ぴよの映画めった斬りコーナー
ぴよが見た新作映画・ビデオ・DVDを個人的趣味でぶった斬るコーナー
ぴよと意見が合わないからっていじめないでぇ〜ん!(^_^;)
【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2008年06月30日(月) イースタン・プロミス

監督:デヴィッド・クローネンバーグ
出演:ヴィゴ・モーテンセン
    ナオミ・ワッツ
    ヴァンサン・カッセル、他
オススメ度:☆☆☆☆−


【あらすじ】
クリスマス近いある晩、アンナが勤める病院に大出血を起こした妊娠した少女が運ばれてきた。緊急出産させて子供の一命は取り留めたものの、少女は死亡してしまう。少女の身元を調べようと持ち物を調べると、ロシア語で書かれた日記が出て来た。日記に挟まれた名刺を頼りに、あるロシア料理レストランを訪ねたアンナだったが・・・


【感想】
変態鬼才クローネンバーグ監督×ヴィゴ・モーテンセン出演最新作。
本作はR-18指定になっているので、良い子のお坊ちゃんお嬢ちゃんはご覧になれません。
で、その問題のR-18になった原因は「凄惨でグロい殺人シーン」ではなく、「ヴィゴ@アラゴルン by LOTR」が完全無修正全裸ファイトをしてくれている!という部分なんだろうと推察。
ってかー、正直言うと本作の内容全く下調べしてなくて、「ヴィゴの無修正全裸が見れる!」というだけで鑑賞♪
毎度毎度アホで本当にすいません(涙)

予備知識なし(情報はヴィゴの全裸のみ)で見た本作ですがー・・・
ロンドンに巣食うロシアンマフィア、先進国に不法移民として流れ着いた人達の暗部を描く真面目なサスペンスでした。

ヴィゴは髪をキッチリとオールバックにした、一部の隙もないマフィアお抱え運転手という役。
運転手でありながらマフィアの大ボスのバカ息子のお守り役をしていて、マフィアの本メンバーとして認めてもらって上を目指そうと虎視眈々と狙っている。でもそれだけでない何やら腹に一物持ってる様子。
この「腹に一物」部分が後のタネ明かしの重要なネタなんですが、映画のかなり早い段階で殆どの方は予想が付くだろうと思います。ってか見始めて直ぐに「こんなん、アレだろ?○×△※・・・」と予想付いちゃった(^-^;

クローネンバーグ監督らしい(?)エグエグ映像もバッチリ☆
何かなー。見せ方がいやらしいって言うのか(苦笑)、喉をスパッとナイフで切り裂くんだけど、よくありがちなスプラッタ物ならピューピュードバドバと血しぶき上げて派手な絵を作るトコロだろうと思うんだけど、クローネンバーグはそんな可愛い演出はしない。一拍置いて血が「どろぉ〜ん」・・・もうね、本当にイヤな感じぃ〜。でも嫌いじゃなーい♪(をい)

話自体は結構ありきたりなネタだよなーと思ったものの、本作はキャスティングが秀逸でしたね。
特にマフィアの大ボスのバカ息子(自称・王子)を演じたヴァンサン・カッセルはすっごく良かった!
実は話の筋自体には大して絡んでない役ドコロ、しかもステレオタイプの「バカ息子」なんだけど、このバカ息子の様子がマフィアの暗部や「ファミリー」と呼ばれる独特の結束を上手い具合に演出し、更にバカ息子自身の苦悩までをキッチリと見せています。コレはヴァンサン・カッセルの演技勝ちでしょう。

映画の筋はサスペンスなんだけど、所々で少女の日記の内容をナレーションとして入れる事で、ロンドンに流れ込む不法移民の悲しい現実や不法移民を食い物にするマフィアの実情等を提示していきます。
このナレーションによって本作を単なるサスペンス娯楽ではない、社会派サスペンスに一気に押し上げ、更にそのマフィアの実情をバカ息子の魅力的なキャラによって、泥臭い人間ドラマとして深みを出すという挟み撃ち。
個人的に結構好きな部類の作品でしたねー。

ところで、映画冒頭で散々書いた「ヴィゴ様無修正全裸シーン」ですが・・・
これまた迫力ありましたよー!もうね、揺れるお宝に目が釘付けっ♪じゃなくてー(いやそーなんだけど)、実は凄く緊迫感のある手に汗握るシーンでした。ホント!お宝だけじゃないぞ!←しつこいって(^-^;

