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アイ ナンカ イラナイ。
夏野 空の日記

2006年08月08日(火) いつかの記憶について

私の周りにあるものは全て、私の中にある記憶を

『忘れる』ことをするために存在しているのだと思う。


たった一つの忘れたくないものを除いて。


忘れるために私は仕事をするのである。
忘れるために私は食事をするのである。
忘れるために友人と語らうのである。
忘れるために酒を呑むのである。
忘れるために笑ってみせるのである。

そして忘れるために眠るのである。


ところが、この「眠る」という行為は
中々コントロールの難しいもので、
容易に忘れることをさせてはくれない。

眠りは私に忘れさせてくれることを約束する代わりに、
その忘れてしまいたいものを反芻することを要求する。


夜が来る。

ベッドに横になる。

私は眠りに対して忘れさせてくれることを要求する。

眠りは私に毎夜、枯れることのない涙を要求する。



夢の中で私はようやく、彼の人に会う。





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