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2003年02月05日(水) ロジャー&ミー

東京・恵比寿ガーデンシネマで上映中の
『ボウリング・フォー・コロンバイン』
大入りだそうですね。
ジャーナリストで映画監督でもあるマイケル・ムーアが、
多数の犠牲者を出してきたアメリカ銃社会の核心に入り込む
ドキュメンタリーとのことですが、
この人の持ち味ともいえるオトボケぶりは、
本日御紹介するやはりドキュメンタリー映画製作時から
健在でありました。


ロジャー&ミー Roger & Me
1989年アメリカ マイケル・ムーア監督


世の中には、アメリカ映画はアメリカ映画というだけで
問答無用で×という価値観をお持ちの方も結構いらっしゃるようです。
というか、そういう方々の言う「アメリカ映画」は、
すなわちハリウッド映画という意味なのでしょう。
何を見るかは本当に各人の自由ではありますが、
見る映画が絞られてしまうので、
いっそ気持ちよかろうという気持ち半分、
不自由だろうなあという心配半分です。
私自身は、特に好きな映画を聞かれれば、頭に浮かぶのは、
滋味豊かな欧州やアジア諸国の作品も多いけれど、
一番好きな作品は、ある非ハリウッド系アメリカ映画です。
でも、ハリウッド娯楽ものの一本調子な明るさも決して嫌いではありません。


まあ、本日の映画はドキュメンタリーですし、
見るからにアメリカ人って感じの
でぶっちょのおっさんが撮った作品ですが、
アメリカ映画はあかんと思っている方にこそ
お勧めしたい作品です。
アメリカ映画も好きになれない方が
アメリカそのものを好きになれるわけがないと思うので(暴言)

アメリカ映画嫌い=アメリカ嫌いだと思いますが、
なぜ自分はアメリカという国が嫌いなのかについて
考えてしまうかもしれません。

舞台はミシガン州フリント。ムーア監督の故郷であり、
GMこそゼネラル・モータースの企業城下町でもあったところです。
不況のあおりで、大幅な人員削減のため、
多数の失業者を出したこの町に帰ったムーアは、
その惨状を知ってもらいたいと、
GMの会長ロジャー・スミスへの突撃取材を試みますが……

学生時代、どんな先生が人気でしたか?
科目一辺倒でなく、話が脱線する先生というのは
結構人気があったのではないでしょうか。
しかし、だんだん長ずるにつれ、それだけでなく、
きっちりと歩留りのいい教え方をしてくれる先生に
人気は集中します。
(私は塾や予備校というものに行ったことがないのですが、
これはそうした学校だとなおさらでしょう)

そういう人たちが人気があったのは、
「おもしろくてためになる」という単純な話ではなくて、
きっちりと対象物を見つめる目を持っているからこそ、
脱線はしても、すぐに軌道修正もでき、
決して「訴えたいこと」を見失わないからではないでしょうか。
この映画は、そんな感じでした。
随所随所に、何とも言えないユーモアが漂っています。

ムーア監督のことを、先ほど「でぶっちょのおっさん」という
非常に失礼な形容をいたしましたが、
そのルックスもまた、重要な要素という気がします。
見るからにキレ者というよりは、
最初はその威圧感のないルックスで油断?をさせ、
口を開けばびっくりの鋭利さ。
「狙って出来る芸当ではない」と言いたいような
人間味あふれるドキュメンタリーを、ぜひごらんくださいませ。

ちなみに、ムーア監督は、純粋に「役者」としては、
ジョン・トラヴォルタ、リサ・クドロー主演のコメディー
『ラッキー・ナンバー』に、ちょっとかわいそうな役で
出演しています。こちらも余力があればェックを。


ユリノキマリ |MAILHomePage