Monologue

2006年12月11日(月) 絆糸(『仮面ライダーカブト44話感想)

「もうこの世界には戻らない、僕はその方が幸せなんだ」と云う
ひよりに庇われながら、
「ボクとひよりは時空の外で二人だけで生きていくんだ」と言う擬態天道君。
「そいつは『ワーム』だぞ!」と、擬態君を指して叫ぶ天道君、
・・・・・・その言葉は『NGワード』だ。

瞳の前に在るひよりは愛する『妹』で有りながら、
同時に『妹』を殺した、憎いワームでもある。
天道君は、
実は潜在意識の底の底では、そんな事を想っていたのでは無いだろうか?

さて、
擬態天道君(面倒臭いので以下『2号君』と呼称)に
攻撃されたカブトの前に
「危ないッ!」と叫びながら飛び出す加賀美君。

ザビーの頃からの『己の身を盾にして庇う』と云うその手段は、
いかにも加賀美君らしいとは想うのだが、
視てる側の心臓が痛くなるのでそろそろ改めて欲しい。
(↑あらたがあらためる・・・なんちて(^^;))

だが、捨身で庇う相手の事をどれだけ愛しく大切に想ってるかが、
最も切実に伝わって来る手段ではある。

「岬にオレの全てを捧げる!」と言いながら、
身を挺して岬を庇った坊ちゃましかり・・・
だが、坊ちゃまの場合、
あれではちぃとも助けた事になっていない(涙)

まず岬を安全な処に逃がすのが先決では無いのだろうか?

『CAST OFF』しないわ、自分の武器は投げ捨てるわ、
おまけに、もしあの切られたコードから流出したオレンヂの液体が
人体に対して有毒だったら、もう取り返しが付かないではないか!

だが、結果的に岬の心を“キュン♪”とさせる事には成功した様なので、
良しとしよう。
やはり一途な姿は人の心を打つらしい。
やったね!坊ちゃま!

話は戻るが、
何だかんだ言いつつも、
冒頭で天道君を庇う為に加賀美君が飛び出した瞬間、
TVの前で狂喜乱舞してしまったワタクシ。

やっぱり天道君が大好きなんだね、加賀美君てば。

だがその加賀美君に、たった一声掛けただけで、
次の瞬間には、もうひよりにまっしぐらって云うのは、
ちと、あんまりなのではなかろうか?天道君(涙)

しかも何故、加賀美君をすぐ病院に連れて行かないのだ?

加賀美君が強がったと云う事も有り得なくも無いが、
前後の状況を鑑みるに「うっかり忘れていた」のではないか?と想われる。

だが破られたひよりの絵を見ながら、
「俺は・・・
(ひよりがこの世界に帰りたくないと望んでいるのは)違うと想う」と、
呟く加賀美君は、人柄の温味が感じられてとても良かった。

(個人的に加賀美君のぼそぼそ単調(?)に喋る声の芝居が
凄く好きなワタクシ。
何だか胸筋に響いてるみたいな声がイイなぁ・・・と想う)

加賀美君は血の繋がりなんか無関係に、
自分の身近な人間を無条件に大切に出来る人なんだと想う。
(もちろん例外も有るだろうが)
ひよりの事もちゃんと『妹』みたいに大切にしてるし・・・
『昭和ライダー』だったら、間違い無く加賀美君が主人公だろう。

もし加賀美君みたいな人が身近に居たら、
私は、もっと『人間』を信用出来る様な気がするし、
加賀美君みたいな人にだけは
「こいつダメじゃん」と失望されたくなくて
無理に頑張ってしまう様な気がする。
(閑話休題)

無理に頑張ってしまうと云えば、
岬さんと云い、田所さんと云い、
危険な戦闘区域でヘルメットを被らないのは
『チーム田所』の方針だろうか?

