ぴよの映画めった斬りコーナー
ぴよが見た新作映画・ビデオ・DVDを個人的趣味でぶった斬るコーナー
ぴよと意見が合わないからっていじめないでぇ〜ん!(^_^;)
【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2004年06月29日(火) ウォルター少年と、夏の休日

監督:ティム・マッキャンリーズ
出演:ハーレイ・ジョエル・オスメント
    ロバート・デュヴァル
    マイケル・ケイン、他
オススメ度:☆☆☆☆


【あらすじ】
父親のいない14歳のウォルター少年は、会った事もなかった大叔父2人が住んでいる田舎の家に預けられた。母は自分が速記学校に通うためだと言うがそれはまもなくウソだと判り、テレビも電話もなく無愛想で頑固者の大叔父達との生活に馴染めなかったウォルター少年だった。ところがある晩、屋根裏部屋で見つけた古い女性の写真を見つけた事から、大叔父の謎めいた過去の冒険談を聞く事になり・・・


【感想】
MOVIELINE誌の「スクリーンで観たい脚本NO.1」に選ばれたティム・マッキャンリーズ氏の脚本・監督による映画化。
これをオスカー名優と名子役ハーレイ君の素晴らしい演技、芸達者な動物達にご出演いただいて華を添えようという、なんともゴージャスなヒューマンドラマになってます。

ウソつきなアバズレおかんに厄介払いのよーに連れられて行った先は、40年間消息不明だった老人2人の家。この老人達はとてつもない大金を隠し持っているという噂で、連日ありとあらゆるセールスマンがやって来てはジジイ達から金を引き出そうとしている。加えておかんからは「大金のありかを探しておけ」というミッションを頂くというオマケ付きのウォルター少年。全くとんでもない母親ですわ(笑)

最初は馴染めずにお互いぎこちなかった「ジジイvsウォルター少年」ですが、ひょんなきっかけで消息不明時代の40年間のジジイ達の冒険談を聞き出す辺りから、この物語はグッと面白くなって来ます。
いかにもあり得ないおとぎ話ですが、ちょっと「ビッグ・フィッシュ」を彷彿とさせるこの冒険活劇、これはウォルター少年が想像している映像という設定らしく、インディ・ジョーンズに安っぽいTVドラマを足してごちゃ混ぜにしたよーな子供らしい陳腐な映像になってて(無茶苦茶言ってるか?)、これはこれで面白いと思ったな。

きっとすんげー泣かせでファンタジックな話なんだろーと思ってたら、意外や意外、かなりコミカルでお茶目なエピソードがてんこ盛りになってて(ジジイ達の飼い犬&飼いブタがいい味出してる!)、更にファンタジーを盛り込みながらウォルター少年に人生訓まで与えてしまうという展開。
役者の名演技もあいまって、誰が見ても優しい気持ちになれるうまい脚本だと思いましたネ。

話のキモは、このジジイ達が語るおとぎ話を「信じればそれは真実になる。真実よりも大切な事は信じる事」という事なんですが、それをウォルター少年(と観客)に納得させるだけの説得力を、この作品は充分に持つだけのパワーはあったと思うし、それを自然に納得させるだけのうまい設定になっていたと思う。

脚本も役者の演技も申し分ないと思ったけど、少し残念に思うのは「かつては1人で20人分のパワーを持った屈強な男ハブ」の晩年の姿がロバート・デュバルというのは、ちょっとイメージに合わない感じがしたんすよね。
若者4人を相手に大立ち回りをするデュバル氏ですが、ぴよにはどーも「マッチョでパワフル」というイメージと結びつかなくて終始違和感を感じてました。

オチの付け方もウマいし、ジジイの散り際もアッパレ!
名優達の競演も素晴らしい・・・のに、何か突き抜けない「小品感」がこの壮大なおとぎ話に違和感を与えてしまっているのが、どーにも不思議で仕方ないです(^-^;
何がぴよにここまで違和感を与えるんだろう???

すっごく面白くていい話だと思うんだけどなぁ〜。
うーん・・・自分でもよくわかりません(をい)







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2004年06月28日(月) みなさん、さようなら

監督:ドゥニ・アルカン
出演:レミ・ジラール
    ステファン・ルソー
    マリー=ジョゼ・クローズ、他
オススメ度:☆☆☆☆−


【あらすじ】
ロンドンで証券マンとして働くセバスチャンは、父親が末期ガンで長くないから帰国して欲しいという母親の懇願を受け入れて、故郷のカナダに戻って来た。女癖が悪く、長い間母と別居をしていた父に嫌悪感を募らせていたセバスチャンだったが、父の最期を幸せなものにしようと懸命に演出するのだった。


【感想】
第76回(今年度)アカデミー賞外国語映画賞受賞作。
自由奔放に生きた父親に長年嫌悪しながらも、やはり最愛である父の最期を幸せに送り出そうと遁走する息子と、悪態付きまくりの自称・社会主義者の父親と超資本主義者の息子との対比、父親をとりまく友人&元愛人達との交流を見せるちょっと難しいテーマの作品。

この作品は色んなテーマが織り込まれていると思うんですよ。
その全てをぴよが理解出来たとはとても言えない(もっと言うとたぶんほとんど理解してない)と思うんですが、一番判り易いテーマは「親子の愛」だと思うんですよ。
子供の頃から浮気しまくりで散々母親に苦労をさせた父に対する嫌悪感。しかしながら、やはり自分の父親はこの人しかいない訳で、親に対する子の「無償の愛」がある訳です。

ですがこの作品はもーちょっと深読みすると、全然違う面が見えて来るのです。
(ぴよはかなり深読みし過ぎて、もしかしたらこの作品のテーマと全く違う部分ばかり考えていたかも)

「父親=社会主義」「息子=資本主義」という記号に当てはめ、更には「9.11@アメリカ同時多発テロ」ネタを引っ張ってきて、父親のセリフでアメリカのやり方を批難し、息子の「金にモノ言わせて自分の希望を強引に通す」というエゴイズムを散々見せ付け・・・「あぁ、これはアメリカさんを遠回しに批難してるんですネ」と思わせておきながらも、息子が用意した特別病室でぬくぬくと入院生活を送り、息子が用意したヘロインでガンの痛みを和らげ、更には息子に「お前は自分に似た子を作れ」と父親の口から語らせるという矛盾。

この矛盾を紐解く重要な鍵として、父親が若かりし頃学会で出会った中国人美女に「文化大革命は素晴らしい」と語ったのが大失敗だった・・・というエピソードが何か意味があるんじゃないかと思う訳です。

中国美女は父親が語った「文革は素晴らしい成功を収めた」という言葉に眉をひそめる。何故なら彼女の家庭は知識者層で、彼女の父親は文革により殺され、母親も虐待を受け、更に彼女は粛清として当時豚小屋掃除をさせられていたからだ。エセ社会主義者の父親には想像も付かなかった「文革の実態」を知って、自分がいかに愚かだったかと自嘲しながら語る父親の姿は、アメリカのやり方を揶揄しながらも結局は資本主義を支持している・・・アメリカを批難しているようなスタイル持ちながらも、実は社会主義を嘲笑っている印象を受けるのです。

一応まとめとして、社会主義者の父親と資本主義者の息子はお互いを慈しみ合い、社会主義者は資本主義者に向かって「お前は自分に似た子を作りなさい」と語り、資本主義者は涙しながら社会主義者と抱擁する訳です。
・・・ものすごくイヤラシイ解釈をしていると我ながら思うのですが、ぴよの率直な感想はコレですわ(苦笑)

いよいよ自分の死期が迫っている事を実感している父が「死にたくない」「死ぬ意味を見出せない」と言って嘆くシーンには身につまされるモノがありました。
ぴよはパパをガンで亡くしていますが、正にパパがこの状態だったんですよ。パパは「俺は80歳まで生きるぞ!」「まだまだ死んでたまるもんか!!」と病室のベッドで毎日のように口にしていました。
最期の最期まで「生きる」事に執着し、絶対に諦めなかったパパ。それでも65歳という年齢で生を終えたパパ。
きっとぴよのパパも「死ぬ意味」など見出せなかった事でしょう。それはそれは「無念の死」だった事でしょう。

でもこの作品は、あれだけ生に執着した父親をぴよには理解不能な死に方にさせるのです。
ただ苦痛から逃れたいから?それとも「死ぬ意味」を見出せたと言うの?
ここでも死に方が何かイヤラシイ意味に取れて、かなり意味深な作品だなぁと思う訳です。

