Monologue

2004年12月16日(木) ぼくの宗教へようこそ

帝国劇場にて『歌う上川隆也』(違)では無く
『劇団★新感線』のロック・ミュージカル『SHIROH』を観劇。

相変わらず大した事は書いていませんが、観覧予定の方はご注意下さい。


時は、三代将軍徳川家光の治世。幕府は鎖国をご定法としていた。

九州は島原、重税と度重なる飢饉に苦しむ農民は、
島原藩キリシタン目付・津屋崎主水(池田成志)らに迫害されながらも、
キリシタンを信仰し続けていた。

隠れキリシタンの中心的存在の益田甚兵衛(植本潤)、
その娘レシーナお福(杏子)らは農民を武士達の拷問から救い出し、
天主デウスの言葉を伝える救世主『天の御子』が現れると説き、
さしも甚兵衛の息子である益田四郎時貞(上川隆也)であるかのような噂を流して、
民衆を扇動し時代を動かそうとしていた。

しかし四郎はかつて『奇跡の子』と呼ばれていたような奇跡を起こす力を既に失っていた。
その原因になったリオ(大塚ちひろ)と云う少女の幻が四郎の前に時折現れる。
 
その頃天草にもシロー(中川晃教)と名乗る少年がいた。

シローはバテレンと日本人との間に生まれた混血児で、
幕府からは国外追放の憂き目に合ったものの、船が嵐で難破してしまい、
この天草の入り江に流れ着いたのだった。

シローは不思議な力を持っていた。

シローが歌うと人々の心は彼の『歌』に操られ、役人達も彼を捉えることができないのだった。

その頃、四郎の父と姉が捕らえられたとの知らせが入る。
この暴挙に四郎はキリシタンの反乱軍を率い、囚われた人々のいる牢獄へ攻め入った。

そこには捉えられた天草のシローもいた。
(何故彼が歌わずに捕まってしまったのかと云うと、
 逃げ様としたシローの瞳の前にリオが現れて「今はまだ歌ってはダメ」と嗜めた為)

いよいよ進退窮まったキリシタンの囚人たちに、
「もうダメだ!死のう!殉教(まるちり)だ!」と説く甚兵衛に、
シローは「死んだら何もならない!生きて自分達の力で勝ち取るのだ!」と云う事を
『歌』で訴える。
キリシタンの人々はシローの『歌』に奮起せられて武器を取り立ち上がるのだが……



25分の休憩を挟んで上演時間4時間(!)の長さを全く感じさせない面白さは、
さすが『劇団★新感線』なのだが、どうもイヤな後味の悪さが舌に残る内容だった。

元々『島原の乱』が、かなり陰惨な史実なので、
舞台を観ながら何だか胃の辺りがキューッと収縮する様な感じを覚えた。

人々があんなにも信心深く神の名を唱え、祈り続けたと云うのに、
実際の神様は忙しいのか、無情なのか、決して救いの手を差し伸べては下さらない。

(深作欣二監督の映画『魔界転生』の天草四郎が、
そんな神様にさっさと見切りを付けて
“エロエム・エッサイム”と悪魔に求め訴えてしまう気持ちがとても良く判る)

『宗教』に縋る人々は一途で純粋なのだと想う。

人生が辛くて、哀しい事ばかり多くて、誰の助けも得られない絶望的な時に、
人は神に祈り、経典の言葉に縋るのだろう。


最初シローの『歌』で勇気付けられて
『まるちり』では無く、生きて戦う道を選んだキリシタンの人々に対して、
戦いの最中に愛する者を失ってしまったシローは狂乱しながら高らかに歌い上げた。

「我らの神は3万7千人の血を望んでおられるのだ!
 銃弾を潰して十字架を造って天に掲げろ!
『まるちり』だ!『まるちり』するぞ!!」

『歌』に高揚したキリシタンの人々は政府軍の銃弾に向かって行進して行き、
神の名を唱えながら次々と殺されて行く……

白装束を身に纏い、笑顔で死んで行くキリシタンの人々の姿には、
ハメルンの笛に操られるネズミや集団自殺するレミングの群れを想起してしまい、
鳥肌が立った。

自分は『新興宗教』は大嫌いだし、神様なんていないと想っている。

だが『キリシタン』を辞めれば命は助かると政府の役人に言われていたのにも関わらず
『キリシタン』を辞めずに神の名を唱えながら死んで行った彼らの行く先に、
『はらいそ(天国)』は有っただろうか?

せめて彼らが『はらいそ』に辿りつけていたら良いな……と心から想った。






写真は劇場に飾られていた『天使仕様ギター』
『歌』で人々を導く天草四郎のイメージ・オブジェらしいです。
実物は土台が地獄っぽい暗いイメージで造られていたり、
かなり凝っていてスゴく綺麗でした★


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