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2001年12月14日(金) ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ Wag the Dog

今日の出来事の中で、こんなのがありました。

「1973年
女子高生の冗談がもとで豊川信用金庫が20億円の取り付け騒ぎに」

この話は結構有名らしいですね。
ある女子高生が、愛知県の豊川信金に就職が決まった友達を、
「あの信金、危ないらしいよ」※とか何とか言ってからかったのを機に、
うわさが広まって、次々とさまざまの人の口に上せているうちに、
あたかも本当のことであるかのように人々が危機感を覚え、
大挙して預金を引き出そうとした……とか。
こういうのを、風説の流布とでもいうのでしょうか。
与えられた情報を何の疑いもなく頭からかじると、
恐ろしいことがあるものです。
※ウィキペディアを参考にすると、
「信用金庫なんて、銀行強盗とかの心配があって危ない
というニュアンスだったらしい…とのことで、
特定の信金を指して「経営が危ない」と言ったわけではないようですが、
これも、「ウィキペディアのみをソースにした」場合の見解です。
情報に誤りがあったため、大勢の学生が全く同じミスをしたという理由で
外国のどこぞの大学で、レポートを書く際の
ウィキペディア使用禁止令が出たというニュースを読みましたが、
裏をとるというのは、全く難しいことです。


そこで、「つくられた情報」によるこんな映画はどうでしょう?

ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ Wag the Dog
1997年アメリカ バリー・レビンスン監督


監督が『グッドモーニング、ベトナム』や『レインマン』の
バリー・レビンスンで、
ロバート・デ・ニーロとダスティン・ホフマンが共演で、
アン・ヘッチ、ウディ・ハレルスンなど旬(当時)の若手も使い、
キルステン・ダンストが小味の利いた役で登場…
なのに、ここまでおもしろくなかったのはなぜなのか?
私にとっては、はっきり言って疑問の残る1本です。
御丁寧にD.ホフマンは、
アカデミー主演男優賞にノミネートされていましたが、
これも基準がよく判りませんでした。
(受賞しなくてよかったと心から思います)

強いていえば、邦題はいい線行っていたような気がします。
類似(というか用字が違うだけ)の雑誌も実在しますが、
クレームはつかなかったのでしょうかね。
正直、宣伝になると歓迎されるような映画とも思えなかったし…

選挙を前にした大統領のセックススキャンダルが発生!
嘘っぽちの戦争を“勃発”させ、連日その報道をすることで
世間の関心がそちらに向いている間にもみ消すという
非常に大胆な陽動作戦と、
その結末を描いた皮肉なコメディーです。
もみ消し屋をデ・ニーロ、
“戦争”をつくるように依頼される映画プロデューサーを、
ホフマンが演じていました。

素材は最高だし、レシピも間違ってはいない…はず。
そうすると、何かの調味料のさじ加減の問題だったのでしょう。
絶対、もっとおもしろくなったはずの映画だと私は思います。
このままで十分おもしろかったとおっしゃる方もいるでしょうが、
申し訳ないけど、私はダメでした。

戦争のでっち上げまではしませんでしたが、
やはり大統領選挙に絡むスキャンダルもみ消しの話では、
ジョン・トラボルタ主演の
『パーフェクト・カップル』というのがありました。
はっきり言って、これは邦題が×ですが、
映画としては、こちらの方がよくできていたと思います。
(原題はPrimary Colors「大統領予備選挙」の意味とか)
こちらで「もみ消し工作員」を演じたのは、キャシー・ベイツで、
やはり助演女優部門でノミネートされていましたが、
こちらが受賞を逃したことは、かなり惜しいと思いました。

今日はいつにも増して、
個人的に「好きになれる・なれない」だけで書いてしまいましたが、
期待しないで見た映画に限って「拾い物」で、
期待に胸膨らませていると、「あれれ?」というのが世の常です。
そんな「あれれ?」の中でも、
どう考えても、つまらないはずないのになーという、
いわば安心のブランドで選んだはずの映画って、結構ありますね。
そんな映画についての、皆さんのお話も伺いたいと思います。

ところで、評判のよさだけにつられて見にいった作品が、
「金返せ!」の出来だった場合、
これも風説の流布による被害でしょうか?
人の感性までは管理できないものですから、
おもしろいと思う人がほかにいる以上、
泣き寝入りするしかないのでしょうね…


ユリノキマリ |MAILHomePage