今日の日経を題材に法律問題をコメント

2002年07月31日(水) 阪高検部長汚職事件の初公判が開かれる

 日経(H14.7.31付)社会面に、大阪高検部長汚職事件の初公判の記事が載っていた。

 三井被告は、起訴は、検察庁が、事故の犯罪を免れるために行ったものであり、公訴権の濫用であると主張したようである。

 しかし、冒頭陳述によると、三井被告は、暴力団員の前科調書を入手した上、それを暴力団員に伝えたとのことである。

 そうなると、有罪は免れない。

 告発封じと主張しても、それを立証することは不可能であるし、犯罪事実とは関係がないのであるから、公訴権の濫用という主張は絶対に通らないだろう。
(弁護側もそれは承知していると思うが。)



2002年07月30日(火) 監査法人、2億円を払うことで回収機構と和解

 日経(H14.7.29付)社会面で、旧長銀の違法配当で、監査法人が2億円を支払うことで、整理回収機構と調停による合意が成立したと報じていた。

 違法配当について監査法人に注意義務違反があれば、整理回収機構は訴訟を提起したであろう。

 なぜなら、同じ和解による解決でも、判決になれば監査法人の責任が認められるという脅しの下に和解した方が、調停による和解よりも有利な結果が期待できるからである。

 それを調停に持ち込んだのは、監査法人に注意義務違反があることの証拠が不十分だったのであろう。

 その意味で、徹底的に戦わず2億円も払う和解した監査法人もだらしない。

 監査について後ろめたい気持ちがあったのかなあと思った。



2002年07月29日(月) リストラで、サラリーマンは大変なのに、デパートは人が一杯である

 日経(H14.7.29付)社会面にコラム「サラリーマン」は、賃金が頭打ちのため、副業を会社が認めたという記事であった。
 また、8面には、「転職の現場から」というコラムで、転職での苦労話が書かれていた。


 仕事をしていても、会社の業績はどこも厳しく、売り上げは減る一方のため、人件費を削減して、赤字を回避するしか方法がない会社が多いというのが実感である。


 先日も、ある会社から、従業員の賃金カットの相談を受けた。

 その会社は、すでに賃金カットを実施しており、ある人は、月収50万円が、43万円くらいになっていた。

 しかし、それでも会社は赤字となり、銀行から、2年続けて赤字が出れば、もう支援できないと言い渡され、もう一段の賃金カットをすることになったのである。

 そのため、50万円から43万円になった人が、試案では、35万円になることになっていた。

 会社の業績、その人の能力などをよく聞くと、やむを得ない結論だが、この人が住宅ローンを抱えていたら、おそらく払っていけなくなるのではないかと思った。


 日本は本当に大変な事態になっていると思う。

 しかし、事務所の近くのデパートは買い物客で溢れている。

 本当に不思議である。



2002年07月26日(金) 財務省がムーディーズに対し損害賠償請求?

 日経(H14.7.26付)5面に、財務省が、国債の格付けを引き下げたムーディーズに対し、「格下げで政府や企業が不当にダメージを受けたときは損害賠償の対象になる。」と書いて、提訴する可能性に言及したと報じていた。