あれだけ「死ぬ意味が見出せない」と言っていた社会主義者は、資本主義者に頼んで命を終えようとする。
資本主義に迎合し、資本主義を受け入れ、そして資本主義に葬り去ってもらう社会主義。
・・・ぴよが考え過ぎなんですかね?(^-^;

すっごいヒューマン・ドラマを見てるハズなのに、何か頭の体操をさせられているよーな。
そういう意味ではなかなかトリッキーで面白い作品だなぁ〜と思ったんですけどネ(笑)







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2004年06月27日(日) ロスト・メモリーズ

監督:イ・シミョン
出演:チャン・ドンゴン
    仲村トオル
    ソ・ジノ、他
オススメ度:☆☆☆−


【あらすじ】
1909年、ハルピン駅での伊藤博文暗殺が失敗に終わっていた・・・その後の歴史は大きく変わり、日本はアメリカと同盟を組み原爆はベルリンに投下、日本は東アジアを併合して2009年現在ソウルは日本第3の都市として繁栄していた。そんな折、ソウルで「不令鮮人」と呼ばれる朝鮮独立運動家達によるテロが発生。日本特殊捜査局の日本人・西郷と朝鮮系日本人・坂本らが鎮圧にあたったのだが、坂本はこの事件に疑問を持ち始めたのだ。


【感想】
韓国では既にその名前を知らない人はいないトップスター「チャン・ドンゴン」、先日「ブラザーフッド」の宣伝で来日して話題になりましたよネ・・・そんな「チャン・ドンゴン@実はかなりぴよ好み」が朝鮮系日本人という役なので、セリフの70%を日本語でこなしたという韓国発・日本語映画です。(が、ほとんど話題になっていないのが悲しかったりする。苦笑)
チャン・ドンゴン演じる「坂本」の相棒+親友役「西郷」を演じるのは仲村トオル。

「もし1909年の伊藤博文暗殺が失敗に終わっていたら」という設定はかなり面白いと思う。
日本の一部となったソウル市内は明らかに新宿で撮影されたモノだと、地方出身のぴよにも判ります(爆)
なぜなら架空の2009年のソウル市内の映像は、先日見た「ロスト・イン・トランスレーション」と全く同じアングルで同じ場所を撮影していたからです・・・が、製作年を見るとこの作品は「ロスト・イン〜」よりも前に作られているので、あくまでもコチラがオリジナルで「ロスト・イン〜」のアングルの方が偶然パクっちゃったという事でしょうな。

さて。
映画の内容は置いといて(いきなり内容を端折るってのはどーかと思うが)
この作品は韓国ではウケるだろーけど、日本で上映してはいけない類だと思うんですよね。

それは内容が日本人蔑視だからとかそーいう事を抜きにして(って要は日本人が悪者なんだけど。苦笑)、チャン・ドンゴンがセリフのほとんどを日本語で喋ってるという事が、韓国のみなさんには「チャン様ったらあんなに流暢に日本語をお話になってスゴ過ぎぃ♪役者魂ってヤツなのねっ♪」と感じるだろうというのは想像に難くないですが、日本人が見ると


日本語で話してるのに、日本語字幕が付いてるってのはどーかと(爆)


チャン・ドンゴンはとても可愛いので許そう。(許すのか?笑)

それにしても21世紀の現代、日本−韓国間は随分近しい存在になっていると実感出来る昨今で、あの仲村トオル氏の仕事オフ日のいでたちはいかがなモノだろうかと。
イマドキ韓国人が日々チマチョゴリで日常生活を送っていると思ってる日本人なんて、おそらくいないでしょう。
逆に「日本人=着物を日々着用」と真剣に信じてる韓国人も皆無なんだろーと思っていたのですが、少なくともこの映画制作スタッフの多くは「日本人の心の原点はキモノだろー」と今も固く信じていたよーで(苦笑)
更には「謎の祭り@お神輿はツキモノ」+「花火がぶち上がれば日本人大喜び」というセオリーもきっちりと押さえ、

ここまで日本を曲解されていると、逆に清々しい気持ちになるから不思議です(^-^;

内容もツッコミ入れようと思ったら1日かけても語り尽くせない程悲劇的なんですが、
B級アクション(しかも中途半端に金がかかってるという王道モノ)としては、かなり楽しめる作品になってます。

「友へ チング」を見て、または「ブラザーフッド」を見てチャン・ドンゴンの虜になったソコのアナタ!
とりあえず、日本語セリフを流暢(謎)に話す本作のチャン様を見逃したら、韓国映画通を名乗ってはいけませんヨ。
・・・ま、見たからと言って自慢出来る程のモノでもないんですが、ネタとしてはオイシイ部類でしょう(笑)









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2004年06月25日(金) CAMP -キャンプ-

監督:トッド・グラフ
出演:ダニエル・リタール
    ジョアナ・チルコート
    ロビン・デ・ジーザス、他
オススメ度:☆☆☆☆


【あらすじ】
俳優養成のサマーキャンプに様々なティーンが集まってきた。ゲイで親から勘当状態のマイケル、モテない少女エレン、過食防止のワイヤーを顎につけているジェンナ、アイドルフェイスのヴラッド等、みな演劇好きなバラエティ豊かなメンバーだ。彼らは2週間で新しいショーを発表するという課題に取り組みながら、今年も暑い夏を熱く過ごすのだ。


【感想】
無名の役者揃いで超低予算にも関わらず、サンダンス・フィルムフェスティバル2003では上映後満場のスタンディング・オベーションで迎えられ、大絶賛されたという作品です。
無名の役者っつーか、この「キャンプ」に参加する若者達は一般公募してかき集めたシロウトさん達がほとんどで、一応役者の真似事をしてる子達もほとんどが今作がスクリーンデビューのよーだ。
もっと言うと、監督さん自身も本作が初監督作品なんだってさ。初物づくしってーヤツだね♪(笑)

話は俳優養成キャンプに集まってた若者の青春群像劇(←まんまですな)に、2週間毎に何か作品を発表するという事で劇中劇が話の間を繋ぐという趣向ですが、たぶん本筋のハズであろう「青春群像劇」よりも「劇中劇」の部分にかなりの気合が入った作りです。

つーか、この映画面白いよ!

この新人監督さんは「お金なんてぜーんぜんないけど、どーしてもキャンプの映画が作りたい!」と吠えまくり、それに名だたるセレブ達が賛同してくれてバート・バカラック、ヘンリー・クリーガー、ローリング・ストーンズ等のビッグネームが快く楽曲使用と許可してくれただけでなく、「ウエスト・サイド・ストーリー」で知られるミュージカル界の巨匠スティーブン・ソンドハイムに至っては楽曲提供に留まらず、自ら実名役で映画出演までしちゃってます!
更にスタッフには「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」を成功に導いた最強メンバーがタッグを組み、オスカー作曲家マイケル・ゴアを音楽スタッフに迎え入れてオリジナル楽曲も超充実!

これってすっごい事ですよ!
日本の映画界ではこーいう事ってあり得ないですよね。誰も知らないよーな無名の新人監督の映画プロットを、無名だろうが有名だろうが素晴らしいと思ったらどんどんそれに賛同して優秀な人材が集まる。
正にこれこそが「アメリカン・ドリーム」なんだなぁ〜・・・と、アメリカ・ショウビズ界の懐の深さを感じさせてくれる素晴らしい作品だと思いますわネ。

青春群像劇の部分も結構面白いんだヨ。映画冒頭ちょっとダレる感じがするしいかにも甘ったるい青春モノなんだけど、ちょっと古臭いくらいの王道な展開の方が、劇中劇とのバランスも取れてて好感が持てる。
若者青春群像劇もよかったけど、ぴよが一番お気に入りのシーンは、かつてミュージカルで一世を風靡したものの今は鳴かず飛ばずでアル中状態のハンリーが、若者達の情熱に突き動かされて自らピアノを弾いてセッションするシーン。
このシーン、実は恥ずかしながらちょっとウルッと来ちゃったネ!

いやぁ〜・・・全然期待しないで見に行ったせいもあるかもしんないけど、めっけもん映画でしたねー。コレは♪
目の肥えたミュージカルファンの方、是非この作品を見て色々ぴよにレクチャーして頂きたいです!!








