コトバアソビ。
無断引用お断り。

2004年02月29日(日) あの時。


映像の中で

今は亡き姿を探す。

あの時、君は生きていた。



2004年02月28日(土) ただ、静かに。


今という時を、

ただ静かに、

過したいだけなのに。




2004年02月27日(金) 穏やかな日々。


このまま続けばいいと思う。

ほんの少し、

私で、

幸せになれたらいいのにな。




2004年02月26日(木) 正しいということ。


確かに、それは正しいけれど。

それを口にしていいかどうかは

また別の話。



2004年02月25日(水) 夢の終わり。


オトギバナシに終わりはつきものなんだ。
それがハッピーエンドだとは限らないのが現実ってもので。

それは、人々の夢も希望も塗りつぶしてしまいそうな闇を掲げた朔の日の夜。
音を立てずに出て行く気配を感じた。

「・・・ドコ行くの?」

闇色をした男。
ボクの好きなオトコ。
いくら音を忍ばせてても、気配だけは消せないから。
その大きな身体も今回だけは仇になったね。

「あ・・・いや〜・・・その、なんだ。」

見付かったかとばかりに振り向く。
そうだよ、見つけたよ。
ボクの目を誤魔化せるとでも思ってるの?

「・・・そのォ〜・・・酒!酒が切れたんでな。買いに行ってくる。」

そう言って、少し肩をすくめた。

あ・・・そういうこと。

ボクはひとり落胆とも安堵ともつかない複雑な気持ちになる。
きっとこれから、会いに行くんだ。
ボクのライバル、ボクの恋敵。
今日は朔の日だから。
暴走寸前のアイツを、命懸けで止めに行くんだ。
嘘まで吐くんだから、間違いない。

そう、それは些細な仕草。
でも、大好きだからこそ、わかる仕草。
いつも見てるから、わかってしまう、何気ない仕草。
嘘を吐く時はいつも少し、肩をすくめる。
そんなことにも、気付かないなんて。
きっと、無意識の仕草なんだろうね。

「・・・いってらっしゃい。」

不本意ながらも嘘に乗ってあげるボク。
だって、泣いて引き止めても、こっちを見てくれないって、知っているから。

「いってくる」

あっという間に闇に染まって見えなくなってしまった背中に、ボクは一言呟いた。


「・・・ウソツキ。」







2004年02月24日(火) 心のドアを。


私は、叩いてもいいのだろうか。

『中に居る』ことはわかってても、

『中がどうなっている』のかはわからない。

もし、倒れていたら?

もし、死んでいたら?

もし、もし。

ドアが開くのを待ってた。

だけど、今は。

無理矢理こじ開けても、いいのだろうか。




2004年02月23日(月) 甘えたい症候群。


ボクはキミに甘えてるのかもしれないナ。

キミはボクに甘えてるの?

ボクはキミのために。

頑張るからね。



2004年02月22日(日) 雨粒。


冷たい、雫。

鼻筋を通って、

潤んだ口唇を滑って、

落ちる。

乾いた心に、

染みて響いた。




2004年02月21日(土) 我儘。


アタシはコドモだ。

こんなことで。

アタシはコドモだ。

醜くて、嫌い。



2004年02月20日(金) 終わりの衝動。


無くなってしまえば終わりか。

其処にまだ居たとしても。

亡くなってしまえば、終わりなのか?



2004年02月19日(木) 境界線の所在。


キミとボクの違いに気付いて。

喩え遺伝子レベルでキミと同じだとしても、

キミはキミ、

ボクはボク。

別の個体なのだと気付いて。

どうしてキミは、

ボクのことを知ろうとしないで、

ボクのラインを決めてしまうの?

ボクはアナタを決めたりしない。

キミもボクも、

同じ、無限の可能性を持つ、

個体だって、わかってるから。



2004年02月18日(水) 世界に愛を。


全てに愛を。

彩るのは極彩色の紅。

世界に愛を。

行き場のない孤独は、

背負ってみせるから。



2004年02月17日(火) 燃えてみるかい?



血の海で、溺れてぇんだろ?




