魅力ある作品の条件 - 2012年06月03日(日) 本当に今更ではあるのですが、 荻原規子さんの「RDG レッドデータガール」が 文庫落ちしているのを見かけてふと手に取り、 恥ずかしいくらいに今更ですが、楽しく読んでいます。 ……あー、3巻以降が文庫になるのいつだろう。 単行本に手を出そうかどうかすごい迷う……。 あ、3巻は6月予定なの? だったら嬉しい。 (荻原さんのブログちょっと遡って見てきた) 1巻目の刊行当初から存在は知っていたんですが、 現代ものということで、てっきり『樹上のゆりかご』系だと思っていて 気が乗らないまま手を出してなかったのですよね。 勿体無いことをした……。 『これは王国のかぎ』もいまいちピンとこなかったのですが、 勾玉と西魔女は好きなんですよ。 何だろう、この違い。 多分何かしらあると思うんだけど。 それはとりあえず今日はおいといて。 RDG、初めは読んでいて非常にびっくりしました。 荻原さんの作品なのかこれ、という感じで。 日本の……何て言ったら良いんでしょうね、 文化(?)を基盤にもつファンタジーという点では、 デビュー作の『水色勾玉』『白鳥異伝』と神道系寄りから、 『薄紅天女』を橋渡しに『風神秘抄』と仏教系、修験道系の匂いも 織り交ぜた文化基盤を持つ物語を読んできて来ているのに、 私は何だか「荻原さんこういうのも書くんだ?」と感じたのでした。 多分、物語舞台の問題なのだと思うのですよ。 登場人物については、過去作に近しい子たちを見出せますから。 泉水子は『空色勾玉』の狭也や『西の善き魔女』のフィリエルをはじめ、 荻原作品ヒロイン共通の思い悩みを持つと思うし、 深行は『西の善き魔女』のルーン、 2巻に出てくる真夏くんは『空色勾玉』の稚羽矢だなと思ったし。 ただ、多分風景描写というか、 空気感みたいなものに差を感じているのだろうな、と思います。 荻原さんの現代を舞台とした作品に触れてこなかったから。 古代、上代、中世、そして異世界ファンタジーと、 それぞれとあまりにも(当たり前ですが)匂いの違う世界。 そこに異色を感じているのだとすれば、 私が荻原さんの作品に何に惹かれている大きな理由に、 その文章に写しこまれた作品世界がのぼってくるのだと思います。 空気の匂い、雨粒の感覚、……多分、自然の描写。 自然そのものではなく、自然に触れてる人間のその感覚。 思えば、各作品についても印象に残っていると言えるシーンは そういったものが占めている気がします。 『水色勾玉』だったら、最初の最初に狭也が紐を川に流してしまい それを追いかけて川岸を走ってゆく時にはじまり、 輝の宮で雨に打たれているシーン、 物語終盤で稚羽矢を探して各地を巡っている場面。 『白鳥異伝』であれば、小倶那が景武者修行をしてるところだとか、 遠子なら菅流と旅をしている時系列。 『薄紅天女』は阿高のシーンは割りと全部自然のような気がする……。 『西の善き魔女』はセラフィールドと南の隠れ家が秀逸。 あの雪まみれの高地とジャングルジャングル亜熱帯が 同じ作品に出てくるのが何とも……! 2巻目の学園ドタバタも大好きだけど(笑) 私は、物語のストーリー構成の面白さももちろん大事ではあるけれど、 登場人物が生きているその舞台世界の描写も秀逸な作品に より惹かれるんだろうな、と思う今日この頃です。 ...
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