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2004年06月24日(木) ハリー・ポッターとアズカバンの囚人

監督:アルフォンソ・キュアロン
出演:ダニエル・ラドクリフ
    ルパート・グリント
    エマ・ワトソン、他
オススメ度:☆☆☆☆+


【あらすじ】
アズカバン牢獄から凶悪犯シリウス・ブラックが脱獄したというニュースが町に流れ、ホグワーツ魔法学校は戦慄した。噂によると、シリウスはハリーの両親をヴォルデモード卿に引き渡し死に追いやった張本人で、しかも脱獄した今はハリーの行方を追っているという。ダンブルドア校長はアズカバンの看守ディメンダーを学校の見張りに付けるが、彼らの闇のパワーはハリーに少なからず影響を及ぼす事になるのだった。


【感想】
ついに3作目のハリー・ポッターシリーズ。前作に引き続きプレミア試写会がまたしても当たっちゃったもんねー♪
・・・ってさ、先週土曜日に先行上映してんぢゃんね。先行上映後のプレミア試写会って意味あんのか?と思わずにはいられませんが、50円(ハガキ代)でハリポタ見れるんだから文句言っちゃーバチが当たります(笑)

さて、前作2作までと今作で大きく違うのは監督が変わったという事でしょう。前2作を担当したクリス・コロンバス監督から、その映像の美しさには定評のある若手メキシコ人監督アルフォンソ・キュアロン氏にバトンタッチした本作、どーやら噂では原作と少し違う内容になっているとか?(ぴよは原作未見なのでよく知りませんが)
原作に忠実過ぎる程忠実だった前2作に比べて、新進気鋭の監督はこの大作をどう料理してくれるのでしょう・・・?

原作に惚れ込んでいる方にはクリス・コロンバス監督の作品の方がお気に召すのかもしれませんが、少なくとも原作未見で映画作品としてだけで評価しているぴよとしては、今までのハリポタシリーズの中で本作が1番面白かったです!

原作に思い入れのないぴよにとって、正直今までのハリポタシリーズはそれ程評価が高くなかった。
同時期に運悪く名作「LOTRシリーズ」を公開していたのも手伝って、その余りにレベルの違いすぎるVFXや美術の技術には「いくらお子様向け映画だからって、ここまでチャチだとねーさん怒っちゃうゾ!」と思ってたし、原作に忠実であるが故のドバタバしてまとまりのない展開、詰め込み過ぎで意味のないエピソード・・・とてもじゃないが高評価する材料ではなかった。

しかしながら本作は今までの作品とはガラリと様相が変わり、その美術の美しさやVFXの素晴らしさ、そしてキャラクターも断然魅力的になり(あれだけの役者揃えりゃ〜魅力的にならない訳ないけど。笑)、目の肥えた大人が見ても(※ぴよの事ではないですヨ)充分・・・どころかかなり楽しめる仕様になったと思う。

確かに今作もエピソードが多いので、ちょっと表面的で上滑りな描写になりかねない(なってるかも)要素は多いですが、前半で見せた一見意味のなさそうなエピソードもクライマックスできちんと落とし前は付けているし、前作では全く本筋とは絡まずに無意味だったクィディッチの試合シーンも、本作ではディメンダーとの丁々発止を見せる事で、難なくそのシーンの役割と必要性を果たしていたと思う。

それより何より・・・主人公3人が本当に大人らしくなって来た!
変声期を向かえて随分男らしくなったハリー、背が伸びて随分スッキリしてきたロン、そして既に大人の女の色香すら漂わせるハーマイオニー・・・今後の彼らの成長振りを楽しみにするのも、本作の魅力の1つでしょうかネ♪

既に4作目「炎のゴブレット」の撮影も始まっているようです。
残念ながら4作目はキュアロン氏ではなく、マイク・ニューウェル氏が監督をされているそーですが・・・いや、彼はこのシリーズで初めてのイギリス人監督なので、イギリス児童文学の最高峰と呼ばれる今シリーズには格別の思いがあるでしょうからきっと素晴らしいものにしてくれるでしょう。(と期待していますヨ)

ですが、ぴよはまた是非キュアロン氏の撮った「ハリポタシリーズ」が見たいと切望しますね。
この作品は原作を全く知らない人にも充分思い入れを持つ事が出来る、素晴らしいものになっていると思いますよ。








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2004年06月23日(水) セイブ・ザ・ワールド

監督:アンドリュー・フレミング
出演:マイケル・ダグラス
    アルバート・ブルックス
    ロビン・タニー、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
スティーブは世界中を渡り歩くコピー機販売人・・・というのは表の顔、実はCIA秘密捜査官で密輸組織壊滅の為、武器密輸ブローカーになりすましてロシアンマフィアと原子力潜水艦「オルガ」の取引を進めていた。ところが取引の日時が一人息子の結婚式と重なってしまったのだ。
両家の初顔合わせの席、神経質な花嫁の父ジェリーはスティーブがカタギの人間でないと一発で見抜いてしまう。ジェリーに結婚を大反対されて困ったスティーブは、侘びを入れにジェリーの元に向かったのだが・・・


【感想】
1979年製作「あきれたあきれた大作戦」のリメイク。
リメイクとは言っても、使われているのは「ライフスタイルも性格もまるで正反対の両家の父親2人がタッグを組む」という着想点の部分だけで、後は全くのオリジナルだと考えていいみたいです。
という訳で、本作は79年版にはない「CIA秘密捜査官」の囮捜査という大捕り物に「一人息子の結婚」というファミリーストーリーを絡ませて、アクションとコメディをごった煮にしてやろう!という、何ともゴージャスな企画なんですが・・・

まずからして「セイブ・ザ・ワールド」というタイトル、どう思います?(ちなみにこれは原題ではなく邦題です)
ぴよは何度聞いても、実際に映画を見た今も、そしてきっと明日にはタイトル忘れてると思うんすよ(苦笑)
それくらい凡庸で特徴がなくて面白味のない、いかにもB級臭いタイトルだと思いませんか?

・・・本当にこのタイトル通り凡庸で特徴がない、明日には忘れられそうなB級作品なんですわ。コレが。
そーいう意味では、この邦題を付けた日本の配給会社の社員は非常にセンスがいい!(爆)

「マイケル・ダグラス@名優」が演じるスティーブが、原子力潜水艦「オルガ」を囮捜査で取引しようとしているというのは何となくわかるんですよ。でも彼が持ってるどーやら放射能を発するらしい?謎の「携帯灰皿」みたいな筒の意味が今もってぴよには判らないんですがネ(^-^;
この筒の持っている意味が判る方、ご連絡お待ちしています♪

さて、いきなり吠えまくりましたが・・・実はぴよの評価は結構高いつもりです♪(今更何を言うか。笑)
いやマジで、ぴよはこーいう「王道B級映画」って大好きなんですよ!
やっすい作りでぬるい展開、説明不足も下らないギャグでごまかしながら、ファミリーの愛に溢れつつ大団円を迎える。しかも上映時間は1時間半程度の飽きずに鑑賞出来るギリギリの線を守ってくれて、これってぴよがイメージする正に「アメリカが作った昔ながらのB級アクションコメディ」のど真ん中ストライクなんですよ!!

惜しむらくは、このクソ映画(をい)に何故オスカー俳優マイケル・ダグラスが出てしまったのだろうか?という事か。
いや、勿論マイケル・ダグラスの演技は申し分なかったですヨ。でも何もこんなクソ映画に出なくてもアナタは既にハリウッドでは「重鎮」と呼ばれる立場にいるでしょーが・・・と。
もっと言えば、この作品に出る事で今まで築き上げたステイタスに傷が付きはしないかと(^-^;

シリアスな役が多いから、たまには息抜きしたかったのかな?なんつってな♪(笑)








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2004年06月22日(火) 箪笥

監督:キム・ジウン
出演:イム・スジョン
    ムン・グニョン
    ヨム・ジョンア、他
オススメ度:☆☆☆☆−


【あらすじ】
ソウル郊外に佇む一軒家に、父親に連れられて美しい姉妹スミとスヨンが帰って来た。若く美しい継母ウンジュは笑顔で2人を迎えるが、その表情はどこか冷ややかだった。妹スヨンを執拗なまでに守ろうとする姉スミは継母を毛嫌いし、一方スヨンは常に何かに怯えているようだった。
2人の姉妹が戻って来た夜から、この屋敷では怪奇現象が起こるようになる。その全ての秘密を説くカギが、スヨンの部屋にある箪笥の中に隠されていたのだ・・・


【感想】
今、韓国ホラーは本当に元気がいい。次々と製作される中でもとりわけ話題なのが本作でしょう!
1番話題になったのは、何と言ってもこの作品のリメイク権をスティーブン・スピルバーグが史上最高額で獲得したという事なんじゃないかと思うんだけど、既存の韓国ホラーにはない斬新な試み・・・シナリオ製作段階でインターネットによる「一般人の恐怖体験募集」を募り、応募のあった恐怖体験エピソードを実際に脚本時に投影させているという工夫がされていて、本国の「箪笥公式サイト」はOPEN3日目にしてクチコミだけで10万以上のアクセスがあったそーです。

