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2003年08月25日(月) エレベーター

エレベーター
Asansor/The Elevator


1999年トルコ ビデオ&DVD あり(ファインアーツエンタテインメント)
監督・脚本 ムスタファ・アルトゥノクラル


「他媒体でボロクソに言われそうな映画救済企画」
第○弾として御紹介いたします。
(○に入る数字は、何だか自分でもわからなくなりました)


トルコが舞台の映画というと、
有名どころでは『ミッドナイト・エクスプレス』などありますが、
もろにトルコ資本による製作で、
ある現代トルコ人の生活が覗ける映画、というだけでも
結構貴重な1本ではないかと思います。
……とでも思っていないと、怒り出す人が出そうなほど
映画としての破綻がそこここに見られる作品ではありますが、
私はこのバカさが嫌いではありません。

トルコが誇る?高視聴率番組「衝撃の事実」で
過激な発言で人気のキャスター
ジャン・シャルダン(ムスタファ・ウーウルル)は、
ある日、インターネットで知り合った女性の住むアパートに、
スケベ心満々で会いにいきます。
そのアパートのエレベーターはクラシックなスタイルのもので、
ジャンは携帯で部下と話しながら、何も考えずにそれに乗り込みますが、
途中で故障してしまうのでした。

悪くしたことに、さっきまで使っていた携帯も「圏外」に。
大きな声で助けを呼ぶ彼の前に、
色っぽい金髪の美女(アルズ・ヤナルダー)があらわれます。
ジャンは彼女に、アパートの管理人を呼ぶように頼みますが、
このビルは取り壊し寸前で、管理人はなく、
今住んでいるのは彼女とその飼い犬だけだと言います。
ならば、エレベーターの修理を呼んでくれと頼みますが、
まるでジャンをからかうかりような態度で、
修理も呼ばず、彼を助けようという様子も見せません。
彼女はさんざんジャンを辱め、苦痛を与える一方、
手作りの食事を差し入れたり、
おもしろい話をしろと彼にせがんだり、
意味ありげな態度で、彼のスケベ心をくすぐるのでした。

さてさて、一体、彼女の正体は?
そして、彼女がジャンを監禁状態に置く目的とは?

話の流れはなかなかおもしろいものですが、
種明かしの仕方があまりうまくないので、
途中で興をそがれる可能性も高いと思います。
が、冒頭で述べたように、
「へぇ、トルコって、こういう映画をつくるんだ〜」という
そんな観点で見ると、結構温かく見守れると思います。
謎の女性を演じるアルズ・ヤナルダーの、
シャーリーズ・セロン廉価版という趣のルックスもいいし、
パニクって恥ずかしい独り言を言いまくる
ムスタファ・ウーウルルの様子を、
「悪い覗き趣味」と割り切って、劣情に身を任せるように覗き見ると、
結構楽しいと思いますよ。

そういえば、冒頭にもそんな感じの一文が出るのですが、
どうやら、ルイ・マルの傑作サスペンス
『死刑台のエレベーター』へのオマージュもこめられた作品のようです。
御冗談を!と、一笑に付したくなるような出来で、残念でした。



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