2004年02月16日(月) 断罪。


斬らなければならない、想いが在る。

喩え、それが罪の上塗りだとしても。

私は、私の、正義にかけて。



2004年02月15日(日) 日出処。


世界が一枚の画だとするなら。

俺は、焼焦げた痕だろう。

異端なるモノ。

異端なる存在。

だが。

誰中心に世界が回ろうとも。

調和する気は、

俺には、ない。





2004年02月14日(土) 神鳴り。


その夜は嵐にも近かった。
窓に叩きつける雨粒が矢の様で、刻むリズムは死の序曲だ。
光る雷が、そのしなやかな裸体を一瞬だけ、浮かび上がらせた。

「もう、いい加減放しやがれ・・・」

荒々しく息を吐く。
その身体に、咥え込んだまま。
杭はまるで自分自身の罪のように。
身体に、深く突き刺さる。

「もう・・・お前に付き合ってられるか・・・」

溜息混じりにつぶやく声が、少し上ずって掠れる。
声を殺すのが、自身を護るプライドの最後の壁だった。
ただ、きつく下唇を噛締めるのが癖のようで。
時々、その鋭過ぎる犬歯が、唇を傷つけた。
暗闇の中ではわからないけれど、今宵も噛締め過ぎた唇は傷ついているらしい。
鉄の、生臭い味がする。

「早く、放せっつってるだろうが!」

声だけで抗ってみても、状況は変わらない。
逆に強気に出ることで、護るべき何かが露呈したようだった。
護るべきは、プライド。
暗闇での気配は、何よりも正直だから。

「・・・付き合いきれねぇんだよ、ボーヤ・・・」

上ずっては、掠れる、声。
まるで何事も無いかのように。
凛とした空気は、依然犯しがたいものに違いなかった。
そんな相手を手に入れたのは、何故だったのか。
もう、思い出せない。
わかることは、今宵、嵐が過ぎ去るまでは、相手が此処に居るということだけ。
雨粒が刻むリズムが、やけに耳障りだった。

「・・・放す筈、無いでしょう?」

自分が笑っているのが、わかった。
これは、何の笑みか。
蹂躙できるのは、身体だけだというのに。

「やっと、手に入れたんです。」

抱きしめることは、許されない。
直感的に、悟っていた。

「やっと、捕まえたんです。」

ただ、そのしなやかな身体の感触だけが、暗闇の向こうに沈んでいた。
そっと、屈み込んで耳元で告げる。

「私に負けたと、言って下さい。」

相手が殺気立つのがわかる。
しかし、今なら自分の方が優位だ。
揺さぶるだけで、啼かせられる、今なら。

「次会った時に、殺してくれてもかまわない。」

暗闇の向こうに、言葉は届くのだろうか。

「アナタは、私に、負けたんです。」

そう、今宵だけは、ね。
そんな呟きすらも、暗闇は飲み込んだ。



雨は止む事を知らない。
どこかでもう一度だけ、神が、啼いた。




2004年02月13日(金) あの日の想い出。


いつまでも、

色褪せることなく、

残り続けていくといい。

例え、世界が壊れたとしても。




2004年02月12日(木) 闇色の男。


全ては本能のままだと嗤った。

全てが冗談のようなこの男の、

潔い生き様だけが心地よくて。

この手で、縊り殺せると確信したんだ。




2004年02月11日(水) セルフプロデュース。


みんなが集まると、

やはり、

楽しいもんですね。




2004年02月10日(火) ボクは、非力だ。


アナタの一番で在りたいと願った。

それが、ボクの当然の権利だと。

勘違いしていたんだ。

アナタの暖かに滴る鮮血を被ってしまった今、

ボクはアナタを救う術を知らない。

傍で、共に、朽ち果てることさえ、

ボクには許されていない。

ボクは、なんて非力なんだ。



2004年02月09日(月) 痩せ過ぎ。


アナタは神経質です。

アナタは痩せ過ぎです。

予防注射ができないほどに。




2004年02月08日(日) 夜伽語り。


霞んだ闇の中からうっすらと光が射した。
ふと、いつの間にか自分が砂嵐荒れ狂う荒野に目をつぶって立っていたのかと現実を誤認する。
しかし、視界がはっきりとした時に見えたのは、自分の手の甲。
視界の次に回復した触覚が、全身の皮膚を通して肌に馴染んだ感触を伝えてくる。
視界に映っている自分の手の甲が手前に行ったり来たりする。
いや、自分の脳が、そうさせているのか。
無意識に、自分の周りに張り付く何かに手を滑らせていた。

・・・『俺』は、寝ている・・・?