とにかく映像が美しい。
ホラーと言うと「いかにおどろおどろしく見せるか」という部分に力点がおかれると思うんだけど、本作はその美術セットが非常に格調高く、部屋の装飾や小物の1つ1つに至るまで実に手が込んでいます。
この「美し過ぎるセット」が、逆に恐怖心を煽るという面白い相乗効果を生んでると思ったね。

さて、肝心の内容なんですが
これが思った以上に緻密に作られていて、この映画のタイトルにもなっている「箪笥」にまつわる一家の秘密が全て白日の下にさらされるまでに、非常に巧みなヒントや伏線を散りばめ、更にそのヒントを散々見せ付けられてるにも関わらず、最初のどんでん返しのシーンでは「えー!」と声を挙げちゃったね。

もっともこのどんでん返しに「えー!」と叫ぶには条件があって、この作品は韓国の古典怪談「薔花紅蓮伝」をベースにしているそうなんですが、この「薔花紅蓮伝」の内容を知っている人にはある程度想像が付いてしまう展開なんですわ。
この古典怪談の内容を知ったのは、映画を見た後・・・もっと言えばこの感想を書く為にネットで検索してぴよはようやく知った次第なんですが、ここにはその内容は敢えて書くのは控えておきましょう。
出来れば何も情報がない状態で見た方が、この作品は断然面白いと思うからさ。

映画見ながら「何でこの子は箪笥をこんなに怖がるんや?」「タイトルが箪笥だからってちょっとコジツケ過ぎなんちゃう?」と思ってたんだけど、この作品はきちんとお上手に後片付けもしてくれて、映画のラストでその全ての辻褄がスッキリ合うように見せてくれます。脚本がかなり練られていてウマイなぁ〜という印象ですな。

見終わるとこの作品が「決してホラーではない」という事は誰もが納得出来るでしょう。
実はすごく単純なプロットなんだけど、見せ方と展開で観客を引っ張っていくミステリー・・・既存のある作品のタイトルを思い浮かべる方も多いと思いますが(ぴよもそのクチ)、なかなか見応えのある秀作ですよ。

もしかしたら、この作品はハリウッドリメイクしたらもっと面白くなるかもしれないな、と思う。






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余談ですが・・・

実はこの作品、「女子中高学生限定試写会」ってので見たんですわ。
え?もちろんぴよは女子中高生ぢゃ〜ないっすよ?(言わなくてもみんな知ってるっちゅーに。苦笑)

この映画ねー、
是非「女子学生の群れのど真ん中」で鑑賞する事をオススメしますわー(笑)
ホラーシーンがじりじり・・じりじり・・ババーン!と出るでしょ。そーすると会場中のお嬢ちゃん達が一斉に


「ぎゃぁぁぁーっ!」


・・・コレ、相当怖いです。(^-^;
映画見終わって冷静に考えると、それ程怖くなかったんちゃう?と思うんだけど、あれだけの悲鳴が一斉に上がると、それだけで自分もめっちゃビビリまくって相当怖いもんを見たって気になったもんね。

この作品を見る時は、是非ご近所の女子中高生達をお誘いして大挙して行きましょう(爆)







2004年06月21日(月) あなたにも書ける恋愛小説

監督:ロブ・ライナー
出演:ケイト・ハドソン
    ルーク・ウィルソン
    ソフィー・マルソー、他
オススメ度:☆☆☆−


【あらすじ】
小説家のアレックスはギャンブル好きが高じて10万ドルもの借金を背負い、新作の原稿代で支払おうとするもスランプに陥り返済猶予はあと30日になってしまった。困ったアレックスは早く原稿を書き上げる為に口述筆記を思いつき、速記者エマを雇う事にした。最初はアレックスの胡散臭さに仕事を拒否するエマだが、小説のプロットを聞いて面白そうだと感じた彼女は仕事を引き受ける事にしたのだが・・・


【感想】
「恋人達の予感」でメグ・ライアンを一躍「ロマコメの女王」にのし上げたロブ・ライナー監督の最新作は、今正に「ポスト・メグちゃん」と呼ばれる注目株ケイト・ハドソンを主役に繰り広げる王道ロマコメ。
相方役のルーク・ウィルソンは、ぴよお気に♪オーウェン・ウィルソンの弟です。が、オーウェンの方が若く見える(笑)

話は現実のアレックスとエマのやりとりするシーンと、アレックスが創作する小説の内容を映像化して見せるシーンを交互に見せながら、現実と虚構がいつの間にか1つになって行く・・・という、ありがちと言えばありがちな展開ですわね。

虚構部分の小説の内容というのは、アレックスの実体験や印象がそのまま反映されている。小説家が実体験をネタに小説を書くというのはそんなに珍しい事じゃないし、むしろそのパターンの方がきっと多いんだろうと思います。
と言う訳で、小説の中に出てくる登場人物で、主人公と三角関係になる女中をケイト・ハドソンが演じているんだけど、要するにアレックスの中ではこの女中の役どころはエマがイメージになってるんだよね。
だから最初はかなり感じ悪いキャラの女中が、エマと打ち解けて来るにつれてどんどん好印象に変わっていく。こういうトコロで2人の関係が次第に良くなって行ってる事を見せていくのはウマイと思ったね。

ですがぶっちゃけ言うと、この小説の内容がまるで面白くないのだ(爆)
映画の展開としては小説の内容部分が面白くなくても問題ないのかもしんないけど、まるで売れそうにもないつまらない恋愛小説の内容に「面白い!」とエマに言わせるのはいささか厳しい(^-^;

更に言うと・・・
ぴよは「エマ」のキャラが、「エマ」みたいなタイプの女が、実はかなり苦手だったりするのだ(笑)
生真面目で不器用で用心深いタイプと言うと「いかにも恋愛映画のヒロイン」って感じがしますが、アレックスがノリノリで原稿を口述してる最中に、一々口挟んで文句垂れまくるのがすげー勘に触るんだ。
(これ言っちゃったらこの映画は成り立たなくなっちゃうんだけどさー。苦笑)
第一印象で人を決め付けて初対面からツンケンする愛想のなさも、独善的で他人の言葉に耳を傾けないトコロも、とにかく一言で言って「絶対にお友達になりたくないタイプ」なんだよな。(^-^;

要はケイト・ハドソンがウマイんだよな。
すごくウマい。ウマ過ぎる。だからエマにむかっ腹立ってしょーがなかったのさ(爆)

でも、だんだんアレックスと打ち解けてきて、アレックスに興味を持つようになって来た辺りから見せる満面の笑顔のとてつもなくキュートな表情!これがロマコメの女王になる為に絶対不可欠な要素なんだよなーと実感させてくれましたネ。
エマにむかっ腹を立てながらも、あの満面の笑顔がアップになるとついうっかり「ま、いっか♪」と思ってたぴよは、もしかしたら脳みそが男性化しているんでしょうか?(笑)

まー・・・ぶっちゃけ恋愛映画としてはインパクト薄いっすけどネ。
何がいけなかったって、やっぱりあのクソ面白くない小説の内容が問題だったんですかねぇ〜?(^-^;







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2004年06月17日(木) ドラムライン

監督:チャールズ・ストーン三世
出演:ニック・キャノン
    ゾーイ・サルダナ
    オーランド・ジョーンズ、他
オススメ度:☆☆☆


【あらすじ】
NYハーレムに住む母子家庭のデヴォンは天才的なドラムの才能を認められて、アトランタA&T大学の名門マーチング・バンド部にスカウトされて、特待生で入学した。その実力は誰もが認め、新入生で唯一バンドの花形「ドラムライン」に選ばれるものの、才能があるが故の自信過剰と上級生を小バカにする態度がバンド全体の規律を乱し、デヴォンは次第にバンド仲間から孤立して監督からの信用も失ってしまうのだった。


【感想】
ボーイズIIメンやTLCを手掛けた音楽界の巨匠ダラス・オースティンの実体験を映画化。監督は本作が2作目のメガホンを取るチャールズ・ストーン三世。「三世」って言われても、ぴよは一世も二世も知りませんがネ。
主役デヴォンを演じるのは本作がスクリーンデビューのニック・キャノン。ニックはウィル・スミスの弟分として可愛がられているラッパー&コメディアンなんだそーですが、ぴよは全く知りません。それどころかこの映画に出演している役者をほとんど知らないっす。ま、そんなキャストにお金をかけずにバンド・バトルに金をかけたど根性青春映画。