 しかし、損害賠償請求は無理だろう。

 まず、第1に、損害の立証が困難である。

 格下げによって国債が売れなくなったというのであれば分かるが、そのような話は聞いていない。
 イメージが悪くなったというだけでは、損害があったとはいえないだろう。


 第2に、因果関係の立証が難しい。

 仮に損害があったとしても、それが格下げによるもにかどうかは立証できないだろう。

 そもそも、日本の(あるいは企業)の実体が悪いからダメージを受けただけであって、格下げのせいではないということになる可能性は高い。


 第3に、過失の立証が困難である。

 格付けは、数式があってそれに当てはめれば自動的に答えが出るというものではない。

 いろいろな判断要素があり、それをどの程度重視するかは広い裁量に委ねられている。

 つまり、著しく不合理な判断でない限りは、過失があると認定することはできないであろう。


 ということで、格下げに対し損害賠償するという財務省の言い分は、国内の政治家向けパフォーマンスであろうと思われるのである。



2002年07月24日(水) 電子投票に経費削減の効果はない

 日経(H14.7.24付)社会面に、電子投票制度を導入した新見市で、経費が1200万円増えたと書いていた。

 たかだか開票が数時間早くなるだけで1200万円の経費が増加したのである。


 そもそも、パネルタッチ方式の投票で、人件費が減るはずがない。

 機器の故障などに備えて、人を配置する必要があるし、不在者投票の開票作業もあるからである。


 経費削減効果だけを考えて電子投票制度を導入するのであれば、その効果は疑問であり、止めた方がいいと思う。



2002年07月23日(火) 信用取引の保証金率は50%程度が適当でないか

 日経(H14.7.23付)の広告で、大和証券の信用取引の保証金を300万円から100万円に下げたことが載っていた。

 同じく広告で、松井証券では、保証金率を40%から31%に引き下げたことが載っていた。

 松井証券の保証金率は、当初、50%であったと思うから、ずいぶん下げたものである。

 ネット取引では、信用取引を取り込まないと利益が出ないのだろう。


 このような動きについて、法律上の問題があるわけではないから、批判するつもりはない。

 松井証券の広告の中で、「これまで保守的すぎました。インターネット取引だから、勧誘に伴う問題は発生しないのです。」と書いていたが、間違ってはいない。


 しかし、リスク管理の見地からは、保証金率は50%程度が適当ではないかと思う。

 保証金率30%に比べて、大きく儲からないが、大きく損することもないからである。

 少なくとも、各人が自主的にそのようなルールを課したらどうだろうか。



2002年07月22日(月) 日本版・証券取引委員会を作ろう

 日経(H14.7.22付)社説は、「日本版・証券取引委員会を作ろう」という見出しであった。

 証券取引等監視委員会が創設され10年が経過したが、相変わらず金融庁の下請的存在である。
 資本市場の重要性が広く認識されてきた今日、市場に対する信頼を得るために、監視委に高い独立性と準司法的権限を与えるべきであり、日本版SECを設立すべきであるという内容であった。

 
 証券会社に勤めている私の友人は、証券取引等監視委員会のことを「SEC」と呼んでいた。

 しかし、実態は、アメリカのSECとは大違いというわけである。


 証券取引市場への信頼をはかるため、社説がいうように、日本版SECを作り上げ、「SEC」と呼ばれても恥ずかしくない組織にして欲しいと思う。



2002年07月19日(金) 競売物件がネットで検察できるようになる

 日経(H14.7.19付)社会面トップに、競売物件がネットで検索できるようになるという記事が載っていた。

 現在、東京地裁では、売却率が82%と非常に高い。
 (全国平均では50%と落ちるが、これは、地方では、農地や利用困難な物件が多くなるからである。)


