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| 2003年10月17日(金) |
Piperミュージカル『スリー・テナーズ』 |
<作・演出>後藤ひろひと <出演>後藤ひろひと、川下大洋、山内圭哉 原田修一、竹下宏太郎、楠見薫、大路恵美、内場勝則
幸せな息抜きだった(*^^*)そんな感じ。 安くて美味しい、チェーンの専門店で出るスパゲッティみたい。 楽しく書いている感じが全面に出ているのに、しっかりした脚本。 目当てだった山内さんが、やっぱり派手な衣装で乱暴者で、 かっこいいお姉さんや、歌が上手で可愛らしいおじ様がいて、 ふっとんだお嬢様が妙にリアリティのある技を繰り出してくる。 いい年の男どもの子供らしい「純心」が、どこまで本物に見えるか? 勢いに頼るのではなく、きっちりと嘘を本当の味に見せる力が、 後藤ひろひとにはあるなぁと、満足。
あらすじを簡単に書くと、 詐欺やら何やら小さな悪事を重ねる淳二と彩華(竹下・楠見)が 広告で見かけたアルバイトに惹かれ、群馬の山奥にやってくる。 親を亡くした子供3人を博多まで無事に送り届けるだけで、 前金100万、完了時に100万円という、ボロ儲けなアルバイト。 しかし、出てきた執事・熊野前(内場)が歌で呼び出した 長男・左平衛(川下)と三男・茂蔵(山内)は、どう見ても30歳すぎ。 しかも、家から一歩も出ることなく育ったという超世間知らずで 歌で命令されないと真っ直ぐ歩くことすらしない教育を受けている。 数年前に家出したという 次男の金五郎(後藤)を大阪で拾って、 3人を博多まで送り届けられるのだろうか?・・って感じ。 合間に怪しい男・兵頭(原田)や茂蔵の婚約者・麗子(大路)が絡む。
私にとって後藤作品といえば、 『ダブリンの〜』や『人間風車』のイメージが強い。 泣きたくなるような童話の残酷さで、切なく人間を語る。 でも今回はそんなことは全くなし。あっぱ〜と楽しく笑っちゃう。 エンディングが見えるのは いつもどおりだけれど、何か温かい。 群馬発で上信越道を通って名古屋経由大阪に向かったりと、 やっぱり妙に地元な雰囲気で ちょっと内輪ウケもしながら、 ナイト2000なんて懐かしすぎるネタも出しながら。 (周りが誰も笑ってなかったのが、ちと寂しく恥ずかしかった。 でも年齢差が問題なら、言ってた本人も分からないはずよね?)
何でもないような話が、笑っただけで満足できちゃうのは、 ところどころに挿入されるインパクトのあるセリフと、 役者たち自身の魅力もあるかも。一応「ミュージカル」と 銘打たれた舞台に、あの麗子お嬢様の歌声はぁぁぁ(^^;;だし。 音が外れるとか外れないの問題ではない「破壊力」としか 言いようがない歪みっぷりは、一度聞いたら忘れられない。 また、当分は、納豆を混ぜるたび、あのネチャネチャ音とともに いきなり増殖して部屋中に溢れそうな気がして怖いだろうし、 茂蔵の出会い頭いきなりな「大好きな方の兄ちゃん!」は、 あまりに素直でインパクトでかすぎで腹筋痛いほど笑ったし。
大路さんが、舞台発声イマイチの上に かつぜつが悪くて、 肝心のセリフが聞き取りづらく笑いそびれる時があったとか、 左平衛ちゃん用お眠ぬいぐるみ・イカのポンポンちゃん絡みでは、 内場さんが独りで走りすぎてる部分があると感じたりとか、 ミュージカルなんて見慣れてない客層を相手にしているのに、 ちゃんと歌の後に拍手用の間っぽいものがあるもんだから すごい歌の後とか、ちゃんとダンスしてくれた後なんかは、 拍手したくて、周りを窺いながらムズムズしちゃったとか、 少々の文句がないわけではないのですが、とにかく 「楽しかったから満足!」と言える舞台は嬉しかったです。 そして、終演後も流れていた、麗子お嬢様の『魔笛』 しばらく頭についてグルグル回って怖かったです。
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