 |
 |
■■■
■■
■ 聖人認定
『奇蹟の詩』
この映画すごく良かったです。 見終わった後、しばらく放心状態でした。 本当に示唆的な内容だったので、ネタバレになりますが書かせて頂きますね。 映画を観たい人は、******より下は読まないでね。
http://www.artport.co.jp/library/in_video/third_miracle.html
奇蹟の詩 〜サード・ミラクル〜 THE THIRD MIRACLE
CAST :
エド・ハリス アン・ヘッシュ アーミン・ミューラー・スタール バルバラ・スコヴァ
監督:
アニエスカ・ホランド 「太陽と月に背いて」「ヨーロッパー・ヨーロッパ」「秘密の花園」
1999年製作
[STORY]
とある修道院にある聖母像。 涙を、血の涙を流す聖母像が「奇跡をもたらす力がある」と人々に崇められていた。 死ぬまで修道院で暮らし、多くの人々に慕われ尊敬されていた一人の女性、ヘレン夫人が死んだ時から聖母像が泣き始めたことで、像の涙は彼女の血だと言われていた。 末期の皮膚結核の少女が回復、瀕死の状態にあった青年の白血球の上昇・・・。
その彼女を“聖人”として認めるか否かの調査に送り出されたフランク(エド・ハリス)は、己の揺れる信仰心と葛藤しながらも、徐々に真実を突き止めていくのであった。 またヘレンの娘・ロクサンヌ(アン・ヘッシュ)も、フランクと出会ったことにより彼女の中で何かが変わり始めていたのだった。 聖人認定委員会が開かれ、いよいよ終止符が打たれようとしたその時・・・驚くべき事実が、衝撃の奇跡が明らかにされるのが・・・
******
フランクは神父なんだけど、あることがキッカケで神父の仕事から離れて、路上生活者が利用する給食配給所で食を取りながら、そこの人々に溶け込んだように生活をしてるんですね。 そこへ聖人認定の調査員の仕事を頼まれる。
元々そういう仕事をしていたようで、かつて聖人認定調査で、ある人の調査にあたり、皆が聖人と崇めた人が実は神の裁きを恐れ、精神を病んでしまい、自殺してしまったということを突き止めるんですね。 そのことを必死に隠そうとする教会側と、あくまでも真実を追究しようとするフランク。
フランクは、その人物を聖人と信じていた人々を裏切った神も奇蹟も信じない神父として、批難されます。 でも当のフランク自身も失望していました。 果たして本当の聖人はいるのか? 奇蹟は本当に存在するのか? 主よ、教えて下さいと…
そうして何ヶ月も神父の仕事にはつかず、貧しい人々の中で、時々わずかなお金を人々に施しながら、共に過ごす。 貧困ゆえに犯罪を犯す人、人生に失望しアルコールやドラッグに溺れる人、飢餓と病気と暴力に溢れた世界。 今を生きていくことに必死な人々…でも、その目は死んでいる。 でも、フランクがお金を施すと、その紙幣と空に向かいキスをする人がいた。 『何をしているんだ?』と尋ねると、『神に感謝してるのさ』と答える。
たぶんフランクの中で 『主よ、あなたは本当に存在するんですか? 奇蹟はどこにあるのです? 人々は、こんな生活でも、あなたを信じています』 と、失いかける神への信仰心を模索していた。
そこへ舞い込んだ聖人調査依頼。 かつて共に神学を学んだ親友は出世し、司教の腹心と言われていた。 象徴的だったのは、その司教たちがエステで美容パックをし、プールで汗を流し、協議?の席ではワインが振る舞われ、綺麗な衣を身にまとい、ぶくぶく肥えていたこと。 それに引きかえ、フランクは悩み、やつれた感じ。
フランクは調査に際して助手がほしいと、自ら選んだ人を推薦して許可をもらいます。 かつての親友は言います。 『なぜ俺を選ばなかった! 俺は司教の腹心としてではなく、おまえの友人として力になったはずだ!』
フランクは言います。 『君はもう、主を模索してない。 心から、主を求めているやつに協力してほしかったんだ』
『俺はもう、主を感じる。 主が傍にいるのだ。 だからもう、主を模索する必要はない』
フランクは、その場を離れ、調査の旅に出ます。 奇蹟を起こすと人々から崇められている故ヘレン夫人。 その彼女がいた修道院に足を運び、人々が祈っているのは神にではなく、彼女にでした。
ヘレンは路上生活者から生まれた子。 その彼女は16歳の娘を置いて修道院に入り、給食配給所で貧しい人々のために尽くし生涯を終えます。 人々はそんな彼女を慕い、亡くなった今でも彼女のいた修道院に集まり、祈りを捧げる。
彼女の墓には、今でも多くの人が訪れ、花束などを備えていく。 娘のロクサンヌは、それを片付けながら 『母が聖人だったかどうかなんて、私にはわからないし関係ないわ。 こうやって片付ける方の身にもなってもらいたいわ』
ロクサンヌは、16歳で自分を捨てた母親を理解できなかった。 確かに、人々に尽くし善行を積んだ偉大な母ではあったけど、自分のことを捨てた母の気持ちは、どうしても理解できなかった。
この後、フランクとロクサンヌの絡みが何ともいえず、人間的。 主を模索するフランク。 母親を模索するロクサンヌ。
調査を終えて、聖人認定のための委員会が開かれ協議されるんです が、調査員のフランクと判定員?の枢機卿とのやり取りが、これまた緊迫したもので息を呑みます。 聖人認定には2つ以上の奇蹟と、生前の善行が判断の材料になりま す。 そこで問題になるのは奇蹟の確かな証拠と、善行が聖人と呼ぶに相応しいものであるかどうか。
彼女は路上生活者出身で、善行といっても給食配給所で仕事をしていただけ。 判定員の枢機卿は 『給食配給所などを作り、そこでの仕事を善行として聖人認定するなど、もってのほかだ! その程度のことで善行などと、そんな勘違いしたやつが増えるから、神への信仰心を失う人々が増えるのだ! 売春、ドラッグ、そんなやつらが増えるだけではないか! 世の中は良くなるどころか、ますます悪くなるではないか! そんなことで人々は救えないし、奇蹟など起こしえない、まやかしだ!』 そして言います。 『そのヘレンとかいう女性は結婚して娘もいたようだな。 その娘は、母親に捨てられたと言っているそうじゃないか。 そんな汚れた人物が聖人と言えるのか!』 (この辺のセリフはうろ覚えなので、間違ってたらすいません)
この後、フランクの攻防が続くんですが、最後の言葉が突き刺さりました! 『彼女は庶民が選んだ聖人なんです! 奇蹟の証拠がなくて証明できなくても、現に彼女に癒され救われた人はたくさんいる。 我々が、ここで何を言おうとも、聖人認定がされないとしても、庶民が彼女を聖人と認めたんです!』
この後も審議は続き… 果たしてヘレンは聖人認定されたのか? フランクは真実に辿り着けたのか? そして、娘ロクサンヌの運命は?
興味のある方は、レンタルして見て下さいね。
2006年02月01日(水)
|
|
 |