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2003年07月16日(水) ジョンQ −最後の決断−

1997年7月16日、
「臓器の移植に関する法律」(臓器移植法)
公布されました。
これは↑日本のお話ですが、
本日は臓器移植にまつわるアメリカ映画を。

ジョンQ −最後の決断−
JohnQ

2002年アメリカ ニック・カサヴェテス監督

不安定な労働条件で工場で働く
ジョン・アーチボルト(デンゼル・ワシントン)と
その妻デニス(キンバリー・エリス)は、
時にはお金のことで軽い言い合いをすることはあるものの、
元気で素直な息子マイク(ダニエル・E・スミス)と3人、
仲良く暮らしていました。

ある日、野球チームに所属するマイクの試合を
夫妻で見にいくと、
マイクは突然、プレイ中に倒れてしまいます。
病院に担ぎ込まれ、検査をすると、
マイクの心臓には、重大な疾患があることがわかりました。
今までの健康診断でわからなかったのは、
ジョンの加入していた医療保険の
制度的欠陥のせいでしたが、
心臓移植をしなければ助かる道はないといいます。

とはいえ、臓器移植には莫大な費用が必要です。
が、ジョンの欠陥保険は、
当然のように「んなもん」には適用されません。
人ごとだと思って、投薬で苦痛を和らげて
徐々に「見殺し」にすることを勧める
ターナー医師(ジェームズ・ウッズ)と
涼しげな顔がちょっと冷酷ささえ感じさせる
病院の理事長レベッカ(アン・ヘッシュ)……

また、臓器移植の困難な点は、
費用の問題だけではありません。
マイクと適合する臓器を持った患者、つまりドナーが
「脳死状態」になるのを「待つ」しかありません。
その待機者リストに名前を載せる費用がまた大金で、
ジョンの財力では、これとて賄えるかどうか……
何とかお金をかき集めても、どうにもなりません。
そうこうしているうちにも、マイクの病状は悪化し、
一刻を争う状況に追い込まれます。
「あなたはいつも、「何とかなる」って言うけど、
なら何とかしてよ!」

弱っていくマイクを見るに絶えず、
電話でジョンに当たってしまうデニスに、
ジョンは、
「わかった、何とかしよう」とある“決断”を……

実際には、もうあちこちでストーリーが
詳らかにされていますし、
ここから先が物語の核心です。
が、奥歯に物が挟まったような言い方で恐縮ですが、
この場はあえて、ここで切っちゃいます。

アメリカの医療保険の問題点、
医師の職業倫理、マスコミの使い方、
どこにでもありそうな仲良し家族の幸と不幸、
とにかく、いろいろな要素が含まれていて、
飽きさせません。
難をいえば、マイクを救おうとするジョンの行為が
ややゴネ得に見えてしまうことと、
伏線の張り方が慎ましくないってことでしょうか。

ジョンの“決断”後、
ストーリーに絡んでくる人物としては、
レイ・リオッタロバート・デュバル
役どころや絡み方が見物です。
あの、いかにもお話かき回しそうな顔のオッサンと、
何をやってもそれなりに見えてしまうジィ様が、
この映画では、
しっかりコメディパートを担当していました。

なお、ジョンQのQとは、
主人公ジョンのミドルネームQuincyの頭文字ですが、
それ以上に何か含むところがあるのかは、
映画を見る限りではわかりませんでした。
御存じの方、御一報いただけませんか?

(2005年8月24日補筆)
アメリカの公的文書記載例の名前欄に使われる名前として、
ジョン・Q.パブリックという言い回しがあるらしいですね。
辞書で引く限り、これこそQが何の略かはわからなかったのですが、
まあ、そういうことなんでしょう。



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