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2001年12月12日(水) ムトゥ 踊るマハラジャ 

さて、大御所の登場です。
といっても、スーパースター・ラジニカーントことラジニの出演作は、
昨日既に御紹介済み(『アルナーチャラム』)なのですが、
日本でのインド娯楽映画人気を決定的なものとした作品ということで、
本日、ラジニのお誕生日に御紹介したいと思います。
(それにしても、日本での人気は何となく南インド優勢ですね。
かく言う私も、北インドの作品は、結局1本しか御紹介しませんでした)

ムトゥ 踊るマハラジャ Muthu
1995年インド(タミル語)
K・S・ラヴィクマール監督


「幸せは、象に乗ってやってくる」
3年前、この映画が日本で公開されたときの謳い文句です。
そして、芸術的な美しさの女優ミーナの一枚看板みたいな映画に
見せておいて、実は…というポスターも、
目に焼きついたかのように、よく思い出されます。

この映画のオープニングで使われた曲は、
バラエティー番組などの「インドっぽいもの」を登場させるシーンで
いまだによく使われているので、1度は耳にしたことがあるでしょう。

インドの農村部の大変立派なお屋敷で、
身なりのいい、主人やその家族に当たると思われる人から、
腰に布を巻いた姿が独特な召使と思しき人々まで、
みんなが異口同音に、「ムトゥ!」と叫んでいるところから、
映画が始まります。

ところが、肝心の「ムトゥ」が出てきません。
「ムトゥはどこだ、この大事なときに」
どうやら召使の1人らしいのですが、
よく仕事をサボる困ったちゃんかと思いきや、
彼が登場するや否や、
“スーパースター”という独自のロゴがスクリーンにあらわれ、
改めてテーマ曲が高らかに鳴り、
「♪俺の御主人はただ一人」と歌いながら、
我らがラジニが初めて登場します。

要するに、主人に仕える召使であることを自ら高らかに歌いつつ、
その割に非常に偉そうに馬車を操って登場するのですが、
このシーンだけで延々と5分以上…訳がわかりません。
とにかく、どんな人間も(主人ラージャーでさえも)
彼には一目置いているということが、
嫌というほど思い知らされました。

ムトゥ=ラジニは、行動力があって賢く、だれもが憧れる男です。
ラージャーも彼には全幅の信頼をおき、
自分の趣味の芝居見物にもいつも同行させますが、
実はムトゥには、これが退屈でたまりませんでした。
ある日、主人にいつものようにつき合ったムトゥは、
芝居の退屈さに難癖をつけると、
その何かの口上のような口調が、芝居よりおもしろいと大ウケ。
一方のラージャーは、主演女優(ミーナ)にすっかり夢中になって、
ぜひとも自分の嫁として迎えたいと熱望しますが…。

秘密、家の伝統、謎の人物の出現等、エピソードてんこ盛りの、
(例によって)長い長い映画になっています。
唐突な場面転換による踊りと歌のシーンも、いつものとおり。
もっともそれは、際どいラブシーンが表現できないが故の
代替としてダンスを用いているということで、無理もないのですが、
それがいい味になっています。

この映画を見にいった劇場で、いつもならば
「携帯電話、ポケベルの電源をお切りください」
などとアナウンスが入るべきところで、
「皆さんが今までごらんになった映画とは全く違う作品です。
手拍子、足拍子を入れて、ノリノリでごらんください」
と言われ、そう言われてもちょっと…と思いつつ、
なるほど、かなり高テンションを保ったまま見ることができました。
(おとなしい東北人に、手拍子足拍子を強要されても…)
ストーリーは至極単純ですので、
映画の持ち味だけを存分に味わってお楽しみくださいませ。
見終わった頃には、ムトゥasラジニをまねた、
鮮やかな手ぬぐいさばきを披露できるようになる…かもです。
(ちょうどブルース・リーにインスパイアされて、
ヌンチャクを操ろうとするように…ヌンチャクよりは簡単そうですが)

12月31日、NHK教育テレビでこの『ムトゥ』が放映されるそうです。
これを機会にごらんになっては?


ユリノキマリ |MAILHomePage