 現在、競売物件は大変な人気であり、物件明細の閲覧室はいつも込んでいる。

 もっとも、ほとんどは不動産業者であり、業者がハンディスキャナーを持ち込んで、盛んにスキャニングしている。


 どうも、物件明細閲覧室は独特のイメージがあり、弁護士も、用がないというせいもあるが、あまり近づかない。

 裁判所の裁判官さえ、近づくことはほとんどない。


 それが、インターネットで検索できることになると、競売もかなり身近になり、喜ばしいことだと思う。


 そうはいっても、何にでもリスクは付き物である。

 現地調査することは当然である。

 また、投資目的で購入する場合は、購入資金を借入れることはできるだけ避けるべきである。

 トラブルがあり、引渡が遅れることもあり得るから、その間、金利負担に耐えられるだけの余裕が必要だからである。



2002年07月18日(木) 受刑者の増加で、20年ぶりに刑務所を新設

 日経(H14.7.18付)社会面トップで、刑務所が定員オーバーのため、20年ぶりに刑務所を新設するという記事が載っていた。

 刑務所が過密状態になった背景には、長引く不況や、外国人犯罪の増加があるとのことである。


 最近、外国人犯罪は凶悪化は著しい。

 そのため、検察官の求刑は以前より厳しくになってきており、それに応じて、判決も、以前は執行猶予がついたケースでも実刑となる場合が増加している印象である。


 また、高齢者の頻回受刑者(何度も刑務所を入ったり出たりする受刑者)の処遇は、ずいぶん前から問題になっていたが、ますます増加の傾向があるようである。

 外にいて段ボール生活をするよりも、刑務所の中の方がいいというわけである。


 そんなこんなで、受刑者は増加一方のようである。



2002年07月17日(水) ストックオプションはなぜ「費用」ではないのだろうか

 日経(H14.7.17付)9面で、ストックオプションを費用として計上することに、アメリカ政府と議会は消極的であるとの記事が載っていた。

 新聞は、連日、アメリカ企業会計の不信について報じており、ストックオプションはその不透明さの象徴になっているそうである。


 思うに、ストックオプションは、ただで社員に付与することはできないのであるから、会社にとって費用がかかることに間違いない。

 それを、給料などのように現金で渡すものではないからという理由で、費用に計上しないという考えはとうてい理解できない。


 費用に計上しなければ、見かけ上の利益は多くなる。

 しかし、それは企業の実態を湖塗し、投資家を騙すことになる。

 これは、見解の相違とか、解釈の相違という問題ではないと思うのだが。


 それでも、なおストックオプションを費用として計上することに反対しているアメリカ政府と議会に、問題の根の深さを感じる。



2002年07月16日(火) 酒類販売店の規制は問題である

 日経(H14.7.16付)夕刊・3面で、酒類販売店の出店規制が撤廃されることになることから、与党は、酒類販売店保護のために、過当競争地を指定して、その地域内での新規出店を規制できる法案をまとめたと報じていた。


 営業の自由は、憲法で認められた権利であり、酒類販売店の出店も本来は自由なはずである。

 そのため、出店を規制する法律は憲法違反ではないかという議論があり、憲法の授業では必修の論点である。

 ただ、結論としては、表現の自由に比べて、営業の自由は権利として弱いから、ある程度の規制も許されるとされている。

 違憲審査基準が、権利の内容によって違うことから、「二重の基準・ダブルスタンダード」といわれている。


 しかし、出店規制が違憲ではないとしても、その規制が適切かどうかは別問題である。

 かつては、酒類販売は免許制であったため、免許の売買がなされ、それを業とする会社まで存在した。
 その会社を知っているが、一時は免許の売買額が高騰し、役員は高級車を乗り回すほど儲かっていた。
 しかし、規制緩和に伴い、業績は落ち、最後は破産をした。

 過度の規制は、そのようないびつな商売を生み出すことになり、弊害の方が多いように思う。



2002年07月12日(金) ひきつづき、マンションの管理について

 日経(H14.7.12)・夕刊11面、「マンション再生の見取り図」「建て替えに厚い壁」という特集記事について(昨日に引き続きであるが)。

 記事では、住民交流によって、合意形成を容易にし、修繕計画などを円滑に進めるといった事例を取り上げていた。


 管理組合の運営というのは本当に難しい。

 もともと、マンションはいずれ出ていくところと思っている人がほとんどだから、帰属意識がない。

そのため、管理組合についても関心がなく、管理組合と自治会とを混同している人すらいるくらいである。


 しかし、いずれ売却するつもりであっても、資産価値の保全という意味で、管理はしっかりしていた方がいいと思う。

 できることなら、弁護士に顧問になってもらい、管理に関する相談のみならず、居住者の法律相談のサービスを受けるようにしたらいいと思う。



2002年07月11日(木) マンションの建て替え要件は厳しい

 日経(H14.7.11)・夕刊13面に、「マンション再生の見取り図」「建て替えに厚い壁」という特集記事が載っていた。

 その記事によると、

 あるマンションでは、10年以上前から建て替えの協議を始めた。
 最初の案では、建物を大型化し、増床部分を売却して建築費用に充てることにした。
 そのときは、所有者の9割が賛成したそうである。

ところが、マンション価格の下落で、その計画がご破算になり、費用を負担して現状の床面積のままとする案が作成されたが、建て替えに必要な5分の4以上の賛成が得られなかった。

 現在、建て替えは進まないと判断した人たちが、相次いでリフォームしており、リフォームした人は、もはや建て替えに容易に賛成しないそうである。

 こうなると、マンションのスラム化が進むだけだろう。


 やはり、マンションの建て替えには、5分の4の賛成が必要であるという決議要件がネックになっていると思う。

 私は、あるマンション管理組合の顧問をしているが、所有者と満足に連絡も取れない状態であり、管理組合は管理に頭を悩ませている。

 そもそも、マンションは、多数の人が所有しているのだから、本来が制約のあるものであるとの割り切りが必要ではないだろうか。

 そのような考えを前提に、例えば裁判所の許可があれば、過半数または3分の2の賛成で建て替え決議できるように改正すべきではないか。



2002年07月10日(水) 弁護士報酬規定の廃止

 日経(H14.7.10)・社会面の隅に、司法制度改革推進本部が、弁護士会で規定している報酬規定を廃止することで一致したと報じられていた。

 理由は、報酬規定は、公正な競争を阻害するから、報酬規定を撤去して、競争原理を導入しようというものである。


 「競争原理の導入」は錦の御旗であり、これに反論しても、反発されるだけかも知れないが、少しだけ反論してみる。


 報酬規定が公正な競争を阻害しているのであれば、それは廃止すべきである。

 しかし、本当に報酬規定は公正な競争を阻害しているだろうか。


 私は、依頼者に資力がない場合は、報酬規定を示した上で、その報酬規定より大幅に減額している。
 かといって、資力のある人から、報酬規定から増額した報酬はもらっていない。

