Monologue

2004年07月12日(月) 燃える闘魂

先日私が参加させて頂いた舞台の劇中で、
私を含めて3人が、ヘレンと云う女海賊に追い詰められるシーンが有る。

最初、3人で身を潜めて隠れている処にへレンがやって来て、

「誰か其処にいるの?」

“ヤバイ、見付かっちゃうよ”と更に私達が身を潜めると、
3人の内の1人・・・・・と云うか1体のロボット(役名ドロップ)が、
“ワン!ワン!”と犬の鳴き真似をする。

すると、
「何だ、牛か」

私達に気付かず(?)通り過ぎ様とするヘレンに向かって、

「バカ!牛じゃねェぞ!犬だ!コラ!」と、

逆ギレして騒ぎ立てたドロップの所為で私達は見付かってしまうのだ。

「アンタ達、誰?さてはヤツ等の仲間ね!」と訝しむヘレンに向かって、

「違います!牛です!モォォ〜〜」と、私(ななかです)が鳴き真似をするのだが、

このシーンの稽古中にヘレン役のYちゃんが、

「何だブタか」とか「何だ山羊か」とか台本と違う動物をアドリブで言う様になったので、

このシーンは、
「何だ○○か」の○○の鳴き真似を私がやると云う事が『お約束』になってしまった。

こう云う日替わりアドリブは今までやってみた事が無かったので、
個人的にとても楽しみながら演っていたのだ・・・・・・が!

本番初日、Yちゃんは問題のシーンでこう言ったのだ。

「何だ、カバか」

・・・・・・カバって何て鳴くのさ(涙)???

どうやら他の役者達が、
「鳴けない動物の名前を言ったら、ななかさん(仮名)は、
どんなリアクションをするんだろうね?」とYちゃんに入れ智恵したらしい。

その次の日も、
「何だ、ワニか」とか「何だロバか」とか鳴けない動物シリーズが続いたのだが、
その度、
「ど、どうもアリゲーター!」とか「ギャロップ、ギャロップ(←これは子馬だろ)」とか
我ながらバカバカしいリアクションで誤魔化していた。

日を重ねるにつれ、結構余裕が出て来た所為も有り、
このシーンは個人的に楽しみなシーンになった。
(もちろん他のシーンも楽しかったですが)


そしていよいよ千秋楽、
舞台は順調に進んで、例のシーンになった。

果たしてYちゃんは何と言うのだろうか?

(さぁ!カブトムシでもイリオモテヤマネコでもウミウシでも何でもいらっしゃい!!)

ドキドキしながら待ち構えていた私に向かって、

「何だ、イノキか」

イ、イ、イ、イノキ?って、何て鳴くの?

・・・・・・って、それ以前に動物じゃないじゃん!!

「バカ!イノキじゃねェ!イヌだコラ!」

半分笑いながら逆ギレしているドロップをもう1人の役者と一緒に宥めながら、
私の頭の中には、

“チャ〜ラ〜ラ〜♪イノキ!ボンバイエ!イノキ!ボンバイエ!”と、
『燃える闘魂』(でしたっけ?猪木さんのテーマソング)がフルボリュームで鳴り響いていた。

「アンタ達、誰?さてはヤツ等の仲間ね!」

ニコニコ・・・・・・じゃ無く、ニヤリと微笑しながら言い放つヘレンに向かって、

「ち、違います!イ、イノキです!!」

素に戻って大笑いしそうになるのを必死に堪えながら、
私は右の拳を高々と振り上げて、こう叫んだ。

「元気ですかぁッ?!1・2・3・ダァァッ!!」

“ドッ!”と客席から笑い声が沸いた。

(え?ウケてる?)

今までお客さんから笑いを取れた事が皆無に等しい私は、
生まれて始めての体験に内心ガッツ・ポーズ!!


だが終演後、観に来てくれた友達&『ボマーな貴婦人Hさん』は、


「似てなかったよ、猪木」


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