Deckard's Movie Diary
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| 2006年08月09日(水) |
ゆれる ブライアン・ジョーンズ/ストーンズから消えた男 ディセント |
デビュー作『蛇イチゴ』で、新人離れした卒の無さを見せた西川美和監督の2作目『ゆれる』。これは驚きました。紛れも無い力作であり、傑作です。実に良く出来た脚本で恐ろしいくらいです。確かに終盤でのストーリーに納得出来ない人々も多いでしょうけど、オイラはOK!でした。それはウチが3人男の兄弟(オイラは真ん中)で仲が悪いからかもしれません(苦笑)。男兄弟にとって、その家を守るのは、継ぐのは長男だというのは暗黙の了解事項です。弟は、実家を兄貴に任せて自分はいずれ家を出て行くコトは漠然と感じています。日本において、長男という存在は父からも弟からも頼りにされている特別な人物です。自分の好き嫌いよりも父親の期待に応える事が最優先であり、弟はそんな兄貴を見ながら、窮屈な人生だなぁ・・・と思いながらも嫉妬のような感情も持ち合わせています。長男の人生は親の言う通りのツマラナイ物かも知れないが、ある程度成功が保障されている将来だったりします。逆に、弟の人生は面白いかも知れないが、全く先の分からない将来だったりします。そういう複雑な心情から、弟は兄貴に頼りたいと思いながら、心の片隅には兄貴より自分の方が能力は上!だと考える部分があったりもします。素直な性格の弟なら地元に残ってそのまま兄貴を支えるような生き方をするのでしょうけど、多少なりとも兄貴よりオイラのが・・・と、考えたことがあるのなら自分の好きな人生に賭けることになるでしょう。それが、オダギリ・ジョーです!彼は幸いにして母親から受け継いだ才能が開花し、東京で成功します。真面目なだけが取り柄の兄貴が起こした事故・・・やっぱり成功している俺が助けないと・・・あのまま、地元で兄貴を支えるコトも出来た・・・でも、家を離れた後ろめたさも有り・・・でも、どこかで自分の方が上と、見下しているところもあり・・・その確認行動が人の気持ちを大きく左右して・・・天は人の上にも下にも人を作るし、世の中なんて生まれながらにして不公平だらけだし、価値観なんて収入や生き方によって変わってしまう・・・兄はプライドから弟の偽善的な部分を思いっきり指摘!そして、糸が切れてしまった・・・弟。弟は後ろめたさは一杯だったんでしょう。さすがに兄弟ですからね。そしてバス停でのラストシーン・・・兄は弟を、弟は兄を、兄弟だけが理解しあえる微妙な空気でした。それは赦すとか赦さないとかじゃなくて、お互いの心情を理解しあった瞬間でした。血の繋がりって、本当に厄介なんだよなぁ・・・・・・・・( ̄。 ̄ )ボソ…
二作目で堂々としたこの作品をモノにした西川監督には驚きを隠せません。素晴らしい才能の開花と言っても過言ではないでしょう。っつーか、末恐ろしい!正直言って、会いたくない女性ですね(苦笑)
『ブライアン・ジョーンズ/ストーンズから消えた男』。私の記憶が確かならば(かなり怪しい・・・)オイラが中学生の頃『素晴らしい世界旅行』という番組(おそらく読売テレビ?)が日曜日の9時からオンエアされていたと思うのですが、ある日の日曜日にその映像がいきなりブラウン管から流れてきたのです。正確なタイトルは忘れましたが、ハイドパークで行われたストーンズによるブライアン・ジョーンズ追悼コンサートでした。ミックのマッシュルームカットと白い提燈ソデのブラウスが印象的でした。月曜日に学校へ行くと「見た?」「見た?」と、ロック好きな連中で盛り上がっていたのを昨日の事のように憶えています。なんてたって、あの頃はミュージシャンの動く画なんてほとんど無かった時代でしたから、貴重だったんです。
さて、本編は謎の死を遂げたブライアン・ジョーンズに迫ります。って、迫ってないじゃん!映画はゴシップ的な覗き見感覚での描き方で、かなり不快な印象が残りました。これではブライアン・ジョーンズは単なる薬中野郎でしかありません。彼はストーンズを創った人物ですし、初期のストーンズの方向性を決め、引っ張っていた原動力でした。しかし、ジャガー&リチャードが徐々に類稀なる作詞作曲の才能を発揮しだすと、彼はだんだんと孤立していきます。何故なら、彼には・・・哀しいかなその手の才能に恵まれていなかったからです。結局、彼はストーンズのお父さん的役割であって、子供達が大きくなるにつれて居場所を失ってしまったワケです。しかし!彼の才能は本当にそれで終わってしまってたのか?その辺りのコトにもっと突っ込んで欲しかったのですが・・・彼の仕事は「オレたちはビートルズになる気は無い!」の、たった一言だけってのは無いでしょう?そりゃ、あまりに片手落ちだし、もし本当にそうだったんだとしたら、もっと辛らつに描いて欲しいし・・・どちらにしても、中途半端な覗き見主義的な作品でした。主演のブライアンを初め、ストーンズのメンバーを演じた役者陣は良く似ていました(苦笑)
ブロンドの髪の隙間から見える、君のふてぶてしい瞳は何を見ていたんだ・・・。
『ディセント』。ハッキリ言ってクソ映画です。なぁ〜にが、『ダニー・ボイル、ガイ・リッチーを超えた才能!』だよ!こんな映画をまともに作っている人間が居ることが笑っちゃいます。小生の友人の中にはこの映画の評価が高い人間が居るんですが、オイラに言わせれば『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の方が傑作に思えるくらいです。っつーかねぇ、こういう映画、マジで嫌いなんですなんですよ!要は、何でもありで、後ろから「わ!」っと驚かすだけ!つまらん!
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