実は予告編見た時から結構楽しみにしていた一作で、「きっと内容カラッポで、バンドバトルシーンの迫力だけで押し切ってくれる単純明快な青春モノなんだろーな♪」と思っていたのですが・・・本当にただそれだけの作品でした(笑)

コなまいきで協調性のない才能溢れる主人公が、「友情・恋愛・先輩との確執・挫折・そして再生」という王道過ぎる道をきっちり踏み外す事なくつらつらぁ〜っと展開して行き、クライマックスでこれでもか!と見せるバンドバトルで観客を圧倒してお約束の大団円を迎えてシメ♪
「バンドバトルシーンはやっぱりスゴいYO!」という感想書いたら後は何も書く事がないわっかりやすい作品っすわ。

まあ難癖の付けドコロは沢山ありますが(例えばエピソードがぬるい、人物の描き込みが薄い、多少ダレる等)、この映画はその素晴らしいドラムテクニックとマーチングバンドの魅力的な演技、迫力あるバンドバトルの映像を楽しむためだけの趣旨で作られてると思うので(ぴよの勘違いっすか?)、変に説教臭くなったり教訓めいたりしない分だけアッサリと鑑賞出来て、ぴよはコレで充分なんぢゃないの?と思いますがネ。

映画中、お気に入りのセリフが1つ。
ライバル大学にスカウトされたデヴォンが「実は自分は楽譜が読めないんだ」と告白した時に語った監督の一言
『トイレという字が読めなくても、その使い方を知らないヤツはいない』

・・・やー!コレは名言だネ♪
今後このセリフは大いに使わせてもらおう♪(^-^)







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2004年06月16日(水) 69 sixty nine

監督:李 相日(リ・サンイル)
出演:妻夫木聡
    安藤政信
    金井勇太、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
1969年―時代はベトナム戦争反対運動が始まり、大学紛争激化により東大入試が中止された年。長崎県佐世保の高校生ケン、アダマ、イワセらは映画と演劇とロックが一体になったフェスティバルの開催を目論む。ノリはフラワー・チルドレン、要は楽しくて目立って女の子にモテれば何でもいいのだー!
・・・という下心から、勢い自分達の通う「佐世保北高」のバリケード封鎖までノリでやってしまったケン達。ところがこれがマスコミを巻き込み警察が捜査に乗り出すという大事に発展。ケン達はどーなる!?


【感想】
村上龍氏が87年に発表してベストセラーになった超自伝的同名小説の映画化。氏の過ごした長崎県佐世保を舞台に、激動の1969年を生きたノリと下心ムンムンのおバカ高校生のとんでもない所業をコミカルに描き出して行きます。
監督は1974年生まれの映画界期待の新星・李相日、脚本は既にその手腕は誰もが認める超人気売れっ子脚本家・クドカンこと宮藤官九郎。クドカンは1970年生まれ・・・てな訳で、2人とも実際の1969年を知らないんすよネ。

てな訳で、妻夫木クンも安藤クンもとぉーっても可愛いです♪(いきなり関係ない事書いちゃった。てへ♪)
いや・・・その可愛らしさってのが、いかにも69年の時代の可愛い高校生ぢゃなくて、あくまでも現代を生きる高校生として可愛らしく見える訳なんですわ。
要するに、舞台は69年だけど出てくるキャラも言ってる事も様子も、まるで69年ではない訳です。

これが「違和感バリバリで云々」ってんじゃなくて、逆に舞台設定は69年なのにあくまでもノリは現代の青春おバカ群像劇というミスマッチが実にこの映画を楽しく見せてくれていて、もっと言えば69年という時代を知らない人が見て「違和感なく」楽しめる作品になってると思いますわ。

大学紛争のゲバ隊も、フラワー・チルドレンも、全部「目立てばねーちゃんにモテる♪」「楽しければいいぢゃん♪」というだけのお気軽なノリで全て引っ張って行っちゃいますが、この時代を知らないぴよにとってはコ難しい思想を語られても面白くも何ともないので、これで万事OKですわ。
これは69年という時代の記憶を持たないぴよがそう思っただけで、逆に69年を懐かしく思う年代の方が見たら激怒すんのかもしんないけどネ・・・って、たぶんその世代の方はこーいう映画見ないわな(^-^;

とりあえずクドカン節ビシバシできっちり笑わせてくれますから安心して下さい♪
ぶっちゃけ展開ぬるいし、方言ビシバシでちょっとセリフが聞き取りにくい部分多いし、かなりエゲつない映像があって、お下劣モノがダメな人は拒絶反応出ちゃう部分もあるかもしんないけど、それを補って余りあるクドカンワールドの魅力は本作でも弾けまくってますゼ。

誉めてる割りに評価が低くないかって?(^-^;
・・・なんかネ、元々はクドカンならではの魅力だった「この手のノリ」、最近多くないですか?
ちょっと食傷気味な感は否めなかったんですよネ。マネっこが増えると本家にも飽きが来るっつーのかさ(苦笑)








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2004年06月15日(火) チルソクの夏

監督:佐々部清
出演:水谷妃里
    淳評
    上野樹里、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
1977年下関市。姉妹都市釜山との親善交流事業として毎年夏に行われる関釜陸上競技大会に出場した陸上部の郁子達仲良し4人組は、同じく競技会に出場していた韓国人青年「安大豪(アンテイホウ)」に出会う。戒厳令で夜間外出禁止にも関わらず郁子に会いに来てくれた安に、お互い淡い恋心を通わせる。
帰国後文通を始めた安と郁子は「来年のチルソク(七夕)にまた再開しよう」と約束をし、仲良し4人組はハングル語を勉強し始めたのだが、双方の両親は文通する事を猛烈に反対するのだった。


【感想】
下関出身の監督・佐々部清氏が故郷を舞台にメガホンを取った下関フィルムコミッション第一回作品。
「フィルムコミッション」というのは映画やTV番組、CM等のロケを誘致する非営利な公的機関で、今回撮影ロケされた下関と釜山には共にフィルムコミッションがあり、尚且つ姉妹都市提携をしているという事もあって数多くの一般市民もエキストラで参加しているようです。
てな訳で、早い話が「ウルトラスーパーご当地映画」ってヤツです。

舞台は1977年〜1978年の1年間の下関と釜山。映画冒頭2003年夏の下関で10年ぶりに関釜陸上競技大会を復活させた郁子が、自分の青春時代を振り返るというアプローチで入って行きます。

ぶっちゃけ、別段どうというヒネリもない「いかにも」なご当地映画な作りでしてね(^-^;
ご当地映画らしく、主人公郁子のパパ役は下関出身の山本譲二が映画初出演してるし、映画の主題歌を歌うイルカが先生役でチョロッと出演したり、谷川真理が2003年の「真理」役で登場したり(マラソン繋がりだにゃ♪)
本当に「みんなでこの映画を盛り上げよう!」という『手作り感』がヒシヒシと伝わる安〜い作りなんですが(をい)

意外にテーマは重たかったりします。
日本人と韓国人の民族意識、もっと言えば第二次世界大戦時に日本が朝鮮を侵略し虐待したという忌まわしい歴史を今も引きずりしこりを残す両国の国民感情が、「安青年と郁子の恋愛」を通じて赤裸々に表現されています。

今でこそ日本の流行歌が流れ、夜は恋人達が腕を組みながら町を闊歩するのが当たり前の光景ですが、ほんの数十年前までは戒厳令で夜間の外出は一切禁止、日本の歌を唄う事も禁止されていた・・・それが韓国という国だ。
ぴよ達の世代は韓国や韓国人(朝鮮人)に対して別段特別な感情はありませんが、ぴよの親達の世代以上は今でも朝鮮人を蔑視ししている人も多いし、逆に朝鮮人も日本人に対してかなり悪い印象を持っているでしょう。
今では随分と仲良くなってきたという印象の「日韓関係」ですが、実はこの問題は何ら解決していないし根が深いと思う。

1977〜78年代の流行歌、映画、風俗等をふんだんに見せてノスタルジックを煽りまくり、この時代を生きて楽しんだ懐かしい世代にはたまんねぇ〜!のオンパレードですが、ぴよには何か違和感があったんだよなぁ・・・
違和感と言うよりも、この重たいテーマを「淡い恋愛」と「懐かしの音楽」いうオブラートで包んで、なにかうやむやに流されてしまったような感じがしたんですがネ(^-^;

郁子の父親の気持ちは変わる事はないし、ご近所の偏見も払拭される事はない。
叔父を日本兵に殺されたという安青年の母親は、きっと今も日本という国と国民を嫌って恨んでいるだろうし、郁子と安青年の話がもし2004年という設定だったとしても、やはり周囲の反対や偏見はあるんじゃなかろうか?

