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2006年03月07日(火) おめでとう、Mr.ホフマン

基本的に映画は「いつも好き」なのですが、
年々縁が遠くなっていく気がします。
最近ビデオショップで「自分用」に借りるのが
お笑い系ばっかりなのは、
今、特にそういう好みだから仕方ないのですが、
そういうことを割り引いても、いい関係を築けていません。

とはいえ、やっぱり無視して通れないのは、
毎年恒例の米国アカデミー賞の話題です。

というか、今回はなぜか、誰がノミネートされたかにすら
大した注意を払っていなかったのですが、
今朝のニュースで主演男優賞受賞者の名前を聞き、
俄然、お、これはちょっと書いておきたいと
思い立ちました。

昨年はレイ・チャールズの伝記映画「Ray」の主演
ジェイミー・フォックスが受賞した部門ですが、
今年もまた、著名人の伝記映画主演者が受賞しました。

「カポーティ」
主演フィリップ・シーモア・ホフマン


うぉ〜。何と目に浮かぶキャスティングなんでしょう。
いいところに目をつけたもんだと思いました。

P.S.ホフマンは、もともと好きな役者です。
ポール・トーマス・アンダーソン監督のお気に入りらしく、
彼の作品に、かなり初期から出ています。
「マグノリア」で、金持ち老人の看護人を
不安になるほどヘラヘラと演じていました。
また、「あの頃ペニー・レインと」
(キャメロン・クロウ監督)のロン毛音楽ライターとか、
出番が多くても少なくても確実に印象に残る、
しかし、びっくりするほど「平凡な小でぶさん」です。
とにかく達者な人なので、
なりきりキャラなんか、いかにも上手そうですし、
実際、それこそオスカー級の演技だったのでしょう。

そして、「カポーティ」の題材になった
トルーマン・カポーティといえば、
ノンフィクション小説「冷血」や、
映画化された「ティファニーで朝食を」で知られる作家ですが、
有名人好きだったことでもよく知られています。

パーティーでマリリン・モンローと踊る彼、という写真を
見たことがあります。
眼鏡の小太りの男が、浮かぬ顔つきの金髪美女の手をとり、
盛り上がってないなぁ〜とよくわかるダンスをしていました。
ホフマン=カポーティと聞いて、
一番初めに頭に浮かんだのは、あの図でした。

授賞式での、
恥ずかしさと誇らしさが入り交じったような
笑顔とスピーチも印象的でした。
決してイケメンとはいえないし、
本当に実力勝負のタイプにありがちな、
「派手さはないけれど、支持者は確実にいる」
もともとそういう役者さんだったし、
幾らアカデミー賞を獲ったといっても、
秋公開予定らしい「カポーティ」がヒットするかも
かなり微妙な感じだし、
いきなり人気者って展開はなさそうです。
去年のM−1で
ブラックマヨネーズが優勝したときみたいな
気持ちになりました。
(もっとも、彼らは最近すごい勢いで露出度が上がっていますが)

さて、じゃ、
P.S.ホフマン作品を見てみようかしら、
という気持ちになった方には、
トッド・ソロンズの「ハピネス」をお勧めします。
平凡なサラリーマンの役なんですが、
設定がもう……ドン引きものです。
くせ者役者と呼ばれる人は多くいますが、
大抵、ルックスからしてアクが強いもの。
ごくごく普通の「さえない」ルックスで、
人をドン引きさせる才能を持っているのは、
この人くらいのものではないでしょうか。


ユリノキマリ |MAILHomePage