あ、あのね!
ホントに蛇足なんだけどー、全裸シーンの前には「黒パンツシーン」ってのもあってね、これがまた〜♪←アホ








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2008年06月26日(木) 近距離恋愛

監督:ポール・ウェイランド
出演:パトリック・デンプシー
    ミシェル・モナハン
    ケヴィン・マクキッド、他
オススメ度:☆☆☆☆−


【あらすじ】
トムとハンナは男女の垣根を越えた10年来の大親友。ところがハンナが長期出張に出掛けて離れ離れになってみて、トムは彼女を好きだった事に気付いた。出張から戻ったハンナに告白しようと会いに行ったトムは、そこで彼女から「出張先で出会って一気に恋に落ちた」という彼を紹介され、何と2人は2週間後に結婚するばかりか、トムは筆頭花嫁付添い人(MOH)になって欲しいと頼まれてしまう。


【感想】
米国の大人気TVドラマ「グレイズ・アナトミー」で一躍大人気になったパトリック・デンプシー主演のラブコメ。
グレイズ・アナトミーは以前DVD発売記念試写会で1話と2話だけ見ましたが、パトリック・デンプシーがそれ程婦女子に人気になっているとは失礼ながら知りませんでした。

本作、予告編は何度か劇場で見た事がありましたが、正直言って全く興味が持てなかった。
ああ、結末までミエミエのよくあるラブコメね。花嫁付添い人ネタってこの前見た「幸せになるための27のドレス」と丸々被ってるやん。1つウケると似たよーなネタで雨後のタケノコみたいにジャンジャン量産されるわネ!
・・・正直言って、予告編見た限りではそんな風にしか思えませんでしたね。

で、本作。
まあ確かにオチはミエミエだし展開も予告編で想像したまんま。別にどーって事ないラブコメです(をい)
でも個人的には本作の方が「27のドレス」よりも断然面白かったなぁ。ってか、最近見たラブコメの中ではかなりツボ♪

結構笑わせるんですよね。小ネタの使い方が洒落てて楽しい。
大筋や展開〜オチは誰でも予想したまんまの話だし、逆に予想した通りの話じゃないとラブコメとして落ち着かない。
だからその判り切ったネタをどれだけ肉付けして楽しませるかが、ラブコメの醍醐味って事になると思うのですが、本作の小ネタや伏線の張り方・その伏線の落としドコロがかなり個人的に好きなタイプの作品でした。

例えば、骨董品店に2人で買い物に行った際に、ワニ皮の財布を見たハンナは販売員に「動物虐待ね」と言う。中華料理店で料理を注文する時に、トムはハンナの好みに合わせて揚げ物を敢えて注文しない。
映画冒頭からハンナが出張するまでに、「男女の垣根を越えた親友付き合い」の日常シーンをサラリと見せる。
これ等以外にも、様々な「何でもないシーン」が全て後にトムが自分の本当の気持ちに気付いたり、ハンナが結婚に躊躇するきっかけになる伏線として違和感なく観客へ提示されて行きます。

それからトムの男友達が実に楽しい。
下ネタ満載なんだけど、全く嫌味もなくカラリとしていて素直に笑えるのが好印象。これ等の下ネタを女友達同士の会話として見せられると、何だか凄く下衆で下品な感じがするんだけど、気の置けない男同志の会話だと思うと「男友達って本当にいいよなぁ〜。悪態付いても裏がなくて気持ちのいいヤツらだよなぁ〜」と思えるから不思議。

はっきり見せないんだけど、チラリと会話や表情で微妙な心理状態を見せるというやり方も好き。
個人的にはハンナの母親がハンナの部屋にアルバムを持って来て、亡き夫(ハンナの父親)が見込み違いをしていたと語るシーンがとても好きですね。
きっと母親自身もそう思っていたんであろうと。そして娘に本当に彼と結婚してもいいのか?と無言で問いかけていたんではなかろうかと思ったのですが・・・深読みし過ぎですか?(^-^;

まあそんな訳で、個人的に笑いのツボや伏線の張り方→落としドコロがかなり気に入った作品です。
もう本当に「ありきたりでどーって事ないラブコメ」なんですが、どうせどうでもいいラブコメ見るなら、少しでも自分のツボにハマる何かが欲しいじゃないですか。
てな訳で、本作は「超個人的にツボ」でした。でもしつこいようですがありきたりな話ですから!期待しないでね(苦笑)