この映画のラストシーンが、「戦争を知らない私達の世代は、手を取り合い共に生きよう」というメッセージなのか、それとも現在は既に日韓両国においてしこりはないんだというつもりで描いているのか・・・そのどちらにも受け取れるしそのどちらにも受け取れないんだけど、ぴよは「ノスタルジックにシメれば万事良しって展開はズルいだろ」って気がしたんすけどねぇ。

映画とは全く関係ありませんが、たまたま先週釜山に遊びに行ってたんすよ。
(映画中、チャガルチ市場の様子とかチョロッと出て来て嬉しかったわーん♪)

道に迷って地図広げてオロオロしてるぴよ達を見て、韓国人のおじさんは日本語がわからないのに、一緒に地図を見てくれて一生懸命場所を指差したりしながら教えてくれた。
地下鉄のキップの買い方が判らなくて自販機の前でウロウロしているぴよ達を見て、地下鉄路線図を指差して「どこに行きたいの?」と聞いてくれて、キップを買ってくれたおじさんもいた。
街を歩いてて、可愛いワンコを散歩させてる人に近付いていって「可愛いぃ〜!」と嬌声を上げているぴよ達に、カタコトの日本語で「日本の方ですか?どこから来ましたか?」と笑顔で話し掛けてくれた兄ちゃん達もいた。

ぴよが出会った韓国人は、みんな日本人にとても優しかったし親切だった。
今も日本人を許してくれない韓国の方も多いと思うけど、でもこんな優しい人達に嫌われたくないな・・・と切実に思ったよ。







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2004年06月12日(土) 21グラム

監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
出演:ショーン・ペン
    ベニチオ・デル・トロ
    ナオミ・ワッツ、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
夫と幼い2人の娘を持ち平和な生活を営むクリスティーナ、前科者だが今は改心し妻と2人の子供に恵まれて、神への信仰を心の支えに真面目に生きるジャック、心臓移植をしなければ余命1ヶ月の宣告を受けている数学者のボールは、別居していた妻が戻って来て子供が欲しいと告げる・・・
出会うはずのなかった3人の人生は、ある事故がきっかけで絡み合っていくのだ。その先には何があるのか?


【感想】
ショーン・ペン、ベニチオ・デル・トロ(大好き♪)、ナオミ・ワッツ、その演技力には定評のある3人が夢の競演を果たした話題の一作。本作ではベニ&ナオミがオスカーにノミネートされ、更にショーン・ペンは本作ではないけどミスティック・リバーで主演男優賞をゲットしたのは記憶に新しいでしょう。
ちなみにショーンだけじゃなくてベニちゃんだって「トラフィック」でオスカー(助演男優賞)取ってんだもんねっ!(^-^;

映画の作りがかなりトリッキーな構成で、話を細切れに(本当に小さなワンシーンで区切ってる)したものを、バラバラに見せて最終的に1つの繋がった話に見せるという手法になっている。
それが時間の流れも何もかも無視して映画冒頭からいきなりかなりクライマックスのワンシーンをポンと見せたかと思えば、平和な家族の営みをチョロっと出したりして・・・
映画始まってしばらく何が起こってんだかさっぱりわからなかったんすけどネ(^-^;

でも最終的にどんな話だったのかわからない人はいないでしょ。
時間も展開もまるで無視したよーにバラバラだった細切れシーンが、ちゃんと映画が終わった時には1つにまとまっている妙技には拍手喝采するしかない・・・ハズなんですが、正直言ってぴよには「何故この見せ方をする必要があったのか?」という監督さんの意図が見えなかった。
せめて、クライマックス以降は時系列通りに見せて欲しかったなぁ。その方が緊張感が高まった気がする。

とにかく役者の演技が素晴らしいんすよ!
やっぱりベニチオ最高だぜっ!彼の鬼気迫る演技は文句の付けようがありませんや♪
それにナオミ・ワッツもかなり良かった。全然話題になってないみたいだけど、ぴよはショーン・ペンの嫁さん役だったシャルロット・ゲーンズブールもすごく良かったと思うんだけどナ♪
ちなみにショーン・ペンの演技はちょっと飽きた(をい)。ミスティック・リバーの時とネタ被ってるんだけど、彼の演技はあざと過ぎてぴよには鼻に付くな。うん。

役者の演技はいいんだけど、最終的にちょっと説明不足というか強引な展開だったのは否めない。
臓器提供者をアソコまでして調べ上げようとするボールの心情は理解し難いし、家族を奪われたクリスティーナが復讐したい気持ちはわかっても、それを何故ボールに当たり前のように「おまへが殺せ!」と言うのかぴよには全然わかんない。
ボールが何故クリスティーナにあそこまで入れ込むのかも理解出来ないし、「それでも人生は続く」というセリフの意図も、クリスティーナのあのラストシーンで強引にカタ付けちゃってるけど、ぴよには「こーいうオチで人生は続くって事?ただそれだけなんすか?」としか思えず・・・要は判り難いんだよネ(^-^;

先にも書いたけど、「クライマックスシーン以降は時系列順に見せてもらいたかった」という1番の理由は、延々細切れシーンを繋ぎ合わせる手法を最後の最後まで続けてしまったが為に、役者の素晴らしい演技でググッと惹き込まれたテンションが、ブチブチとシーンが切り替わる事で維持出来なくてすんごい消化不良状態になっちゃったからなんだよな。
「おまへの頭が悪いから理解出来ないんぢゃ」と言われたら反論のしようもありませんが、もう少し見せ方を工夫して欲しかったと思うなぁ・・・だって監督の伝えたいメッセージを観客が受け取れなかったら作品として破綻してると思わない?

でも役者の演技はピカ1です!
ベニチオはやっぱりいいよなぁ〜♪最高だよ。うん。
ベニの名演技が見られるだけでも価値のある映画ですわ。へへへっ♪








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2004年06月07日(月) スイミング・プール

監督:フランソワ・オゾン
出演:シャーロット・ランプリング
    ルドヴィーヌ・サニエ
    チャールズ・ダンス、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
イギリスの女流ミステリー作家サラは、鬱屈した日常を忘れる為に出版社社長の薦めで、彼の所有するフランスの別荘に招かれた。明るい日差しとプールの見渡せる静かな環境に恵まれて執筆の腕もはかどるようになったサラだが、数日後に社長の娘ジュリーが現れた事で心がかき乱されるようになる。
美しく若い娘ジュリーは、日毎違う地元の青年を連れ込んではセックスに興じる毎日・・・最初は苦々しく思っていたサラだが、次第に彼女に興味を覚えて「ジュリー観察」が楽しくなって来た。そんな矢先に事件は起こったのだ。


【感想】
「まぼろし」「8人の女たち」で世界中にその名を知られる事になったフランソワ・オゾン監督の最新作。
オゾン監督の渾身の一作なのか?上記2作品に起用したシャーロット・ランプリングとルドヴィーヌ・サニエを今作の主要人物に据えて、正に万全の体制で臨んだあっと驚くミステリー!

・・・と、予告編を見た人なら誰もが思うでしょう。
ぴよも「どこでヒッカケがあるのかな?」と、ミステリー好きの虫がワイワイガヤガヤ大騒ぎ状態で見ていたんですが、正直言うとこの予告編の作りはある意味かなり卑怯です(^-^;
予告編を見る限りだとこの別荘で殺人事件が発生して、その犯人探しの部分がミステリーの中核になるんだろうと誰もが思うと思うのですが(少なくともぴよはそー思ってた)、はっきり言って殺人事件自体はミステリーでも何でもありません。

本作の見ドコロは、犯人探しでもミステリーでもなく、生真面目な女流作家と奔放で美しい娘ジュリーの対比を楽しませる事が一番じゃないかと思うんですわ。

老いた父親を抱え、有り余る才能を駆使して大ヒットミステリー作家として名を馳せるハイミスのサラ。
お金にも作品のプロットにも不自由のない、真面目で気難しく神経質な「いかにも女流ミステリー作家」のイメージそのままのサラと、彼女の対極のような若く美しく、そして奔放でセックスアピールいっぱいのジュリー。
サラがジュリーに興味を持っても・・・もっと言えばジュリーに憧れても仕方ないという状況設定は誰もが納得出来ます。

この映画のキモはもう1つ。
それは陳腐な殺人事件が起こって、いよいよ映画が終わるその瞬間になって明かされるどんでん返しでしょう。

(以下、ネタばれしてる?ので、未見の方は読まない方が懸命です)



