Deckard's Movie Diary
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2007年12月19日(水)  椿三十郎

観てきました。オイラはオリジナルが好きな輩です。まず、主演の織田裕二ですが、これはまぁ、最初から分かっていたことですから、責める気はありません。三船も決して上手い役者ではありませんが、どんな役をやってもその存在感は卓越していました。つまり、元々持っている彼の個性が秀でていた為に、何を演じさせても三船以外の何者でもなく、下手な演技なんぞ足元にも及ばない魅力を放っていたわけです。織田裕二は元々下手糞な上に、今回はモノマネ以外の何モノでもなく、ある意味、器用貧乏な日本人丸出しです。まぁ、分かっていたことですから、特に指摘することはありませんが・・・。

問題は室戸半兵衛を演じた豊川悦史です!友人が言っていたのですが、とにかく最初の登場シーンでずっこけた!と。確かに、最初の登場シーンでのトヨエツはあまりに軽いです。その後はなんとか持ち直すので、一番大事な登場シーンでの演出はもうちょっと考えて欲しかったです。トヨエツの甲高い声がこそばゆいというか、あまりに軽くて「なんじゃこりゃ!」となってしまいました。っつーか、だいたい椿三十郎を演じる織田より年齢が上ってのが問題でしょ!もちろん、実年齢なんかよりどう見えるか?なんですが、やはりトヨエツは織田より枯れて見えます。これでは、椿に騙される室戸がアホにしか見えません。抜身のギラギラ感は室戸が醸し出さないとダメでしょ!最後の決闘シーンで椿は室戸に若い頃の自分を重ねているワケですから、その室戸が明らかに椿より年上に見えてしまっては話が成立しません。

本作は脚本が良いですから間違いなく面白く、最近の時代劇としては良く出来ていますが、オリジナルの完成度には及びません。しかし、ちょいと見方を変えれば、下手糞な演技だろうと脚本さえ良ければ観るに十分値すると言うことです。というワケで、映画を作る人々はもう少し脚本を練って欲しいですね。

ラストの立ち回りですが・・・別のコトをやりたいのなら、オリジナルを越える意気込みで作って欲しかったです。何故にこういう立ち回りになったのか?その伏線を張っていればもっと際立ったのではないでしょうか。オリジナル脚本にあった、流れ出る血が作る模様とかの表現も観たかったですね。

さて、今回のリメイクですが・・・良かった点はカラーだったのでツバキの色が良く分かったというところでしょうか。後は大島ミチルのスコアと佐々木蔵之介かな。また一番の心配事は今回のリメイクに味を占めた邦画界が傑作旧作から脚本だけを拝借してリメイクばかりするようになることです。まぁ、そこまでバカじゃないと思いますが・・・。


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