うつ伏せになって接している全身の触覚が、少し湿ったシーツの触感を伝えている。
やけに馴染んだ感触だと思った。
自分は、とある宿屋の世辞にも豪華とは言えないベッドに横になっていたのだ。
そこまで認識したところで、無意識と有意識の間を彷徨ったまま行ったり来たり上がったり下がったりしてシーツの感覚を確認していた自分の手が、何かにぶつかる。
しかし、その塊は生暖かいと言う言葉がぴったりの温度を持っていた。
これは、なんだ。
そっと指を這わす。
これまたやけに指に馴染んだ、適度に張りのある弾力感。
これは、一体。
これは一体、なんだ。

「起きたのかい?」

その塊が、急に音を発した。
その時、夢と現を彷徨っていた自分には、聴覚はなかった。
しかし。
鼓膜に響く、低く甘い音。
聴覚を持たない自分がそれを言葉と認識することはなかったが、身体に馴染んだその音は、鼓膜を甘く振動させた。
視覚でその塊を確認しようと思った。
触覚では限界がある。
身体を起こす動作と共に、『俺』は早急にその他の五感を復活させることを自らの脳に命令する。
視覚と触覚だけでは、何もできない。
身体を起こすと、さらさらと肩口から髪が零れる。
別に、特に手入れをするわけでもないが、この髪は強張ることなくさらさらと流れ続けた。
視界に入る白いシーツはこれでもかと言うほどにしわくちゃに波打っていた。
そこに、血を零す様に流れ落ちていく、自分の髪。

「・・・起きたのかい?」

もう一度、その塊が言葉を発する。
<オキタノカイ?>、そう聞こえた。
聞こえた、そう、つまり聴覚の復活だ。
五感を失うほどに、目を覚ます前の自分が何をしていたのかなんて微塵も覚えてはいない。
しかし、実際、驚くほどに自分は何もできない赤子同然の、いや、それ以下の五感しかなかった。
言葉のする方を、ゆっくりと首を回して確認する。
少々長すぎる髪の毛が視界を遮ったが、その隙間から見える視界を繋ぐだけでも、世界は形作れた。

「まさか、気絶するなんて。おめぇさんが、そんなにヤワだなんてな。」

そう言ってその塊は、少し口角を上げる。

・・・・―この塊は、なんだ。

見覚えがあるような気がするが、それが何なのかまでは意識が到達しない。
意識がと言うよりは、記憶が、だろうか。
凄く、聞いたことのある、声。

「そんなに酷くしたつもりはないんだがね。辛かったのなら謝る。」

チッ、と音が鳴って煙草に火が点く。
そう、<アレ>が持っているのは煙草。
『俺』が寝ているのはベッド。
波打っているは、シーツ。
ここは宿屋。
今、半ば視界を遮っているのは髪の毛。
起こした身体を支えているのは腕。
だけど、どうしても、<アレ>がなんなのか、思い出せない。
とうとう『俺』は、その塊を認識することを諦め、もう一度ベッドへとうつ伏せる。
<アレ>は喋り続けた。
・・・煙草の、匂いがする。

「しかし、おめぇさんが起きないから、どうしようかと思ったぜ。」
「置いて帰っちまうわけにもいかねぇだろう?」
「気がついてよかった。」

鼓膜が、甘く震え続ける。
別に、耳元で囁かれているわけでもないのに。
凄く、聞いたことがある気がする。
どこで、聞いたんだったか。
この、低く腹にズシンと響く声は。
そんなことを考え続けた。
そうしたら、その生暖かい塊は、『俺』の沈黙をどう取ったのか知らないが、黙り込んだ。
煌煌と明るい部屋に、無機質な静寂が横たわった。
煙草を吸って吐く音だけが、水面に水滴を落とすように反響していた。
しばらく、煙草を味わっていた<アレ>が、サイドテーブルの安売りされているビールの空缶に押しつぶす気配がした。

「・・・なぁ、<アイスル>気持ちってわかるかい?」

さっきまで一方的だった喋りが、問いかけに変わった。
それは、わかった。
しかし、鼓膜を振動させる音を上手く言葉に変換できない。
この塊が何かもわからないのに、更に言っていることがわからなくなってしまったら、おしまいだ。
この塊は、何が言いたかったのだろう。
枕に顔を埋めたまま、『俺』がその問いかけに反応することはなかった。