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2008年06月25日(水) クライマーズ・ハイ

監督:原田眞人
出演:堤真一
    堺雅人
    尾野真千子、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
1985年8月12日、乗客524名を乗せたJAL123便が群馬県御巣鷹山に墜落した。地元地方紙「北関東新聞」の遊軍記者・悠木は社長直々に事故に関する記事の全権デスクを言い渡され、未曾有の大惨事に対峙する事になる。慌しく取材記者を動かす中、無二の親友・安西がくも膜下出血で倒れて病院に搬送されたという知らせを聞く。


【感想】
横山秀夫氏著の大ベストセラー同名タイトル小説の映画化。
ぴよは横山氏の作品は大好きなので、文庫化されたものは全て読んでいます。好きだと言うクセに文庫化されないと読まないのは、単に自分が貧乏だからです。悲しいです(涙)

さて、そんな訳で本作は珍しく原作既読。
もうね・・・泣きましたよ。孤高の遊軍記者・悠木の高揚、焦り、葛藤、激闘、焦燥、悔恨、そして決断。日航機墜落事故という未曾有の大惨事を舞台に、それを報道する側の人間の視点でこの事故を読み解き、そして一人の男の生き様を見せる、本当に素晴らしい作品でした。
本作の原作をお読みになってない方は、是非原作を先にお読みになる事を強くオススメします。

・・・って、をい。(^-^;
映画の感想じゃないでしょー。コレは。

いや、映画を見てまず思ったことは「コレ、原作読んでないと訳わかんねーんじゃね?」という事でして。
まず映画冒頭の悠木と安西のシーン。会話が何言ってんだかさっぱり聞き取れません。しかも何故2人が衝立岩を目指しているのかとか、2人がどういう関係なのかも説明なし。会話で説明してるのかもしれないけど、そもそもその会話が全く聞き取れないんだからお話になりません。

話は2007年に安西の息子と2人で衝立岩を目指すシーンと、1985年の日航機墜落事故当時の様子を交互に見せます。
原作を読んでいない人には、どうして現在衝立岩を目指すシーンが挿入されるのかが、今一つ納得いかないんじゃないだろうかと思う訳ですが・・・本作は「日航機墜落事故をドキュメンタリータッチに描いた作品」ではなく、あくまでもこの大惨事を報道する側の人間の「生き様」を見せるという話です。
だから悠木のプライベートに関しても深く食い込み、この大惨事を通じて自分の過去〜現在〜未来をも俯瞰させるという作りになっています。そんな訳で、原作ではこの「衝立岩」というのはとても大切なシーンになっています。

ところが本作、「日航機墜落事故を報道する者」としての記者魂の部分はかなりスリリングに丁寧に描かれているとは思ったのですが、安西との関係や特に息子との件に関しては説明不足過ぎて中途半端な描写に終始。衝立岩のシーンが完全に浮いています。
だから原作未読の方がご覧になると「手に汗握る社内での丁々発止シーン」にワクドキした瞬間、盛り上がった気分に水を差すかのように衝立岩のシーンに切り替わって「ぁんだよ。ったくよぉ〜(怒)」になるんじゃないかと(^-^;

「新聞社内の騒然とした様子」「現場の空気感」を描く事にこだわっているのか?映画冒頭だけでなく、その後の社内での緊迫した遣り取りのシーン等もかなり早口でまくしたてるのですが、少なくとも原作未読の方にも必要最低限の人物相関図と事情位は理解出来る程度に、セリフ回しに気を遣って欲しかったですよ。
「せきれん」とサラリと早口で言われて、何の事を言っているのか瞬時に判る人は何人いるでしょう?

   ※せきれん→赤連、本作では大久保赤連(大久保事件・連合赤軍事件の事)

個人的には佐山が書いた「現場雑感」の文を原作で読んだ時、鳥肌が立って、当時TVで見たあの墜落現場の映像がまざまざと瞼の裏に蘇って、佐山がこの現場で何を見、何を感じたのかを思うと涙が止まらなくなったものです。
そして映画で正にあの佐山の「現場雑感」が・・・文の冒頭が読み出されたトコロで感極まって涙が出てきたのですが、もうダメだもうあかんと思った正にその瞬間!・・・アレ?サバサバともう次のシーンですか。そーですか(溜息)

