朝、テレビで古尾谷雅人の自殺を知って、けっこうショックだった。
古尾谷雅人のファンというわけではない。
ファンではないけれど、1981年のヒット映画『スローなブギにしてくれ』を見て以来、浅野温子と並んで“自分人生のランドマーク”的役者だった。
浅野温子は、一時期のトレンディ女優を通過して、今ではすっかり、ええと、なんというか、熟女というのとも違う、ベテランというのとも違う、「あんまり年齢をうまく消化しているとは言い難いかもなぁ」「どうせなら、もっと積極的に、素敵に年を重ねてほしいなぁ」女性と化しているが、 古尾谷の方は、最近めっきり見なかった。
今、上記URLをよく見たら、スローなブギって片岡義男原作だったんだ、と思い出した。 当時、片岡義男は大人気だった。 わたしは軽薄すぎるとバカにしていたけれど、そんでも何冊か読んだ。
『スローなブギにしてくれ』のふたりの、まばゆいかっこよさ、瑞々しさ。 世俗のバカバカしさや喧騒を超越した、特権的な感じ。
映画が終わった時、この二人は、年を取らずこのまま死ぬべきなんだ、 とすら思わせた。
今死ねたらどんなにシアワセだろう? と思う瞬間があったとしても、 やっぱりまだ生きている、 やっぱりまだ生きているものなんだよ、
という事を、遠くから教えてくれているような、そういう役者だった。
何があるにしてもさ、一緒に年をとろうよ。
そう言いたかったな。
|