久々にピアノを弾いた。 3歳から初めて、大学受験の前まで続けた。 しかし生活が変わって随分弾かなくなっていた。 幼なじみに再会するような気分で蓋を開ける。 ショパンの「幻想即興曲」にリストの「エステ荘の噴水」、 気に入っていたレパートリーは無数にあったのに、 たった一曲しかまともに覚えていなかった。 そのドビュッシーの「アラベスク第一番」は、 12歳の時に練習して以後○年の月日が経つ。 楽器のレパートリーとは不思議なもので、 最初に練習した当時の気分が甦ることがある。 それは記憶のように具体的なものではなく、 ただ12歳だった頃の空気が甦ってくる。 嫌で嫌で仕方なかった練習なはずなのに、 自分の記憶の中にある旋律を 絶対音感で読みとりながら、 無我夢中で復元させていく。 (指が動かないのが歯がゆい!) あー、懐かしかった。 |