原作に妙に思い入れが出来てしまうと、映画化された際に自分の思い入れの強い部分がサラッと流されていると不満たらたらになってしまうのは仕方のない事です。
たまたま今回、自分が感動した原作の映画化だったので思い入れが強過ぎて不満の方が際立ってしまいましたが、本作でも悠木の報道人としての生き様部分だけは、過不足なく示すだけの材料はきちんと描いていたと思います。
それをどれだけ観客に受け取らせる事が出来たかは謎ですが(苦笑)

見て損はない作品だと思うんですが・・・まずは原作を先に読んでからご覧になって欲しい。
そうすれば、原作を読んだ際に脳裏で描いていた・描き切れなかったモノが映像としてストレートに飛び込んでくるので、インパクトはあるだろうと思います。
内容を知りたくないから敢えて原作を読まずに本作にチャレンジする方・・・衝立岩シーンも本当は大切なんですヨ(^-^;








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2008年06月16日(月) ミラクル7号

監督:チャウ・シンチー
出演:シュー・チャオ
    チャウ・シンチー
    キティ・チャン、他
オススメ度:☆☆☆


【あらすじ】
小学生の息子ディッキーと工事現場で働く父ティーは、超ド級の貧乏親子。だが学がなかった為にロクな職に就けられなかったティーは、せめて息子にはきちんとした教育を受けさせたいと、借金してまでもディッキーを私立の名門小学校に通わせている。ある日ティーが拾ってきたゴムボールでディッキーが遊んでいると、そのゴムボールが変形を始めて・・・


【感想】
チャウ・シンチー脚本・監督・製作・主演(?)の新作は、何と「親子感動SF超大作」
貧乏親子と地球外生命体「ミラクル7号(通称ナナちゃん)」が繰り広げる愛と友情と感動のSF巨編・・・らしい?
公式サイト等でも「ドタバタコメディでありながら【E.T.】を彷彿させる感動巨編」と煽りまくり。ホントにこんなに華々しいキャッチコピー付けちゃって大丈夫なんでしょうか?(苦笑)

ここの所、カンフーアクションコメディで立て続けにヒットを飛ばしているチャウ・シンチーですが、本作は少林サッカーやカンフーハッスルを見て大喜びしたアクションファンやコメディファンが見ると、ちょっと首を傾げたくなるような?
ワイヤー+CGアクションシーンも少々ありますが、あくまでもアクションシーンは見せ場ではありません。

香港映画らしい(チャウ・シンチーらしいと言うべきか?)ゆるいB級コメディ。
結構ベタなネタで笑わせてくれるってヤツですね。ベタネタでゆるゆる楽しませて、でもクライマックスで怒涛の親子感動モノに持って行くという手法・・・まあコレも「いかにも香港B級コメディ」の王道。
目新しいのは「地球外生命体との交流」という、香港では余り作られないSFモノ?になっている部分くらいか。アクションコメディを期待しているとガッカリすると思いますが、「香港映画好き」さんならバッチリ楽しめる仕様なんじゃないかと。

本作はキャスティングも話題になってますね。
ティーの息子・ディッキーを演じた子役ちゃんは、何と女の子が演じているそうだ。他にもディッキーをいじめる同級生の金持ち息子や、金持ちいじめっこグループの用心棒?をしている巨漢少年も女の子が演じているというから驚き。
逆にディッキーに思いを寄せる巨漢少女役は男性のレスラーが演じているとか。
ここまで逆転させなくてもいいような気がするけど、誰も彼もが見ていて全く違和感を感じさせないのもスゴい。

チャウ・シンチーがこだわったという「ミラクル7号」の造形も、オンナ子供が大喜びしそうな愛らしさ。
神経質な方が見ると眉をひそめそうな・・・お約束の「ウ○コネタ」もありますが、ナナちゃんが可愛いからOK!(をい)
コメディ部分の大半を、このナナちゃんが担ってくれています。いや実際かなり笑いましたよ。ベタなんだけどなぁ〜

既存のハリウッド映画のあのシーン・このシーンをパロったり、セルフパロも交えて映画好きさんにも楽しめる。
でもまあ・・・ゆるゆるB級なのに間違いはないですね。「わざわざ劇場まで見に行くまでもない」と言う方も多そうな。まあ正直言ってぴよ自身「結構楽しいけど、金払うまでもないかなぁ〜」と思っちゃったクチですし(苦笑)

