泡とガラス玉


2005年03月06日(日)      キミワタシ


君が遠い街で恋人を失ったとき
私は君の街からさほど遠くない海で波の音を聞いていた

君に柔らかく暖かな日差しが戻ってきたとき
私は図書館のカウンターに座って好きな人と目が合ったところだった

君の恋が突然消えてしまったとき
私の長かった恋もまた終わってしまった

(冬の寒い坂道、ひょっとして同じ月をみていた?)

君が遠い街から私の住む街へ来た時
私は君の街の方へ行くことを諦めた 気持ちごと

(5月の新聞からはらりと落ちたチラシ)

君が白い扉を開けて初めてあの部屋へ入ってきたとき
私は開いた扉へ視線を移し初めて君をみた

(一緒にかえろう)

君が笑うとき
私は笑った

君が暗く沈んでいたとき
私は気づいていたけど声もかけずに平気な顔をしていた

君が辛い恋をしていた時
私の心は世界の美しさですら響かないほど乾ききっていた

君が幸せでも不幸せでもないと言った時
私は幸せだと答えたけど生きていたいとは実は思っていなかった


(だけど世界は変わる)

君の世界が変わったとき
私の世界もまた変わってくる


そうして振り返り気づくわけなんだ
知らないうちから僕たちがどれだけ繋がっていたかということを。



2005年03月05日(土)      セカイトヒトノカンケイ


手を繋ぎましょう
迷わぬように

傘をさしましょう
雨に濡れないように

目をそらして話しましょう
心の中で感じられるように

君がそうでもないとき
僕は君に会いたい

月の満ち欠け
オリオンの星の絵
見上げて思う
せかいのこと

愛し合うたびに
またひとつ人に成る
求めるたびに
またひとつ世界を取りもどす


僕たちは世界を忘れ人に成り
欠片を拾いながら
生き続ける
死に近づくたび
僕らは世界に近づく


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