求する場合、裁判所に納める印紙代は1億円を超える。


 住友信託銀行は、1000億円という損害の根拠として、合併していたら得られたであろう利益(逸失利益)を算出根拠としている。

 しかし、合併交渉差し止めの仮処分事件において、最高裁は、住友信託銀行には、合併していたら得られたであろう利益までの損害はないと明確に判断しているのである。

 それゆえ、1000億円の損害賠償が認められる可能性はほとんどない。


 それにもかかわらず、1億円を超える印紙代を支出することが許されるのだろうか。

 株主代表訴訟の対象になるのではないかと心配になる。



2005年03月07日(月) 病院で治療費の未払いが問題化

 日経(H17.3.7)19面で、病院で日経(H17.3.7)19面で、病院で治療費の未払いが問題になっているという記事が載っていた。


 記事によれば、一病院あたりの年間の未払い治療費は1255万円というから、無視できない金額である。


 私も、ときどき病院から治療費を請求して欲しいという相談を受ける。

 ただ、一件あたりの金額は多額ではないことが多いから、内容証明付き郵便で請求することはあっても、ほとんどの場合、裁判をするまでには至らない。

 裁判をして勝っても、実際に回収できる見込みは少ないのが現実である。


 ところが、病院は、治療を拒むことができないから、払いそうにない人の治療を断るということはできない。


 今後、治療費の未払いは大きな問題になるように思う。



2005年03月04日(金) 堤コクド前会長を逮捕

 日経(H17.3.4)1面、社会面などで、堤コクド前会長の逮捕について報じていた。


 今日、東京地方裁判所の地下一階の廊下を歩いていると、東京拘置所管理の勾留室の前に新聞記者が大勢いた。


 通常は、警察が逮捕し、検察官に送致するから、裁判所に行くのは逮捕されてから2日くらい後になる。

 しかし、この件は検察官が逮捕しているから、直ちに裁判所に勾留請求したと思われ、堤元会長は、この日、東京地裁で勾留質問を受けていたのであろう。


 ところで、この事件では、コクドの顧問弁護士がどこまで関与していたかが気になる。

 新聞報道では、虚偽記載について、顧問弁護士はかなり事情を知っていたように報じられているからである。



2005年03月03日(木) 刑法以外でも刑事罰を定めた法律は多い

 日経(H17.3.3)社会面で、阪神応援歌を作詞作曲したと偽ったという容疑で、阪神私設応援団元会長と、コロンビアの社員が逮捕されたと報じていた。


 容疑の罪名は、著作者名詐称という著作権法違反であり、懲役1年以下、または100万円以下の罰金、または併科である。


 容疑者は、「犯罪とは考えていなかった」と供述しているそうである。

 それが本当かどうかはよく分からないが、ただ、著作権法だけでなく、商法、破産法など、刑事法以外の法律でも刑事罰を定めていることは多い。

 したがって、刑法に該当しないから犯罪にならないとは考えないほうがよいと思う。



2005年03月02日(水) ライブドアの仮処分申請で第1回の審尋が開かれる

 日経(H17.3.1)11面に、ライブドアがニッポン放送の新株予約権の発行差し止めを求めた仮処分申請で、第1回の審尋が開かれたと報じていた。


 仮処分においては、請求した側(ライブドア)は事前に言い分を書いた書面や証拠を提出する。

 また、請求を受けた側(ニッポン放送)もそれに対する反論や証拠を提出しているはずである。


 審尋では、それを前提に双方から言い分を聞く手続きである。

 ただ、その場で双方がああでもない、こうでもにないと議論するわけではない。

 裁判官は、事前に双方から提出された書面を読んだ上で、「ここでこのように書いている、それはどういう意味か」というように疑問点を問い質したり、「この点の証拠が不十分なので追加立証して欲しい」と促がしたりする程度である。


 審尋は一度では終わらず、何回か開かれることが多い。

 新聞では「今月前半の結論」と書いていたが、これだけの重大事件であれば、あと1,2回の審尋が行われるだろう。

したがって、結論は、3月中旬ころになるのではないだろうか。



2005年03月01日(火) 専門知識のない専門家を輩出していないか

 日経(H17.3.1)1面と社会面で新司法試験の記事が載っていた。

 その記事によれば、来年の合格者は約1700人、さ来年には約2500人の合格者がでるとのことである。

 これだけ合格者が出ると、専門知識のない専門家が多く輩出されそうで心配である。


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