 すなわち、報酬規定は上限であり、それ以上は請求しないという目安になっている。

 それは、依頼者の立場からすれば、報酬規定以上は請求されないという意味を持つわけである。


 先日、交通事故の被害者の方が相談に来られ、話を聞いたところ、最初は、示談屋に頼んだのだそうである。

 その示談屋がいうには、「弁護士なんかに頼んだら、もらった40%もとられる。おれは30%でいい。」と言ったそうである。

 その相談者は、弁護士費用はバカ高いというイメージがあったため、「確かにそうだなあ。」と思って、その示談屋に頼んだそうである。

 
 その方に報酬規定を見せたところ、「弁護士費用ってこんな程度なんですか。」と言っていた。

 つまり、弁護士に頼んだら、かえってむしり取られるぐらいに思っている人も多いのであって、報酬規定は、その誤解を解く役割をしていると思う。


 報酬規定がないと、依頼者だって、弁護士からいわれた弁護士費用が高いのかどうかが分からない。
 その目安になるのだから、あっていいと思うのだが、司法制度改革推進本部では、聞き耳持たぬという雰囲気であったそうである。



2002年07月09日(火) 離婚の審理を家庭裁判所に一本化

 日経ではないが、朝日(H14.7.8付)1面トップで、法制審議会が、離婚などの審理を家庭裁判所に一本化する案をまとめたと報じていた。

 現行は、離婚協議がまとまらなければ、まず家庭裁判所に調停を申し立てる。

 そして、調停で話し合いがまとまらなければ、通常の裁判になる(地方裁判所で行う)。

 これが分かりにくいということのようである。


 また、審理にのぞむ裁判所も基本姿勢も、「関係をつなぎとめることばかりが良いわけではない」との声を重視するとのことである。


 実際、家裁の調停では、調停委員は、よりを戻す方向での話し合いを勧める。

 なかには、頭の固い男性の調停委員が、妻に向かって、「それぐらい我慢しなさい。」と説教することさえある。


 しかし、調停を申し立てるのはほんの一部であり、よほどのことがなければ、調停を申し立てない。

 つまり、調停を申し立てる人は、離婚に対する強い意思があるのが普通である。

 そのような者に対し、よりを戻すことを勧めるのは無意味と思う。


 大体、よりを戻すよう勧める背景には、離婚が悪いことであるという観念があるのだろうが、その考えはもはや時代遅れになっているのではないだろうか。



2002年07月08日(月) 田中知事に対する不信任議決について

 日経(H14.7.8付)社会面に、田中知事不信任に対し、県民の61%が反対していると報じられていた。


 知事に対する議会による不信任議決は地方自治法178条で定められている。

 それによれば、知事に対し不信任議決された場合、知事は10日以内に議会を解散することができる、解散しないときは知事の職を失うと規定されている。


 したがって、知事選挙と議員選挙のダブル選挙は予定されていないが、議会を解散したうえで、知事が辞職すれば、ダブル選挙になるということである。



 憲法を勉強するとき、「地方自治は民主主義の学校である。」と教わった。

 地方自治という身近な政治に触れることによって、民主主義がなんであるかを学んでいくということであろう。


 しかし、今回の不信任議決をみると、「民主主義の学校」とは到底いえないようように思う。


 知事は、議会で誰もいないのに1人でしゃべってた。

 それ以上に問題なのは、議会である。


 朝日新聞によると、次のように解説されている。

 「県議会側が解散覚悟でこの時期に不信任を突きつけたのは、来春の統一地方選で県議会が改選されることが挙げられる。
 定数が四つ削減されるうえ、田中知事を支持する新顔が立候補する可能性もある。
 むしろ、いま県議選をした方が現職に有利との読みがあるためだ。」


 要するに、田中知事への怨念と、自己の地位固執だけが理由の不信任決議である。

 このような茶番劇を観て、民主主義を学ぶことなど到底できないだろう。
 



2002年07月05日(金) 民事訴訟の判決を2年以内にする法改正を検討

 日経(H14.7.5付)1面で、民事訴訟の判決を2年以内にする法改正を検討していると報じられていた。


 確かに、経済活動がますますスピード化している時代に、2年というのは長い。

 2年もかかっていれば、裁判は時間がかかると批判されても仕方ない。


 しかし、全体を平均すれば、一審の審理期間は9か月である。
 ただ、その中には欠席判決で一回で終わるものも含まれているから、私の印象としては、1年くらいが一審の裁判の平均という感じである。

