『おまえは世界の王様か!』(原田宗典著)
これは朗読のS先生が読んでいらした本のタイトルなのだが、この本が物凄く面白かった!
原田宗典さんが20年前、まだ早稲田大学文学部の学生だった時に読んだ本の感想を書き綴ったB6サイズのカード(京大式と云う形式だそうです)が、実家の物置から500枚近くも発見されたそうなのだが、その感想文が若い頃に書かれただけあって、かなり手厳しい内容ばかり。
“20歳の僕は言うまでも無く自分が世界の王様だったので、誰の意見にも耳を貸さず、 その時自分が感じて得た独自の見解をズバズバと述べている”(本文より引用)
たとえば『美徳のよろめき』(三島由紀夫著)の感想カードには、 “読み終わってから時間の無駄を感じた・・・・・・(中略) 「男と女がひっついて離れた」だけの話には、もううんざりだ”
この辛辣な感想に対して、
“う〜む「うんざりだ」ときましたか王様、 キミね本当に態度デカイよ!
・・・・・・などと現在40歳の原田氏がそえていらっしゃるコメントが、 「まぁまぁまぁ!そうトンガるなよ、昔の俺!」みたいな感じで可笑しく微笑ましい。
20歳の頃の原田氏は、家庭的にも不遇で、 「絶対に俺は作家になってやるんだ!」と云う強固な志の元に大量の本を読み漁っていらしたのだそうで、そのエネルギーがカード1枚1枚から熱く伝わって来る。
情け容赦無い批評では有るが、飾り気の無い正直な感想には、どれも好感が持てる。
こう云う人、嫌いぢゃないぜvv
それにしても読んでいらっしゃる本の量と作家の数が半端ぢゃない!
自分は一応読書好きのつもりだったのだが、 お恥かしい事にこの本に掲載されている本の20分の1も読んでいない。 『ライ麦畑』で個人的につまづいて以来、読まず嫌いだったサリンジャーの短編集『九つの物語』や気難しい王様が珍しく褒めておられる北杜夫や吉行淳之介、永井荷風らの作品も読みたくなってしまった。
自分が読んだ事の有る本の感想は興味深く読め、未読の作品への手引書にもなる、読書好きの私には堪らなく面白い一冊だった。
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