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2002年01月21日(月) シーズン・チケット

見たばかりのビデオがなかなか拾い物だったので、今日はこれを。

シーズン・チケット Purely Belter
2000年イギリス マーク・ハーマン監督


『リトル・ヴォイス』『ブラス!』など、
イギリス下層階級の悲喜こもごもを描いては好評の
マーク・ハーマン監督作品ですが、
音楽がもう1つの主役だった前2作に比べると、
この映画での音楽は、あくまでBGMの域を出なかったものの、
「サントラ探してみようかな」くらいの興味は湧くものでした。
中でも、ジョン・レノン&ヨーコ・オノの『HAPPY CHRISTMAS』の
使い方など、なかなか皮肉でよかったと思います。

ジョナサン・タロックの原作に材をとったとのことですが、
小さくて細いジェリー(気が強い)と、
太っちょで大きなスーエル(人が好いけどトロい)の組み合わせも、
2人がサッカーのシーズンチケット(500ポンド)をゲットするために
あの手この手で資金稼ぎに頑張る姿も(非合法な行いアリ)、
どこか、少年版『フル・モンティ』という風情があります。
でも、もっともっとシビアではありますが。

ジェリーは荒れた家庭環境の中でグレぎみではあるものの、
小さな姪の面倒もよく見て、なかなかいい子なのですが、
いつもつまはじきにされる学校というものに不信感を抱いていて、
まずまじめに登校しようとしません。
そんなとき、ソーシャル・ワーカーから、学校に一定期間通ったら
サッカーのタダ券をやると言われ、とりあえず通ったりもしてみます…

1つ達成しかけてはつまずき…の繰り返しですが、
イギリスらしい毒とユーモアと、露骨でない温かみがよく混ざり合い、
最後まで飽きさせない話です。
また、私はサッカーのことをよく知らないのですが、
96年からニューカッスル・ユナイテッドで活躍中のアラン・シアラーも、
自分自身の役で、少しだけ顔を出しています。
2人にとってはアイドルなのですが、その扱いが、
アメリカ映画でよく見るhimself出演とはまた違うのも笑えます。

イギリス映画ファンはもちろん、そうでない方にもお勧めします。
(サッカーファンというには、邦題やビデオジャケットから受けるだろう
印象ほどはお勧めできませんが、いい映画ではあると思います)
私自身は、今まで見たマーク・ハーマン作品の中で、
最も好みでした。


ユリノキマリ |MAILHomePage