 1年で決着が付くとなると、早いとはいわないが、著しく遅いともいえないのではないか。


 むしろ、争いが生じてから裁判になるまでに時間がかかっているような気がする。

 「裁判になると時間がかかる。」とかいってダラダラと交渉しているうちに、すぐ数か月も経ってしまうケースが極めて多いのである。

 裁判に時間がかかるという批判は謙虚に受け止めて、それに対する対策を講じるべきである。
 しかし、それだけでなく、紛争が起こった場合に、話し合いで解決できないときは、さっさと裁判をするような風潮になれば、かえって早期の紛争解決がはかれるように思う。



2002年07月04日(木) 銀行店舗で、株式販売が可能に

 日経(H14.7.4付)・1面トップに、証券会社が、銀行店舗で株式を販売できるようになると報じていた。

 銀行の店舗で、預金だけでなく、保険、株式などの金融商品サービスを受けられるようになれば、利用者にとっては非常に便利である。

その意味で、利用者からみれば喜ばしいといえる。

 ただ、株式を販売するのは、あくまでも系列の証券会社であるから、銀行が販売したと誤解させないようにすることが重要であろう。

 そうでないと、「銀行から勧められて買った株式が元本割れした。」と言われかねず、無用なトラブルになってしまうだろう。



2002年07月03日(水) 医師の逮捕について

 日経ではなく、朝日(H14.7.3付)社会面であるが、東京女子医科大病院の心臓手術ミス事件で、医師が、記録を改ざんする前と改ざんした後のコピーが掲載されていた。


 医療ミスで医師が逮捕されるのは極めて異例である。


 世間では、被疑者が逮捕されると、それで溜飲が下がるというところがあるが、逮捕というのは、制裁のために行うのではない。

 証拠隠滅の恐れや逃亡の恐れがあるときに、それを防ぐために逮捕するのである。


 この件でいえば、改ざん前後の書類を見ると、40か所も改ざんしており、医師の改ざん行為は極めて悪質である。

 それゆえ、そのような改ざんをする者は、証拠隠滅の恐れが高いとみなされても仕方ない。

 したがって、逮捕もやむを得ないということになる。


 それにしても、このような改ざん前後の記録をマスコミが入手していることに驚く。


 大手新聞(経済紙を除いて業界3位)の記者がいっていたが、毎月30通くらい内部告発の手紙、FAX、メールがくるそうである。
  業界1位や2位の新聞社には、毎月100通以上来ているのではないかと言っていた。

 これまでは、違法な行為しても、うわさだけで済んでいたことが、これからはどんどん表に出ることになるのだろう。 



2002年07月02日(火) 金融商品販売のトラブル増加

 日経(H14.7.2付)7面に、金融商品の販売トラブル増加というコラム風の記事が載っていた。

 記事の内容は、金融商品について、「リスクの説明が不十分」などのトラブルが増加していること、苦情対応窓口などの取り組みが、金融業界団体によってばらつきがあることである。


 10月からは、銀行の窓口でも変額型個人年金保険の販売がされるようになる。

 変額型個人年金保険は、運用成績によって年金受取額が変わるから、払込額より、受取額が少なくなる可能性もある。
 いわば、元本割れが起こりうるのである。

 ところが、銀行の窓口で加入する人の中には、銀行であれば間違いないと思って加入する人もいるだろう。

 銀行は元本保証の商品しか扱わないと思っている人も多い。

 そのため、新聞記事にあるように、今後、トラブルの増加が予想される。

 その場合、銀行としては、「自己責任である」と突っぱねる前に、当該金融商品の特質を十分説明するように努力すべきである。

 他方、消費者も、「銀行だから間違いない。」という安易な考えは止めるべきであろう。



2002年07月01日(月) ワールドカップ終わる−フーリガン現れず−

 日経(H14.7.1付)1面、社会面、スポーツ面は、どこもワールドカップの記事である。


 1か月のお祭りもようやく終わったが、フーリガン騒ぎは、とうとう起こらなかった。


 期間中逮捕されたのは、計93人。

 容疑は、裸で川に飛び込んだ公然わいせつや、ダフ屋行為などが多かったそうである。


 裁判所も、期間中はあまり裁判を入れず、大量逮捕に備えていたが、空振りに終わった。

 私も、フーリガン対策のため、3日間、当番弁護士として待機したが、なにごともなく終わった。
(まったく別の件で、当番弁護士の出動要請が1件あったが)

 やれやれといったところである。


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