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2001年11月21日(水) 潮風のいたずら 

1945年11月21日、
「いつまでも若い」と、
敢えて言わなければならない気がする程度には老けた、
ゴールディ・ホーンが生まれました。
ひょえ、もう56歳ですか。やっぱり若いですね。
では、この作品を。

潮風のいたずら Overboard
1987年アメリカ ゲーリー・マーシャル監督


この映画の製作にも当たったロディ・マクダウェルは、
40年代、『我が谷は緑なりき』などで名子役として鳴らした人です。
この『潮風…』には、G.ホーンの執事の役でも出演し、
わがままお嬢に手を焼きながら、達者に振る舞っていました。

クルーザー暮らしの高慢ちきな大富豪ジョアンナ(G.ホーン)は、
船内に靴箱をつくらせるために
職人ディーン(カート・ラッセル)を雇いますが、
やれ材質が気に入らないの、注文に沿わないのとけちをつけ、
何も知らない田舎者だとさんざん侮辱した上に、
金を払わず、道具ごと彼を海にたたき落とします。

ところで、ディーンは妻に先立たれ、
4人の悪ガキを持て余すやもめ男です。
この間の仕事ではひどい目に遭ったとボヤいていると、
その高飛車女ジョアンナが、
「記憶喪失の女性」としてTVで取り上げられているのを見ました。
彼女は夜中に忘れ物を取りにいって、過って海に落ち、
そのショックで記憶を失ってしまったのです。
これは「復讐」のチャンスだとばかりに、
ディーンは友人の協力も得て、
ジョアンナは自分の妻アニーだと申し出ます。

記憶を失っても性格の悪さは変わらないジョアンナに、
保護していた病院も手を焼いていたこと、
また、ジョアンナの本当の夫が知らん顔をしていたことが幸いし、
ディーンはまんまとジョアンナを自分の「妻」として受け入れ、
子供たちの世話を押しつけることに成功します。

最初は本能レベルで「私は絶対、こんな男の妻じゃない」
と思っていたジョアンナでしたが、
日々ハードな家事に追われているうちに、だんだん態度が和らぎ、
また、偏見むき出しの教師から子供をかばったことで
子供たちの信頼も得て、
すっかり頼れるママとして、ディーンの妻として
人間が練れてゆくのですが、
ジョアンナの母親が彼女の様子を見にくると知った本物の夫が、
しぶしぶジョアンナを探し出し、名のり出たことで、
記憶を取り戻してしまったジョアンナは、
夫とともにまたクルーザーへと戻っていきます…
さて、この後ジョアンナはどうなるのでしょう?

悪趣味な出で立ちで人を人とも思わない尊大な態度、
こんなゴールディもたまにはいいなあと思ってしまうほど、
「嫌な女」ぶりも傑作でしたが、
だんだんと「人間らしく」なってゆく彼女が、やはり見物です。
安物の洗濯機をプレゼントされ、
「まあ、こんな高価なものをありがとう」
と素直に喜ぶ姿など、やっぱり彼女の「地」は、
こういう女性であってほしいと思わせるに十分でした。

ディーンを演じたカート・ラッセルとは、
実生活でもパートナーとのことですが、
撮影当時の「カートは一緒に暮らすには最高の男性だ」
という談話を読んだことがあります。
見た目はベイビーフェイスと言いたいほどに若いけれど、
酸いも甘いもかみ分けた大人の女性らしいせりふですね。


ユリノキマリ |MAILHomePage