・・・と言いつつ、実はクライマックスシーンでマジ泣きしちゃいました(^-^;
何なんだよ全くぅ〜。香港映画ってコレだから好きさ♪←どっちだよ








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2008年06月11日(水) 奇跡のシンフォニー

監督:カーステン・シェリダン
出演:フレディ・ハイモア
    ジョナサン・リース=マイヤーズ
    ケリー・ラッセル、他
オススメ度:☆☆☆


【あらすじ】
11歳のエヴァンは「いつか必ず両親が迎えに来てくれる」と信じてNY郊外の孤児院で暮らす少年。音に非常に敏感なエヴァン少年は、ある日不思議な音に導かれるように孤児院を抜け出してマンハッタンへやって来た。ストリートミュージシャンの少年グループと出会ったエヴァンは、生まれて初めて楽器に触れてその才能を開花させて行く。一方エヴァンの母親は、死産したと聞かされていた我が子が生きている事を知って、必死にエヴァンの消息を追うのだが・・・


【感想】
売れっ子子役フレディ・ハイモア君主演最新作。
監督は「イン アメリカ 三つの小さな願いごと」の脚本を手掛けたカーステン・シェリダン。本作はまず劇中に使用されるオリジナル楽曲を探す作業から取り掛かり(勿論先に脚本ありきだとは思いますが)、その音楽に脚本をフィーチャリングさせるという変わった手法で製作されたそうです。

エヴァン少年は生まれながらにして音楽的才能に恵まれ、風のそよぎや街の雑踏、ありとあらゆるものからメロディを紡ぎだすという特殊技能を持っている。
マンハッタンにやって来て、噴水の縁に立って街の雑踏とシンクロしながらまるで交響楽団を操る指揮者のように手を広げてパフォーマンスする様子は、後の展開を示唆する重要なシーンだと思うのですが、正直「この恍惚の表情・・・もしかしてこの子は頭の少々弱い子なのか?」と思わされる程でした(コラ)

まあそんなこんなで(←どんなだよ)
相変わらずフレディ・ハイモア君は演技が上手い。天才過ぎて「音バカ」状態の少年を実に上手く演じている。
正直言って本作は脚本や設定自体に相当ムリがあると思うんだけど、マズい部分は全部フレディ・ハイモア君の演技力がカバーして揉み消してくれているといった具合。

そもそもエヴァン少年の両親がトンデモバカップルですから(苦笑)
飲み屋だかどこかのパーティーだかでたまたま出会って、出会ったその場でセックス。お互い名前だけ名乗って連絡先も何も告げずに別れたまま消息不明。その後進んでお互いの消息を辿る事もなかったクセに、そのまま10年以上もお互い思い合ってるなんて、運命とか奇跡を通り越して変態ですよ(笑)
両方ともたった一夜の出来事が、後の自分の人生を大きく狂わされる(軌道変更させられる)事になるのだが、そこまで影響するような相手の事をどうして10年以上も平気で放置していられるのかと。お前らマゾも大概にしろと。

更に親が生きているかすらも不明状態のエヴァン少年は、何故か決然と「いつか両親が迎えに来る!」と言い張る。
もし迎えに来た親がシャブ中アル中の借金まみれだったらどうするつもりなんでしょう?
借金返済に困って「そーいや昔施設に預けたガキがいたな、あいつの臓器でも売っ払うとすっか」なんて心積もりでエヴァンを引き取りに来たとしたら目も当てられません(笑)

ま、それもこれもフレディ・ハイモア君の演技がフルカバーする超ド級ファンタジー!
↑上では散々ツッコミ入れまくりましたが、実際映画を見ている最中にはこんな意地クソ悪い事を考える余地はありませんからご安心下さいよ。ぴよがちょっとひねくれて書いちゃっただけの事です。すいません。

「音楽は世界共通語」とは昔からよく言ったモノですが、本作は正にそれを映像化した作品だと言えるでしょう。
生まれて初めてギターに触れて数秒でマイケル・ヘッジス化しようが、ピアノの鍵盤に触れて数時間でスタニスラフ・ブーニン化しようが、それは全てエヴァンの起こす奇跡なんだから無問題。
何しろタイトルが「奇跡のシンフォニー(邦題)」ですから、物語は全て都合よく奇跡のオンパレード。奇跡もここまで続くと嫌味なんじゃないかと思わなくもないけど、でもとにかく奇跡!ビバ奇跡!