そして無理に頑張ってしまうと云えば、
カブトをひより救出に向かわせて、
カッシスワームグラディウス
(こんな名前だったなんて↑初めて知りました(^^;))に
単身立ち向かうガタック、

「俺はそう簡単には死にませんよ」

そう云えば、
ガタックになった時も、
カブトが初めてハイパー・ゼクターを手にした時も、
あっさり死の淵から戻って来た
『少年ジャンプ』のキャラクター顔負けの強靭な生命力の持ち主ではある。

でも冒頭シーンの様に、
自分の危険も顧みず身を挺して誰かを庇う方法を改めないと、いつかは・・・(以下略)


そんな加賀美君を助けに(?)登場する影山君。

だか彼の場合、
やはり
『ザビー』=『シャドウ隊長』と云う輝かしい立場に未練が有ったのだと想う。

矢(さ)車さん曰く
『正義の味方の燃えカス』が残っているからでは無い。
そんなモノ、とっくに蛆虫に喰わせちまってるだろう、影山さんも。
生きてるって虚しいよな・・・。


「俺と一緒に技を出すんです!」と加賀美君が
カッシスワームグラディウスへの同時攻撃をお誘いしても、
「お前ごときの指示に従えるか!」と云う相変わらずの不協和音ぷり!

矢(さ)車さん以外には
友達がいなさそうな影山さんの不協和音ぷりが大好きだが、
個人的にはやっぱり友達にはなりたくないタイプである。

あっさり倒された後の影山から離れたザビー・ゼクターを
視線だけで「シッ!」と追い払う矢(さ)車さんが格好良かった。
矢(さ)車さんは復活してからどんどん格好良くなって行くなぁ・・・兄貴!
(正確には『弟』なんだけど(^^;))

カブト、ガタックと三人で
トリプル・ライダー・キックを決めるシーンも最高だった。
何だかんだ言って
『パーフェクト・ハーモニー』を決める処は決める男!である。

その後、
仲睦まじそうに寄り添う天道君と加賀美君を羨ましそうに見る兄貴・・・
その兄貴の前に何事も無かった様にニコニコ現れる影山君の姿に
溜息を吐く姿が涙を誘う。

兄貴!影山君にもイイ処が沢山有るよ!
アタシは友達になりたくないけど・・・


さて、
仲睦まじいと云えば!
今回の天道君&加賀美君の『絆』

「俺とお前が力を合わせれば、幸せな家庭が築ける」
・・・ぢゃなかった(^^;)
「俺とお前が力を合わせれば、あのワームを倒せる」と云う
加賀美君の台詞は、
まるで『プロポーズ』の様だった。
その言葉を聴いた天道君も嬉しそうに微笑っていたし・・・

その後、
「お前、さっき、
「俺とお前が力を合わせれば、あのワームを倒せる」と言ったな?」と云う
天道君に、
「あ・・・あれは勢いで・・・」としどろもどろ答える加賀美君。

だが、結果的には正解だった。

加賀美君には
「良く判んねェけど、こっち!」みたいな野生の本能と云うか、
天性の閃きが有ると想う。

それにしても
拳と拳をぶつけ合うだけで判り合える二人の『絆』って本当に良いなと想う。

闘いを終えて傷だらけになった加賀美の元に真っ先に走り寄って肩を貸す天道君。

「お前に借りが出来たな」

「ああ・・・今度、メシでも喰わせろ」

理屈抜きで良いシーンだなぁ・・・。


そのシーンに暗雲を落とす様なBGMと雷鳴を纏って現れる2号君。

2号君にはひよりだけしかいなかったのに。

天道君が迎えに来た時に、
「キミも一緒においでよ」とひよりが手を差し伸べてあげれば、
彼も救われた筈だったのに・・・

かけがえの無い愛しい者が、
自分には決して振り向いてくれないのだと知った時、
その相手はこの世で最も憎い存在となる。

「壊してやる!こんな世界!」

ひよりを自らの手で傷付けてしまい、
狂気の塊と化した2号君はどうなるのだろう?
彼にも救われて欲しいのだが・・・

ちなみに彼みたいに純粋な人とだったら、
何もかも捨てて、
時空の外で永遠に二人きりで暮らしてもイイと本気で想うワタクシ。

自分が生きてるこの世界に未練なんか、ちぃとも無いよ。


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