白木蓮の咲く庭で...久純ゆきの

 

 

楽しい偶然 - 2008年01月13日(日)

「はじめまして。この度はイオンがお世話になりました」

事態を把握できていないでいる気配の目の前の男に向かって、
めいっぱいの笑顔を浮かべて見せるとゆっくり礼をした。
頭の高い位置でひとつに結い上げた髪が、
うなじに当たって首の両側を落ちてくる。
心の中でみっつ数えて頭を上げると、もういちど飛び切りの笑顔。
瞬く男の黒い瞳に、自分の姿が映っている。
彼の背後で兄のエアルが可笑しそうに笑いを堪えているのが目に入る。

「私、イオンの双子の妹のメリッサです。よろしく、エンノイアさん」
「……と言う訳です。イオンが化けて出たんじゃないから大丈夫ですよ」

かみ締め切れていない笑い声を間に挟みながら
取り成すように兄が男に声を掛ける。
あまり表情を浮かべないのが素らしいこの男だが、
兄の言葉にその仏頂面が少しだけ険しくなった気がする。
素知らぬ振りでメリッサはもう一度軽く頭を下げた。

「雰囲気が違うことくらい、見れば解る」

不機嫌そうに言い放った男の発言を聞いて、
内心でこっそり「合格点をあげよう」と思った。
似てる等と一言でも言ったら、減点。
そっくりだけど似てない、それがイオンと自分だから。
生きる場所が分かれても大好きな大好きな片割れ。
そのイオンの心を持ってっちゃった男には、先ずそれを解って欲しかった。

ご当人は冷たい石の床の上で半分死に掛けだが、
自分と兄が来たからには死なせるつもりなんて無い。
生きると、イオンが一度決めたのだから。
それなのにこんなところで意識を手放してしまって、
致命的な抜かりっぷりが非常に彼女らしくて笑えた。

メリッサは早速イオンの傍に屈みこんだ。
黒の服を纏った男の亡骸の上に身を伏せた、
すっかり血の気の失せた横顔。泣き腫らした目元と腫れた頬。
メリッサと同じ造作だけれど、今は酷く痛々しい。
天井のステンドグラスから青い月の光が差し込んで
ますます顔色を悪く見せていた。

「イオン……せっかく生きるつもりになったのに。
しっかり者の妹に似ない、このうっかりさんめ」

笑いながら乱れた前髪の合間から覗く額を人差し指で突付いた。
――振りをする。本当は触れられないから。
兄と男との視線を感じながら、
両手を床の上につけたメリッサは微かに目を伏せた。

「地の精霊王。今暫しこの場に、花を育てるぬくもりを……」

左の手の甲に埋まった黄色の宝珠に薄い輝きが灯る。
夜に冷たく冷え切った石づくりの床。
姉から残酷に体温を奪い尽くすこの冷たい場所に
自分の持つ力でほんの少しだけ介入する。
神様に怒られたって知ったことではない。

「遅くとも、夜が明ける頃には救い手たちが来てくれると思いますから」

兄がそう説明するのを耳にしながら、
メリッサは輝きを増し同時に熱くなってくる宝珠に意識を集中させた。

助けが来て、イオンの身柄がきちんと生きている人の手で
安静に出来る場所へと連れていって貰えるまで。
もう少しだけ、魂の安息場所へ戻るのはお預けだ。

短い言葉で会話を交わす男たちのささやきを背景に、
メリッサは大地の精霊王に捧げる祈りに意識を没頭させていった。


******


りはびりりはびり。

……もっとうまくなりたいです。

シーンばっさり切り取りショートのメインはメリィ嬢。
死に掛けイオン以外の皆様は、3人ともいわゆる霊体というアレです。

イオンにリクエストされたのでエンノイア様をお迎えに来たエアル。
ただ、死に掛けイオンも見過ごせないので
おまけアシスタントにメリッサもついてきました。
エアルには零下の室内で妹を凍死させない手段が無いのです。

しかし果たして霊体に魔法が使えるのか。
突っ込んではいけません。
出来なかったらパラレルということで!(無茶)


……ごめんなさい、GM様(笑)



古本やさんに本を売りに出かけて、
計算を待つ間にのんびりと書棚を回っていたら
G文庫のルナサガリプレイ全6冊を見かけました。

今はあんまり古本を買うのは好きじゃないのですが、
絶版になっているご本の場合は別です。
即、手に取りました(笑)
昔全部揃えた筈なんですが、今欠けまくりなんですよね。

売ってくれた人ありがとー♪
とホクホクしながら呼び出しを待ち、レジに行ってみると。

「本日は……」

と、恒例の台詞を聞いていて、何か微妙に違和感。
説明受けながら買い取り額紙面の方見てたので
何か引っかかったのは聴覚です。

(聞き覚えのある声のような……)

とふと顔を上げて顔を見ても、あんまりよく解んない。
続いて目に入ったのは名札。

「……Nくん?」
「……顔見た時、うわ最悪って思った……」

営業トークの隙間に思わず零れた相手の名前に、
昔と変わらない懐かしい暴言(笑)が返ってきました。
高校時代の部活の後輩君。

声で引っかかった辺りが私でしょうか。
顔だけでは絶対スルーしてたと思います。
(だって顔じゃ解んなかったもん)

私、あの子の声って割と好きだったのよねぇと思い出しました。
少なくとも、部活の後輩の男の子陣の中ではいちばん。
中身は無茶で強気でぶっきらぼうで生意気なモノが結構多かったけど、
過激なコト言いながら、根本的なところは良い子でした。
先輩から見て非常に微笑ましく可愛いかったなー。

とか言ってるのがバレたら、
「ばかやろう」と返ってくるの間違い無しです。
「ふん、言ってろ」でどっか行っちゃうとかかも(笑)

そして私の手元見てふっと洩らした言葉。

「人が売ったの何気に持ってるし」

……ルナサガリプレイは、以前は彼の所持品だったようです(爆笑)

すっごく楽しい偶然でした。

新年早々、面白い出来事。
このまま楽しい1年になればいいなと思います。


...



 

 

 

 

INDEX
past  will

Mail Home