・・・何か全然誉めてないじゃん。<自分
おかしい。映画見てる時は実はちょっぴりクライマックスでジーンとしてたハズなんですが、見終って感想書いてみたらこんな意地クソ悪い事しか書けなかった。何がいけないんだろう???
あ、ぴよの根性がいけないんですね?うん、きっとそうです。素直に見れば感動出来るハズです。ホントです!(^-^;








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2008年06月05日(木) ジュノ JUNO

監督:ジェイソン・ライトマン
出演:エレン・ペイジ
    マイケル・セラ
    ジェニファー・ガーナー、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
16歳のジュノは、同級生のポーリーと興味本位でたった1度セックスしただけで妊娠してしまった。中絶するつもりで訪れたクリニックの前で、中絶反対を呼び掛ける同級生の「赤ちゃんにはもう爪も生えてるのよ!」の言葉に衝撃を受けたジュノは出産を決心、生まれた子供は裕福で完璧だけど子供の出来ない夫婦に里子に出す事に決める。親・同級生も巻き込んでの妊娠生活だが、肝心のポーリーは蚊帳の外。そんな中、ジュノの周囲がにわかに変化していく・・・


【感想】
アメリカで初めはたった7館のみの単館公開だったのが、クチコミで話題が話題を呼び、最終的には2448館にまで拡大してセンセーションを巻き起こし、更には若手女流脚本家ディアブロ・コディは、本作が長編映画脚本デビューにして本年度のアカデミー賞最優秀脚本賞を受賞というオマケ付き。

話は16歳の少女の望まない妊娠に伴う人間ドラマという青春映画。
過去に何度も同様のネタのドラマや映画は数限りなく製作されているし、日本でもこのネタは定期的に作られる。
ありきたりな葛藤があってありきたりな展開があるんだろーなー・・・と大体の想像は付くものの、既存のこれ等のネタの話というのはかなり重々しくシリアスなドラマに作られていたと思うのですが、本作は主人公のキャラが秀逸で、カラリと明るくライトな空気感で見せていきます。

主人公のジュノはコアなホラーやロックが大好きな、16歳の少女の中ではマイノリティタイプの女の子。
子供っぽく短絡的・楽天的な側面を見せつつ、精神的に成熟して大人びた一面も見せ、「16歳」という大人でも子供でもないどっちつかずの微妙な年齢の少女の内面を丁寧に描いています。

アメリカの片田舎のどこにでもある中〜下流の家庭の混沌とした様子や、両親(特に継母)との距離感、あけっぴろげでハスッパな感じだけど案外友達思いなクラスメイトとのやりとり、初めて接する等身大の大人の男性、そしてセックスと気になる男の子の事・・・多感な16歳の誰もが通る道のりを、ジュノの巧みなセリフ使いで観客に魅せつける。

って、誰もこんな道のり通らねーしっ!(^-^;
ああいや、その、イマドキの16歳なら興味本位でセックスもするし妊娠もするんでしょうか?・・・遥か彼方の大昔に16歳が通り過ぎて行ったぴよには「イマドキ16歳事情」がよく判らないんですが、少なくとも今の日本で「妊娠しちゃった→中絶するのはイヤ→養子縁組に出す」という発想は定着していないと思うんですが?どうなんでしょうか?

この手の「少女の望まない妊娠ネタ」ってのは、大体が「最初は投げやりなんだけど、お腹が大きくなるに従って段々母親としての自覚に芽生えて、少女も周囲も人間的に成長する」という展開がお約束だと思っていたのですが、本作は「母性」の部分をバッサリと切り捨ててあくまでも「ジュノと家族&周囲と彼氏の事情」に特化したドラマ構成になっています。

コレは新しい見せ方だと思いましたね。
検診に行った先の医師(技師?)に「10代の母親の育児環境は劣悪だから」と言われた事に関して、ジュノの継母が一喝するシーン等があるのですが、それはジュノに母性が芽生え始めるきっかけとなるエピソードではなく、今まで少しギクシャクしていた継母とジュノの母子関係の修復を見せるという役割でしかなく、あくまでもお腹の赤ん坊の存在がジュノの人生にとって終始「お荷物・その1」という立ち位置なのは変わらない。

あくまでも「ジュノと今まで関わってきた人達の成長・変遷」を見せる話で、少女の無責任な妊娠に関する社会的考察だの人道的配慮だのいう小難しい事はバッサリ切り捨て。
これはこれでいいと思うのですが、きっと賛否両論だろうなぁ〜という気がしますね。
ぴよ個人的には割りと楽しめたクチなんですが、「女性と妊娠」「女性と出産」等と言うキーワードに過剰に反応するタイプの方がご覧になったら、正直かなり不快な思いをするんじゃないだろうか?という気がしなくもないです。