予告編で「この作品はとてつもないどんでん返しのあるミステリーですヨ」と煽られていたので、映画見ながらいよいよ殺人事件が起こった時点でぴよなりに色々考えてたんですわ。
『この殺人事件自体が実はサラの勘違いなんぢゃねーの?』とか、
『犯人がコイツじゃー真っ当過ぎるから、実はサラが犯人だったりしてナ♪』とかネ・・・

そーいう類のどんでん返しじゃなくて、もっと根本的な部分で「どんでん」だったんすネ(^-^;
実言うと、このどんでん見た瞬間に「え?え?じゃあ彼女は一体誰だったの?」「つーか、辻褄合わないぢゃん!」等と頭の中はグルグルしまくり、ラストのスタッフテロップの部分をボーッと目で追いながら、目まぐるしく自分の頭の中で辻褄合わせにちっぽけな脳細胞総動員状態だったんすけど(笑)

結果的に言うと、今でも本当にトコロが判ってないぴよなんですが・・・
以下、ぴよが萎縮しまくった脳細胞でひとまず導き出した結論。未見の方はドラッグ禁止!(笑)

結果的に言うと、サラが別荘で出会ったジュリーという娘自体が存在していないという事?
ミステリー作品を紡ぐ事に飽き飽きしていたサラが、今までトライしたくても出来なかったなかった自分の内部を曝け出す情緒的作品を作る為に、自分の頭の中で作った妄想だったという事?
まずからして、サラは本当にこの別荘で執筆したかも疑問だよね・・・ラストシーンで実際の社長の娘に手を振るシーン(それが妄想?のジュリーの姿と被ってるのがまた思わせぶりだし)を見る限り、社長の娘というのはあの小太りのサエない娘しかいないとしか思えないし。



結果的に言うと、今でもスッキリしないぴよなんですが(^-^;
もしこの作品を見て「アンタ何勘違いしてんの?そーじゃなくて、この作品の真相はこーでしょ!」と、スッキリ説明の出来る方がいらっしゃったら是非ぴよにご教授お願いします。(マジで!お願い!!)

でもネ、
今もまだ「?」飛び交いまくりの本作ですが、非常にぴよお好みの映像美と気だるげな展開。
非常に洗練された「フランス映画らしいフランス映画」を堪能したという満足感はありましたネ。







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2004年06月05日(土) デイ・アフター・トゥモロー

監督:ローランド・エメリッヒ
出演:デニス・クエイド
    ジェイク・ギレンホール
    エミー・ロッサム、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
地球温暖化が深刻化する中、古代気候学者のジャック・ホールは大規模な気候変動を予測し、学会で注意を呼びかけた。それから数ヵ月後にジャックの予測は現実の物となった――巨大ハリケーンがLAを襲い、大津波がマンハッタンを呑み込む。ジャックは人々を南に避難させるよう合衆国副大統領に進言するが、政府は事態の深刻さを理解しない。
そんな中、ジャックの息子サムがクイズ大会出場の為に出かけたNYで災害に遭っていた。ジャックは息子を救う為に、これから氷河期に突入して行く絶望的なNYに向かって息子の救出に向かうのだったが・・・


【感想】
「インデペンデンス・デイ」でSFパニック映画をヒットさせたローランド・エメリッヒ監督の最新作は、地球温暖化が叫ばれて久しい地球環境問題をテーマにしたパニック超大作。

映画界の映像技術の進歩には目を見張るモノがありますよね。
そーいうモノを見るにはうってつけの一本です。予告編の映像を裏切らない数々の異常気象による災害のシーンには、思わず「うっ」とか「わあぁっ!」と声を挙げてしまいましたわ。
この作品は絶対に映像と音響のいい、大スクリーンの劇場で見るべきです!!

映像の素晴らしさはスクリーンで堪能してもらうとして、肝心の内容ですが・・・正直ダメダメですわ(笑)
地球と人類の危機を救わなくちゃいけないご意見番の学者が、自分のやるべき事(地球と人類を救う)を投げ捨てて、息子救出の為に既に生きてる可能性が限りなくゼロどころか、自分すら生き延びる可能性ゼロ状態のNYに向かうって所で既に破綻してますから(^-^;

とにかく「絶対にあり得ない」レベルの逃げ延び方をするジャックチームとサムチームのエピソードがてんこ盛りなんですが、観客にツッコミを入れさせる間を与えないくらいの凄まじい映像で無理矢理押し切って行きます。
言い方を変えれば「凄まじい映像を畳み掛けるよーに見せる事で破綻した展開を納得させる」という超強引な作り(笑)

これがそんなにイヤじゃないんだな。うん。
見てて不快になるならともかく、あり得ない展開でありながら「ここで助かってもらわないとつまんないしな」って観客に思わせるだけのパワーを持ってた時点で、この作品は成功してると思いますわ。
サム達がペニシリンを探しに難破したタンカーに行くくだりは、余りに強引過ぎたと思いますけど(苦笑)

ツッコミながらもキッチリ映像を楽しませてくれてるから、作品としては万事OKじゃないかと思います。
物凄い感動を期待して見ちゃ〜いけない事くらい、映画を見慣れてる方ならわかってるでしょ?(笑)

映画館で見なくちゃ楽しめない、そんな大スペクタクルパニック映画としては、なかなかキレイにまとまってますネ♪








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2004年06月04日(金) 白いカラス

監督:ロバート・ベントン
出演:アンソニー・ホプキンス
    ニコール・キッドマン
    エド・ハリス、他
オススメ度:☆☆


【あらすじ】
コールマン・シルクはユダヤ人初の大学学部長まで登りつめた古典学教授だったが、ある日黒人差別発言をしたと糾弾されて辞職に追いやられてしまう。その心労であっけなく妻を亡くしたコールマンは、作家のネイサンの所に赴きこの出来事を小説にして欲しいと懇願する。この事がきっかけで仲良くなった2人は次第に穏やかな生活を取り戻して行った。
1年ほどしてコールマンは不遇の女フォーニアに出会い、恋に落ちた。かけ離れた年齢差と余りに不釣合いなステイタスに周囲は反対するものの、コールマンの耳には届かない。だが彼には誰にも知られたくないある秘密を持っていたのだ。


【感想】
ピューリッツアー賞作家フィリップ・ロス氏の大ベストセラー小説「ヒューマン・ステイン」の映画化。
メガホンを取るのはこれまたヒューマンドラマ傑作「クレイマー・クレイマー」の監督ロバート・ベントン、主演2人はその演技力には誰もが脱帽!のサー・アンソニー・ホプキンスとニコール・キッドマンという超豪華な組み合わせ。

これは予告編で提示されている内容なのでネタバレではないと思うので書きますが
(予告編も見てなくて、更に展開に絡む重要なネタは知りたくないという方はここから先は読まないで下さい)



黒人の親から生まれたのに白人と同じような肌の色で生まれて来たがために、人種を偽り社会の成功者になれた男という設定が、まず日本人には馴染めないと思うんですよ。
実際にアメリカにはこういう例が数多くあるらしい・・・まあ冷静に考えてみれば白人と黒人のハーフ(優性遺伝だから肌の色は黒いわね)同士が結婚して子供を作れば、少なくとも1/4の確立で全くの白人状態の子供が生まれて来る計算になる訳ですから、あってもおかしくない話なんですよね。(メンデルの法則って覚えてます?)

