『銃とチョコレート』(乙一著)を、ようやく読了。
『児童文学』として書かれた作品なので、 本はブ厚いが、その分文字が大きいのですぐに読めるだろうと鷹を括っていたら、 予想外に時間が掛かってしまった。
物語の半分位迄は割とまったりした『子供向け』っぽい展開だった所為か、 読むスピードもダラダラと遅かったのだが、 折り返し地点を通過して、 それまでの価値観が180度逆転してから以降は俄然面白く読めた。
・・・と云っても物語が突然面白くなった訳では無い。 (あ、面白くなかった訳でも無いですよ(^^;)) 物語の登場人物が急に現実味を帯びたので感情移入がし易くなったのだ。
やっぱり人間の『外見』に簡単に誤魔化されてはいけない。
善良そうな人が実は悪党だったり、 悪党に見える人が実は単に生き方が下手なだけの善人だったり・・・
こう云う事は物語の中では数え切れない程テーマとして描かれているのに、、 物語の中では、その問題も解決され、教訓として生かされてたりしているのに、 本を読み終えた人々が生きる現実世界では、さして何の変化も無いのが寂しい。
『見た目が9割』なんて本がベストセラーになったりしてるし、 私自身もしょっちゅう騙されているし・・・
物語の本筋である『冒険』に胸をワクワクさせつつ、 上記の事、 そして主人公の少年が『移民』として差別されている事等について、 読んだ子供達が学び取れる本なのでは無いか?と想った。
個人的には『戦争』の話をもっと詳しく書いて欲しかった。
付記・読み終えてから気付いたが、 これは別に『児童文学』なのでは無く、 主人公が幼い少年だから、作者がその少年と同じ目線に立って書いた文章であるに過ぎない。
常に主人公の瞳の高さで物語を綴る事が出来る乙一さんは、やっぱり凄いなぁ・・・
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