Monologue

2002年04月16日(火) 授業中

「南方に遠征した古代スミ族は、295年に……」


ふと、

クラピカは音読していた『スミ古代史』の教科書から瞳を上げて、

教室の最後列の左端に座っている生徒……レオリオに視線を向けた。


授業中だと言うのに、

組んだ長い足の膝上に肘を付き、平然と『携帯』にメールを打ち込んでいる姿が

クラピカの勘に障る。



「レオリオ!授業中だぞ!」

ツカツカとレオリオの席に歩み寄って、

ピシャリ!と厳しい口調で嗜めると、

「へいへい……」

・…と微笑いながらズボンのポケットに『携帯』を突っ込んだ。



(全く、困ったヤツだ……)

フゥ……と溜息を吐きながら踵を返し、教卓に戻ろうとした時……



゛bururururu…………゛

『マナーモード』に設定されていたクラピカの胸ポケットの『携帯』が小刻みに振動した。


(ん?)


クラピカは『携帯』を取り出す。

液晶画面には『メール着信』を告げる『封筒』のアイコンが表示されていた。


(誰からだろう?)


゛ピッ!゛とボタンを操作して『新着メール』を開く……と、



゛愛してるぜvクラピカ先生  レオリオ(^^)゛


ハッとして振り返ると、送信者であるレオリオは不敵に微笑いながら、

クラピカに向かって右掌を振っている。



ツカツカツカ……と、

再びクラピカはレオリオの席の傍に歩み寄る……



「レオリオ………」

「何?先生v」

「授業を真面目に受ける気が無いなら廊下に立ってろ!」


ビシッ!と屹立させた人差し指で教室のドアを指し示しながら、低い声で鋭く言い放つ。



チェッ!と、舌打ちしながら立ち上がると、

レオリオは゛ガラッ゛と教室のドアから出て行った。


゛フゥ……゛と溜息を吐くと、クラピカは気を取り直して生徒達に向かって言う。


「さ、授業を再開するぞ!」



゛bururururu…………゛


『マナーモード』に設定されていた胸ポケットの『携帯』が、また小刻みに振動した。


(ん?)


取り出した『携帯』の液晶画面には、

『メール着信』を告げる『封筒』のアイコンが、再び表示されている。


(まさか……)



゛ピッ!゛とボタンを操作して『新着メール』を開く、と………




゛怒った顔もカワイイぜ♪  レオリオ(^^)゛





……………………………………・ぷつん





と、クラピカは、自分の脳内で神経繊維が数本ぶち切れる音を聴いた。




゛ガラッ!!゛と勢い良くドアを開けて廊下に出ると、


壁に寄り掛かったレオリオが『携帯』を片手にニヤリ……と微笑み掛けた。




゛ぷち、ぷち、ぷちぷちぷちぷちん…………………っ!!!゛




その面構えを見た途端、


クラピカは持っていた教科書をレオリオの脳天目掛けて思いっ切り振り下ろした。


「おおっと!!」


レオリオはすかさず避けた。


「バカ!避けるな!このォ!!」



クラピカはレオリオの頭部を目掛けて、何度も何度も教科書を振り下ろし続けたが、

いとも容易く避けられてしまう…………



「待て−ッ!コラーッ!逃げるなーッ!!!」

「オーッホッホッホ!………捕まえてごらんなさァ〜イッ♪」


校庭を逃げ廻るレオリオに向かって教科書を振り上げて、

必死に追い掛けているクラピカの姿を教室の窓から眺めながら、



「あ〜あ、またやってるよ、あの二人……」



中学1年生のゴンは呆れ返った様に呟く。


隣席のキルアも肯きながら、



「あれじゃ、また『自習』だな、クラピカ先生の授業……」



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