そもそもアメリカに肌の色による人種差別があるからこそ、こういう小説が生まれる訳で。
黒人の親から生まれたのに劣性遺伝の掛け合わせで白人のような肌の色で生まれるという幸運に恵まれた事で、逆に自分の首を絞める事になってしまうという皮肉。

更にこの作品は、アメリカ社会が抱える「膿」の集大成のような設定になってるんだよネ。
人種差別は上に述べたとーり。その他に性的虐待、ベトナム戦争派兵による心的外傷後ストレス障害(PTSD)、ドメスティック・バイオレンス等、とにかく心と体の闇をこれでもかー!とてんこ盛り状態な訳で。
正直言って見ていて気持ちのいい話じゃないし、単一民族の日本では理解しきれない難しいネタだと思いますわ。

それをアンソニー・ホプキンスとニコール・キッドマンの「傷を負った者同士の恋」によって昇華させようという事なんでしょうけど、ぶっちゃけこの2人が恋人同士という絵ヅラって想像出来ますぅ?(^-^;
出来ないでしょ?出来ないよねぇ〜・・・実際にスクリーンで見ていても違和感アリアリでしたもん(笑)
それでなくても日本人には馴染みにくいネタを、違和感バリバリのカップル見ながら理解しろって言うんだから、そりゃー退屈しちゃうのもムリはないっすよ(苦笑)

ネタが暗いから盛り上がる要素がないし、フォーニアがカラスに話し掛けるくだりも唐突な感じがするし、コールマンの青年時代を演じるウェントワース・ミラー君(この作品が映画デビューなんだそーだ)は、どこをどう見てもアンソニー・ホプキンスとは似ても似付かず、まるで別人の話のよーなチグハグな印象しか残さないし・・・

まず、映画の展開がぴよには不満なんですよね。
いきなりオチから入って、オチに到る過程を見せていくという趣向なんですが、この手の暗いネタのオチが見えてると、どんな展開だろーが「でも結局こーなるんでしょ?」で片付いちまいますから(^-^;
せめて最初に見せたオチには更にどんでん返しがあって・・・というヒネリでもあればよかったんだけど。

救いは役者の演技力という所ですが、個々の役者の演技がいくら素晴らしくてもキャスティングを間違えてしまうと、肝心の内容に観客が入り込む隙を与えなくなってしまうんですよ。
元々ネタからしてぴよが受け付けない類だったので、誰が演じても結果は同じだったのかもしれないけどネ。

アメリカでは絶対にウケる作品だと思うよ。ただ日本人にはどーなんだろう?
決して出来が悪いとは思わないけど、ぴよはちょっと苦手なタイプの作品でしたね。







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2004年06月02日(水) ランダウン ロッキング・ザ・アマゾン

監督:ピーター・バーグ
出演:ザ・ロック
    ショーン・ウィリアム
    クリストファー・ウォーケン、他
オススメ度:☆☆☆−


【あらすじ】
LAでバウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)をしている巨躯の男ベックは、一刻も早く借金を返済して小さなイタリアンレストランを持つのが夢だ。暗黒街のボスからの申し出で、借金帳消しとレストランの開業資金という夢のような報酬を条件に引き受けた最後の仕事は「アマゾンにいるボスの放蕩息子・トラビスを連れ帰る事」
アマゾン・エルドラドは金鉱町で、独裁者ハッチャーが町を仕切っていた。ハッチャーと争う気のないベックは穏便にトラビスを連れ帰ろうとするものの、トラビスがこの地に伝わる秘宝の在り処を見つけた事が知れると事態は妙な方向へ・・・


【感想】
予告編見た時からすんげー楽しみにしていた一作。何しろ「ハムナプトラ2」「スコーピオン・キング」でぴよのハートを鷲掴みにしてくれたザ・ロック様の主演最新作なんですもの!!
ぴよのハートは鷲掴みにしてくれたのに、市井の皆様のハートは鷲掴んでくれなかったみたいです。先週土曜日に封切りになった本作、ぴよが住んでる名古屋ではちょい不便な場所にあるシネコン2ヶ所でしか公開してないんですよ(涙)
しかもTOHOシネマズなんて昼夕の2回しか上映してない・・・これは誰にも見せたくない秘密の映画なんすか?(^-^;

さてそんな悲しい封切を果たした本作。
正直言って「ザ・ロック様ファン」が楽しめばそれでいい(ウォーケン様ファン仕様という声もある)、もっと言うと真面目な映画好きの皆様が見たら噴飯モノのアホなB級アクション・アドベンチャーになってます。
ツッコミどころ満載、つーかツッコミ入れる気力も湧かない中途半端な作品ですわ(とほほほほ)
安臭い展開とカメラワーク、ぬるい演出、描き込みの薄い魅力に欠けるキャラ、どれを取っても一流のB級映画(をい)

ですがね、ちゃんと楽しいよ!(←既に苦しい?苦笑)
アクションだってWWEのスーパースター!ザ・ロック様がモリモリ頑張ってくれるし、火薬も使いまくって迫力もそれなりに出してるし、シュワちゃんがチョロっとカメオで出てるし(これはあんまり意味ないけどな)、牛もいっぱい走りまくるし!
(自分で書いてて訳わからなくなって来たぞ)

ザ・ロック様を持ち上げたいんですが、映画のオイシイツボを持ってっちゃったのはウォーケンでしょう。
久々に「いかにも」な悪役を怪演なさったウォーケン様、目付きの怪しさからしてイケてますが、すんごい独裁者を気取ってるクセにクライマックスでは意外とあっさりやられちゃう辺りも、B級作品らしいご立派な散り際。
更に今はの際に吠えるセリフ・・・『ウンパルンパ!』には腰砕けましたわ(爆)

あのー・・・「ウンパルンパ」ってどーいう意味なんですか?ご存知の方いらっしゃったら教えて下さい(^-^;

IQ低めのB級アクション・アドベンチャーの王道ですが、逆にB級映画ファンには必見でしょう。
WWEのスーパースター「ザ・ロック」+オスカーにノミネートもされる名優「クリストファー・ウォーケン」使ってこの作り、既に映画界の闇に密かに葬り去られる事が決定してしまったよーな本作を見逃したら、B級映画ファンの名折れですぜ!

・・・すんごいオススメの仕方ですが、これくらいしか言う事がないのだな。くうぅぅぅ。







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2004年06月01日(火) カレンダー・ガールズ

監督:ナイジェル・コール
出演:ヘレン・ミレン
    ジュリー・ウォルターズ
    シアラン・ハインズ、他
オススメ度:☆☆☆☆


【あらすじ】
英国ヨークシャーの田舎町に住むクリスとアニーは婦人会に参加している親友同士。ある日クリスは、夫を白血病で亡くして悲しみにくれるアニーを励まそうとあるアイディアを思いついた。何とそれは「婦人会でヌードカレンダーを作って、その売上金でアニーの夫が入院していた病院にソファーを送ろう!しかもヌードモデルは自分達で!」という大胆なものだった。
紆余曲折の末に出来上がったヌードカレンダーは国内どころか米国でも話題沸騰!沸き立つクリス達だったが、周囲で微妙な不協和音が起こり始めるのだった。


【感想】
1999年に発売されるや否や、30万部という記録的な売上を記録・・・って、これはこの映画の原作本がどーのこーのという話じゃないですよ。この「婦人会製作・ヌードカレンダー」の事ですヨ!
そう。これは本当にあった話を映画化しているんだそーですわ。「事実は小説より奇なり」とは言うものの、本当にこんな大胆な事を考える田舎のおばちゃん達がいるなんて、何とも楽しいぢゃーありませんか♪

事実を映画化している事、そしてその主人公になった主婦達が本当にどこにでもいる、普通に生活している一般人である事、更にはこのカレンダー製作のきっかけにもなった「夫を白血病で亡くしたアニー」の気持ちも考慮して、かなり気を遣った作りの作品になっていると思う。

映画冒頭からカレンダーを撮影するまでのエピソードが多少冗長な感じがしなくもないですが、このカレンダーを製作する事になったのが単なる「刺激を求める平凡な主婦の冒険物語」な訳ではなく、そこには夫を失った妻の悲しみと、それを何とかして癒してあげたいという優しい気持ちと、そしてちょっぴり刺激的なスパイスを求める事で、人生に彩りを見出そうとする「愛らしいお茶目な心」があった・・・という事を正確に観客に伝える為には端折れないモノだったんだろうね。

この映画のキモは「平凡な主婦がヌードカレンダーを作った事」自体ではなく、作った事によって生じた様々な軋轢や不協和音に彼女達が苦悩して、そこからどうやって立ち上がって行ったのか、という部分だと思う。
映画としては「こんなすっとこどっこいなカレンダー作ってみたら大ウケだった!楽しいな♪」で終わっちゃっても全然面白くてOKなんだろうけど、実際の彼女達はこの映画では表現し尽せない程の批判や誤解、軋轢や障害に晒されたであろう事は容易に想像が付く。
この彼女達の苦悩を映画で表現してあげなければ、彼女達はいつまで経っても「露悪趣味のババアが、ちょっとウケたからっていい気になりやがって」という偏見から開放される事はないでしょう。
そういう意味で、この映画はとても彼女達に好意的かつ真摯な姿勢で作られていて、非常に好感が持てましたね。

セリフ回しも非常にウィットに富んでいて楽しいし、イギリスの美しい田園風景がこれでもか!とスクリーンに映し出されて、旅好きさんには涙モノの映像の数々。
何よりカレンダーのモデルになった「おばちゃん達」が、とてもCUTEに撮られていて、とても愛を感じます♪

ハリウッド・シーンや細かいエピソードには多少のもたつきを感じなくもないですが、イギリスおばちゃんから元気と勇気と愛と癒しをめいいっぱい与えてもらえる、とってもステキな作品でしたヨ♪







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