「俺は俺なりに、これでもおめぇさんを<アイシテル>んだぜ?」
「おめぇさんが俺のことをどう思ってようがかまわないがね。」
「わかりにくい形かも知れねぇが・・・俺は、おめぇさんのこと・・・」

ぎっ、とベットが軋む音が鳴る。
肩をつかまれ仰向けにされた『俺』に、生暖かい塊が圧し掛かってきた。
そっと落ちてくる柔らかい感触を自分の唇で感じた時、何かが脳内でフラッシュバックする。

・・・!・・・

そうか、コイツ。
コイツは、『俺』の。

その瞬間、手に、何か硬いものが当たる。
咄嗟に、武器だと思った。
しっかりとそれを握ると、身を翻し、ソイツに馬乗りになる。
その振動で、ベッドから上布団がずり落ちる。
今や、ベッドの上は裸身を晒した『俺』とコイツだけだった。
武器は短刀だったらしいが、構うことはない。
何故、そんなものがベッドの中に転がっていたのかも、『俺』の知ったことではなかった。
左手で相手の左肩を押さえつけたまま、右手で渾身の力を込めて相手の右耳の傍に短刀を突き立てる。
長めだった相手の後れ毛が、数本はらりと枕に落ちていった。
枕は羽毛だったらしく、周りに羽根が舞い上がった。
枕だけはで上等でいやがる。
そんなことを脳の片隅で思った。
そして、視界を取り戻してからこっち、初めて『俺』は音を発した。
尤もそれは、言葉などではなく、うなり声に近かったけれど。

「・・・『俺』に触るな。」
「『俺』はいつでもお前が殺せる。」
「『俺』が邪魔だと感じたら、迷わず殺してやる。」
「いいか、お前は、いつだって『俺』に逝かされるんだ。」

呆気に取られる相手に、クロスした腕の隙間から鼻先つき合わせてそこまで威嚇すると、『俺』はさっさと服を身にまとう。
こんなところ、一刻も早く出て行きたかった。
部屋を出ざま、『俺』は、捨て台詞を吐いた。

「・・・『俺』は、誰にも縛られたりしねぇ。」

静かに部屋のドアを閉めた。
ドアの向こうでアイツがどう思ってるかなんて、どうでもよかった。


ただ、今更ながらに復活した味覚が、貪欲にアイツの唾液を欲していた。








2004年02月07日(土) キミを、想う。


キミのココロが

血を流さなければいい。

離れた場所で、

キミを、想った。




2004年02月06日(金) この惑星のどこかに。


ボクだけを見てくれる誰かがいる。

ボクの全てを攫う、

絶対神のような、誰かが。

ボクは、その誰かを探していた。

裸足で、裏路地を彷徨いながら、

小汚い格好で、

それでも、視線だけは下げずに。

ボクは、アナタを、待っていたんだ。




2004年02月05日(木) 最後の時間。


もし、残された時間が少ないとしたら。

もし、残り時間に私しか気付いていないとしたら。

もし、アナタの笑顔が私に突き刺さるとしたら。

私は泣かずに、笑い返せるのでしょうか。




2004年02月04日(水) 立春。


まだ身に染む寒い風が吹く中、

プライスダウンした冬物コートに首を埋めて、

二人で、

「幸せになりたいね・・・」

と呟き合いました。

私達はまだ、

冬の中に住んでいました。




2004年02月03日(火) 恋しかるらむ、君想ふ時。


微熱のせいです。

脳内に花が咲きました。

今すぐ誰かに抱きしめられたい。

私を好きなら、誰でもよかった。




2004年02月02日(月) 君紡ぐ亡きものの唄。


生きている。

生きて、残されてしまった。

もう、生きる意味なんざねぇのに。

そうか。

死にたいと思うのが、

間違いか。




2004年02月01日(日) 今の誕生と死。


今は無限に生まれ続ける。

けれど。

今は無限に死に続ける。

今は無限に、殺され続ける。

『今』のために、

私は何をしてあげられるのだろう。

殺しているのは、私なのに。



 既知  置場  未知


本田りんご

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