蜜白玉のひとりごと
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| 2004年01月15日(木) |
巨大な謎/『フェルマーの最終定理』 |
【フェルマーの最終定理】
Xn+Yn=Zn (Xのn乗プラスYのn乗イコールZのn乗)
nを3以上の整数とするとき、Xn+Yn=Znを満たす整数解X、Y、Zは存在しない。
これがフェルマーの最終定理とよばれるものだ。この式の意味する内容を理解することはわりと簡単で、たとえばn=2の場合、X=3、Y=4、Z=5は1つの解となる。これは「直角三角形の斜辺の二乗は、他の二辺の二乗の和に等しい」というあの、ピュタゴラスの定理である。そういえば、遠い昔、なんとなく習ったような習わなかったような・・・。
ところが、n≧3になると、とたんにこの式を満たす解は存在しなくなる(らしい)。そして言い出しっぺのフェルマーは「私はこの命題の証明を持っているけれど、余白が狭すぎるのでここには書けない」とぬかしている。これが17世紀のこと。以来、約350年に渡って、プロ、アマチュア問わず多くの数学者がこの最大の謎に挑んできた。
弁護士で数学好きのピエール・ド・ファルマーは、ディオファントスの記した『算術』という何巻にも渡る数学の本を教科書代わりにして、数学を勉強していた。彼は教科書の余白に計算式やら思いついたことやら、あれこれと書き込みをする。フェルマーの死後、息子のクレマン・サミュエルは、父の書き込みの価値を知っていたので、それを整理して『P・ド・フェルマーによる所見を含むディオファントスの算術』として1670年に出版する。【フェルマーの最終定理】が広く世の中に知られたのはこのときである。
私は思う。たしかに証明を書き記すには余白は狭かったかもしれないけれど、何かほんの少しでもヒントをくれたらよかったのに。いや、もしかしたら、フェルマーははったりをかましただけで、実は証明はできなかったのではないのか。そもそも【フェルマーの最終定理】は成り立たないのでは?などと、うがった見方もしたくなる。
それからというもの、世界中の数学者がこの難問に病みつきになり、何人もの優秀な研究者が、その研究者としての人生を棒に振ったのであるが、ついに1993年6月23日、アンドリュー・ワイルズが証明に成功した。と思ったのもつかの間、ワイルズの証明に欠陥が見つかる。ワイルズはなんとかして修正を加えようと試みるが、なかなかうまくいかない。粘って粘って1年半、1994年10月25日、今度は正真正銘、ワイルズが【フェルマーの最終定理】を証明した。
証明を完成させたのはワイルズだけれど、そこに至るまでには、多くの数学者の功績があってこそだ。“谷山=志村予想” “岩澤理論” “コリヴァギン=フラッハ法”・・・などなど。発見した数学者の名前が付いている。日本人が何人も関わっていた。全然知らなかった。
数学がわからなくても楽しく読める。ワイルズが証明を完成させるまでの軌跡を辿るのはわくわくする。そして、証明が完成して【フェルマーの最終定理】が謎でなくなった途端、何とも言えない空虚感が押し寄せてくるのだ。
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