Deckard's Movie Diary
index|past|will
| 2005年11月12日(土) |
ALWAYS/三丁目の夕日 |
簡単に言ってしまえば・・・それなりに美味しい料理を食べている隣で、「美味しい?美味しいでしょ!ね、美味しいでしょ!」と何度も聞かれているような映画です。そんな状況だったら、味も落ちるってモンでしょ(笑)。冒頭から流れてくる音楽を始めとして、前面に「さぁ、皆さん!ノスタルジーにド〜ンと浸ってくださ〜い!」と、臆面も無く誘ってきます(笑)。舞台は東京タワーが出来た昭和33年の東京。今から47年前の東京が見事に再現されています。「あ、見たことあるそ・・・ああ、上野駅か!なるほどねぇ!」みたいな映像が溢れ出てきます。良くぞ再現した!と、間違いなく褒めたくなる出来です(オイラって何様(苦笑))。西岸良平の原作自体がベタですから、映画も当然の如くベタな展開で進みます。個人的にはノスタルジックな味付けが濃すぎてゲップが出なくも無いですが、それでも、子供時分に被っている時代ですから、懐かしい気分に浸れますし、決して悪い嫌いな作品ではないです。
ただねぇ・・・映像はデコレーション過多なのですが、どこか物足りない印象が残ります。監督の山崎貴は本当に優秀で勉強熱心な方なんでしょう。撮影前に、とことん煮詰められたと思われる脚本に沿って、細かく積み上げられたエピソードが全て上手く収まって行くのですが、ただただ収まって行くだけなんです。そこには、生きている人間、血が通っている人間の存在感があまり感じられません。
例えば、淳之介のアイデアを盗作したのが発覚したシーン。単純に喜んでいる淳之介を見て竜之介が、それをどう感じたか?例えば、竜之介が淳之介を叩くシーン。殴られた淳之介が、それをどう感じたか?どういうワケか、ほとんど描かれていません。そういった二人の心の機微がないがしろなので、竜之介が部屋で暴れるシーンもピンと来ませんし、その後の展開にも、いまいち入れませんでした。相対している相手が自分を見て涙を流し感動していたら・・・、自分の頬を平手打ちする相手が居たら・・・誰だって感情が動かされるはずです。老若男女を問わず、人は人と濃く触れ合えば触れ合うほど、お互いに何らかの影響を受けるワケです!片側だけの感情を描いているだけでは片手落ちです。その辺りの描写に深みが感じられません。だから、全てが絵空事に見えてしまいます。『ALWAYS/三丁目の夕日』は結局のところ、昭和33年を舞台にした絵本を見ているような映画と言えなくも無いです。
どんなに素晴らしい脚本でも、演出ひとつで傑作にも愚作にもなります。もちろん!この映画は決して愚作ではありません。観終わった後に拍手も出ていたくらいですからね(品川プリンス・シネマにてレイトショー鑑賞)。監督の山崎貴ですが、この人って、人に興味があるんですかね?その辺りを克服しない限り、いつまで経っても「技術屋出身の監督だからなぁ・・・」という、レッテルから逃れられないんじゃないでしょうか・・・。ただ、前作『リターナー』よりも成長していたので、次回作が楽しみになったも確かです。
全編にわたって東京タワーは背景として垣間見えるだけなんですが、もうちょっとフューチャーされていても良かったかも・・・・・・・・( ̄。 ̄ )ボソ…。集団就職で鈴木オートにやって来た星野六子役の堀北真希の赤い頬っぺたは良かったですねぇ(笑)
|