まあでも・・・ぶっちゃけ「この手の話に感動する年齢じゃーないしなぁ。でも上手い作りだよな」程度でして(^-^;
セリフ回しが気が利いていて楽しいんですけどね。でもティーン向けの映画かな?って気はしました。








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2008年06月04日(水) チャーリー・ウィルソンズ・ウォー

監督:マイク・ニコルズ
出演:トム・ハンクス
    ジュリア・ロバーツ
    フィリップ・シーモア・ホフマン、他
オススメ度:☆☆☆


【あらすじ】
1980年代ソ連と冷戦時代のアメリカ。テキサス州選出の下院議員チャーリー・ウィルソンは、お酒と美女が大好きなお気楽極楽議員。でも平和を愛する心は人一倍強く、ソ連のアフガン侵攻のニュースを見て気に掛けていた。ところが州6番目の富豪で反共産主義の篤志家「ジョアン」から、ソ連からアフガンを救って欲しいと頼まれて現地を視察したチャーリーは心を揺さぶられた。CIAのはみ出しエージェント「ガスト」と共にチャーリーの孤軍奮闘が始まる。


【感想】
実在するアメリカの元下院議員「チャーリー・ウィルソン」の奮闘を描く社会派作品。
キャストがスゴイですよね。上記3人の名前を知らない人なんていないでしょう。この映画の制作費の8割以上は役者のギャランティなんじゃないかと思う位、とにかくメインキャストが豪華過ぎる。

要するに、田舎のノンポリお気楽極楽議員が富豪の美女にそそのかされて、気が付いたらソ連のアフガン侵攻を撃退するのに大いに貢献しちゃった!みたいな話なんですが・・・コレは事実だそうで、映画中でもCIAから表彰されるシーンが冒頭とラストに登場しますが、実際に彼はCIAから「影の表彰」をされたそうです。

ノンポリでお気楽極楽だって、世界ニュースを見てどこかの国の人達が誰かから攻撃を受けて苦しんでいる様子を見れば気の毒に思ったり同情位は誰でもする。チャーリーも最初はその程度の関心度だったんじゃないか?という気はしなくもないのですが・・・映画ではそういう心情の掘り下げ等がほとんどないので実際のトコロはよく分かりません。
また、田舎の1議員がどれくらいの権力を持っているのか、チャーリーは実際はどれくらいの立場の人物だったのかも映画を見る限りよく判らない。
少なくとも彼は国防歳出小委員会のメンバーだったようですが、メンバーの1人の独断で予算というのは簡単に倍額に出来るものなんでしょうか?

本作、予告編を見ると「お気楽議員が美女に翻弄されるコメディ」という印象を受けますが、実際蓋を開けるとごく真面目な社会派作品という作りになっています。
勿論予告編でも登場する「チャーリーズ・エンジェル」との遣り取り等、コミカルな部分もコマメに挿入して行くものの、正直言ってコメディ部分というのはほとんど予告編で出し尽くしている。
要するに「本作は真面目な社会派作品です」と言うと日本人にはウケが悪いので、トム・ハンクス×ジュリア・ロバーツという日本でも人気の役者が雁首揃えた楽しい楽しいお話なんですよー♪という誤誘導をしていたという事ですね。

そんな訳で非常に真面目な話なのですが(実際に起こった事の映画化だから仕方ありませんけどね)
使った役者がゴージャス過ぎるせいもあって、中途半端に娯楽性を出し、中途半端にチャーリーの活躍を見せてくれているので何もかもが上滑りな感じがします。
テンポ良くポンポンと話が進むので飽きる事はないのですが、そのテンポの良さが逆に「チャーリーの努力や苦労」が大した事でもない、誰でも簡単に出来てしまう事ような「お軽い話」という印象を受けてしまう。

後、本作を見るに当たっては最低限の米ソ冷戦時代の構造、ソ連のアフガン侵攻の辺りの知識は必要かと。
勿論それらの知識がなくても本作が理解不能という事はないだろうと思いますが、何も知識がない人が見るとラストのチャーリーのコメント「最後にしくじった」という意味が判らないんじゃないだろうか?と思います。
本作の言いたかった事って、結局はこのラストの一文に全て集約されていると思うので、世界の歴史に興味のない方は是非ここらの歴史をお勉強してからご覧になってもらいたいですね。

まあそんな訳で、痛烈にアメリカ社会・政治を皮肉った作品。
本国の方々が見れば、中には苦虫を噛み潰すような思いでご覧になる方もいるんでしょう。でも日本人には今一つピンと来ないお話ですよね・・・仕方ありませんよ。日本人はほとんどの人がノンポリなんですから(苦笑)








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2008年06月02日(月) ダイブ!! DIVE!!

