『容疑者Xの献身』(東山圭吾著)を読了。
図書館で半年以上待たされただけの事は有って、かなりの傑作では有ると想う・・・のだが、 どうも、この手の推理小説を「面白かった」と云う事に抵抗がある。
幾らフィクションとは云え「ヒトゴロシ」を題材に描かれた話だし、 たとえ犯人が捕まっても、喪われた生命は帰って来ないのだと云う後味の悪さが拭えないからだ。 ・・・などと言いつつ、最近読んだ本の中では、かなり「面白かった」。 トリックも残酷な程に秀逸だし、 登場人物達の心情にも、すんなり感情移入させられた。
特に不器用な愛し方しか出来ない数学教師石神に共感を覚えた。 (もちろん私は彼の様に優秀な頭脳は持ち合わせていないが・・・)
彼の行動に賛同は出来ないが、 「自分の愛する者以外はどうでもイイ」と云う石黒の『エゴ』の変形である『愛』の形には鳥肌を立てながらも納得させられてしまった。
この世界中の全ての人間達から慈しまれ、深く愛されたとしても
この世界中で、 たった一人の愛を得られない私は
この世界中で一番孤独だ
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