「あ〜あ俺って何でこんなにジャンケン弱いんだろうなぁ……」
ヒソカデパートの新年大売り出しの福引でたった2枚だけ当たった舞踏会のチケットを ジャンケン勝負に負けて、まんまとお姉様たち……じゃ無かった、 ゴンとキルアに取られてしまったレオリオは一人寂しく留守番する羽目に陥った。
一人きりで室内に篭っているのは何だか味気無く感じて、 ベランダの手摺に両肘を掛けてガッカリと肩を落としながら、 ライトアップされた遥か遠くに輝く白亜の城を眺める。
「俺も舞踏会に行きてェなぁ……酒は美味いし、姉ちゃんはキレイだろうし……」
「舞踏会へ行きたいか?」
背後から突然掛けられた声に顔を振り返ると、
「ク、クラピカ?」
瞳の前には、魔法使いのおば……じゃ無かった、 ヨークシン・シティへ単身赴任中で有る筈のクラピカが立っているではないか。
「お前、帰って来たのか?」 そう言いながらレオリオは嬉しさの余りクラピカの身体を折れんばかりにギュ〜ッ!と 抱き締めた。 「うわっ!」と、反射的にクラピカは声を上げる。
「帰って来るなら知らせてくれりゃ良いじゃねぇか!ったく 相変わらず水臭ェなァ……」
そう言いながらポンポンとクラピカの背中を右掌で軽く叩く……と、
「ち、違う!私はクラピカでは無いのだ!」
そう叫びながら、腕の中のクラピカはバタバタと暴れ出した。
驚いて腕の力を抜いた隙を突いて、レオリオの腕を逃れると、 「わ、私はクラピカそっくりの愛らしい森の妖精(等身大1/1スケール)なのだ!」
へ?と、レオリオはまじまじとクラピカそっくりの妖精(自称)の顔を覗き込む。
「お前、以前、私にそっくりな小さい妖精を助けた事が有っただろう? 今更ながら、その恩返しの為にやって来たのだ!」
「今更ながら……って、それもう1年以上も昔の話じゃ無ェかよ? さては、ななか(仮名)のヤツ、ネタ不足で丁度良い口実を思い付け無ェのか?」
ジロリと睨み付けると、クラピカそっくりの妖精(自称)は、急に焦った様な表情になり、
「こ、細かい事は気にするな! (そうだ!気にするな(^^;))
……お、お前、舞踏会に行きたいのだろう?」
「ああ!舞踏会と云ったら酒は上手いし、姉ちゃんは水着ギャルvv もしかしたら“オッパイポロリ!”も有るかもしんねぇし……」
デヘデヘ……と鼻の下を伸ばしながら自分勝手な『妄想』を語るレオリオに向かって、
「舞踏会がそんな下品な訳が無いだろう!深夜のバラエティ番組では無いのだぞ!!」
クラピカそっくりの妖精(自称)はピシャリと一喝する。
「全く……何と云う下品で低俗な発想だ! 舞踏会にやって来る女性は 皆こういった美しいドレスを着て来るに決まっているでは無いか?!」
そう言いながらパチン!と指を鳴らすと レースとフリル、キラキラ光るラインストーンやスパンコールで装飾された きらびやかなドレスが瞬時にクラピカそっくりの妖精(自称)の手の中に現れた。
ホゥ…と感心した様にレオリオは溜息を漏らすと、
「なぁ、お前、ちょっくらそのドレス着てみてくれねぇか?」
「な、何故だ?」
キョトンとした表情でクラピカそっくりの妖精(自称)が尋ねると、
「ちゃんと着たトコ見ねぇと、今いちイメージ掴めねぇんだよ」
「わかった、では……」
パチン!と指を鳴らすと、 クラピカそっくりの妖精(自称)はフリルの付いたドレスを一瞬にして身に纏ってみせた。
「これで良いのか?」
キラキラと輝くドレスを身に纏ったクラピカは、 まるで蝶々の様に可愛らしく、レオリオは想わず見惚れてしまう。
だが……
(でも何も魔法で一瞬に着替えなくても良いじゃねぇかよ、期待させやがって……)
「さ、お前も着替えろ!」
そう言いながらパチン!と指を鳴らすと、レオリオの衣服も一瞬でタキシードに変化した。
「お!凄ェ!エルマーニじゃねぇか!」
スーツはまるでオーダーメードの様に身体のサイズにピッタリだ。
ヒューッ♪とレオリオは感嘆して口笛を吹く。
「ぐずぐずしていないで、さっさと台所からかぼちゃを持って来い!」
畳み掛ける様にクラピカは言い放つ。
「え?かぼちゃなんかどうすんだよ?」
「決まっているだろう?中身を刳り抜いて馬車を造るのだ」
首を傾げるレオリオに向かって、クラピカそっくりの妖精(自称)はさらりと答えた。
「……んなまどろっこしい事しなくたってよ……」
レオリオはドレス姿のクラピカそっくりの妖精(自称)をヒョイと抱き上げると、
「うわっ!な、何を……ッ!」
「俺の愛車で城までドライブと行こうぜ♪」
茫然としているクラピカそっくりの妖精(自称)にウインクしながらそう言うと、 駐車場に止めてある車まで運んで、助手席に座らせ、レオリオは運転席に乗り込んだ。
“ヨーロレイヒィ〜♪”と鼻歌を歌いながらハンドルを廻すレオリオは、 かなり上機嫌でウキウキしている。
ふと、クラピカそっくりの妖精(自称)は気付いた。 自動車は舞踏会の行われている城とは正反対の方向へ向かっているでは無いか?
「い、一体何処へ行くつもりなのだ?レオリオ?」
「あんなのより、もっとムーディな『お城』が有るんだよ……ま、俺に任せときな!」
レオリオはニヤニヤ微笑いながら、やたらと嬉しそうにハンドルを切る。
やがて車窓に、 舞踏会が行われている城よりも一回り小さくて、 ピカピカ安っぽく光るネオンの電飾でけばけばしく飾り立てられている城が見えて来た。
レンガ造りの門には、
『ベッドフカフカ ムード満点vv 休憩4000ジェニー:宿泊6000ジェニー』と書かれた看板が掛けられている。
レオリオは迷わず地下の駐車場へと車で乗り入れながら、 助手席のクラピカそっくりの妖精(自称)に向かって、ニヤリと微笑った。
「さぁて!深夜12時過ぎまで踊ろうぜ、姫君vv」
(こんな『シンデレラ』はダメダメです(^^;))
蛇足
「なぁんだ、お前やっぱりクラピカ本人じゃねぇかよ」と、
フカフカのベッドに横たわりながら、 レオリオは傍らに寝そべっているクラピカの金髪を指で弄びながら言葉を掛ける。
「な、何故判ったのだ?」
いきなり虚を突かれた様な表情で尋ねるクラピカに向かって、
「ん?だってよ、 “履き慣れた靴は足にピッタリ合う”に決まってんじゃねーか♪」
レオリオの言葉を聴いた途端、 クラピカはカッと頬を朱に染めながら、シーツをガバッと頭から被ってしまった。
その様子に、思わずくくっと微笑いを漏らしながらレオリオは、 シーツを被った頭ごと抱き寄せて、耳元(と思われる処)に唇を寄せて囁いた。
「・・・・・ところで、お前さ、何で『魔法』なんか使えんの?」
「こ、細かい事は気にするな! (そうだ!気にするな(^^;))」
(やっぱりダメダメです、皆様すみません(涙))
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