監督:熊澤尚人
出演:林遣都
    池松壮亮
    溝端淳平、他
オススメ度:☆☆


【あらすじ】
中学生の知季が通うダイビングクラブ「MDC」が赤字続きで閉鎖の危機に追いやられた。そこへアメリカ帰りの新しい女性コーチがやって来て、閉鎖させない為に親会社に掛け合って条件を提示して来たと言う。それは「MDCから北京オリンピック飛び込みの日本代表を出す事」、その為に彼女は青森から才能ある選手「飛沫」をスカウトして来た。MDCのコーチの息子でエリート飛び込み選手の要一、飛沫、そして知季の3人はオリンピック目指して火花を散らす。


【感想】
直木賞作家・森絵都のベストセラー青春小説を映画化。
この方の本を読んだ事がありません。そもそも青春小説を読んで萌え萌えになる年齢じゃありませんから(涙)

でも本作は映画宣伝ポスターを見て萌えましたネ!
主役格の3人の男の子達がどの子もこの子も可愛いっ!知季を演じる林遣都クンは以前「バッテリー」を見て「んまぁ〜!何て可愛い顔してるんでしょ♪」と思って記憶に残った美少年。
それから要一演じる池松壮亮クンも「砂時計」に出演していたのが記憶に新しい。彼、妙に子供っぽくてカッペ臭い顔してるんだけど(ファンの方、すまん)、でもこういう朴訥な感じがおばちゃんのハートにズシン☆と来るのよぉ〜♪(苦笑)
唯一見覚えのなかった飛沫を演じた溝端淳平@もこみち似クン、2006年JUNONスーパーボーイ・コンテストで優勝した世間的認知度の高いイケメン君だった模様。ごめんね。おばちゃんJUNONは守備範囲外なの(^-^;

まあ、そんなこんなで「美少年スポ根映画」
なんだよ、上記にも書いた「バッテリー」と同じ系譜かよ・・・と思ったら、本当に全く同じような系譜(苦笑)
今って美少年スポ根映画がブームだったりするんですか?おばちゃん嬉しいけど、感情移入は出来なくてヨ!

「ダイヤモンドの瞳」とか言う、何やら厳かな才能が映画中に披露されます。
コレは努力では培えない、持って生まれた天賦の才らしいのですが、たまたま知季がこの「ダイヤモンドの瞳」を持ち合わせている事に気付いた女コーチが、知季に「プール以外でも自主トレしろ」と、過酷なトレーニングメニューを課す。
要一、飛沫の2人からはスタート地点がかなり遅れている知季だけど、日々コーチの課したメニューをこなしている内に、今まで出来なかった事が1つずつ出来るようになり、そして自信も付いて益々トレーニングに熱が入るようになる。

そんなこんなで彼女をほっぽらかしていて弟に寝取られる(笑)
まあこの彼女絡みのエピソードは全くいらない上に場内は失笑の嵐。イマドキの中学生だからスポーツだけじゃなくて女の子にだって興味はあるもんねぇ。わかっちゃいるけどお寒いエピソードでした。

他にも要一・飛沫それぞれの事情を同じ位の分量で(知季が若干多いかな?程度)見せて行きます。
コレが「丁寧に主要キャラの事情を見せる」と言えば聞こえがいいですが、どれもこれも中途半端に披露してくれて、どれもこれも唐突に問題が解決して行くので「まーなんだな、原作は相当描き込みがしてあるんだろうな」と想像しつつ、溜息を付きながら次々繰り広げられる「ネタ振り→顛末」を見るしかない。

クライマックスの競技会なんて、1人は高熱で1人は筋が吊ってピキピキ状態。
ドラマティックと言えばそーなのかもしれませんが、個人的にはかなり「ああ、そう」な感じで白けましたよ。

ま、オチミエミエで判り易くて、美少年は惜しげもなく裸体を晒してくれて、とりあえずはOKですけどね(笑)
少年達は3ヶ月猛特訓して「割れ割れ腹筋」を作ったそーですよ。もうね、おばちゃん目のやり場に困るからぁ〜♪
・・・という、「王道美少年スポ根@裸体満載祭り」です。基本は気持ちのいい話ですからみんなで美少年を愛でてネ!








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