ひびき(日々記)
「夢を叶えて 夢になりたい」

2007年03月15日(木) History of D-16

※同内容を画像日記「がれき」では画像つきで掲載していマス♪

先日ある人に「D-16?そんなマーチンあんの?」
久しぶりにそう訊かれたので、僕の本妻さんについて振り返ってみます

1995年、一本のギターがナッシュビルから僕の手元にやってきた

中古のMARTIN D-16(1991年製)だ

フジタスミト&ばんただあきが
まだユニット名を「こたつとみかん」と名乗っていた頃、
僕が鳴らしてたアコースティックギターはオベーションのグレンキャンベル、
大学時代の金持ちな友人が不要になり破格値でゆずってもらったもので、
それに自分で勝手に穴を開け(笑)、もっさいピックアップで鳴らしてた

今はなきカップオブサンで何度かライブをしているうち、
カップオブサンを紹介して下さったカントリーミュージシャンのK.Sさんが

「そのギター(オベーション)おまえの歌と合うてへんな〜、
ワシが見つけたるさかいマーチン一本買え、金ナンボある?」
そう言ってK.Sさんは、僕が思案するスキもなくギターを探し始めてくださった

方法はインターネットでアメリカの中古楽器屋とコンタクトをとり、
個人で輸入するという、当時の僕にしたらまるで????な手段だった(笑)

上限\180,000、それが僕の出せるギリギリの値段
「厳しいな〜、あと5万が出んか?そこまでいったらそこそこの買えるぞ」

正直なところ、なんか楽器を手放せばプラス5万は用立てられた、
しかし僕には一抹の不安があったのだ・・・

アメリカから買う、それも中古、それってちゃんとしてんの〜!?(T_T)
買うまでにいっぺんも触れへんねんで、ホンマにだいじょぶなん〜!?(T_T)
もしアカンかったときを考えたら、そんなにお金出せへんし〜(T_T)

そんな不安をヨソに、K.Sさんは骨を折ってくださって
だいたい15万〜22万くらいの幅で、数点をピックアップしてくれた
D-18,D-28の比較的製造年の新しいものがメインだったが

その中に一本、見たことも聞いたこともないモデルが紛れ込んでいた

ナッシュビルの中古楽器屋から画面を通じて僕らに提供される情報は

・メーカー
・モデル名
・製造年
・画像
・コンディション

そして
・サウンドイメージ

それぞれのギターについて、音のイメージを単語で表現してある
brilliant,excellent,warm,dry,cool
そんな中で、その見たことも聞いたこともないモデルにだけ

「It's LOUD !!」:やかましいっ!!と書かれていた(笑)

ビビビビッとキた!直感的にコレや!と思った

「こ、これにする〜!!!」と勇んだ僕をK.Sさんが制した

「ワシもこんなん触ったこともないんやけど気になったんやわ、
いっぺんマーチンのホームページで調べよう」

アメリカのマーチンのサイトにはちゃんと載っていてスペックも分かった
マーチンの中では当時、下から数えて3番目に安いモデルだったが
K.Sさんいわく、下の2つと比べると明らかに作りが信用出来るものだった
ただ、日本の正規輸入店のリストにはない、日本では販売されていない

※現在は輸入されています、がしかしあんまり人気ないみたい(笑)

「これは賭けやな〜(笑)」とK.Sさんが言った

しかし僕はすでに、今まで抱えてた色んな不安もキレイサッパリ忘れ(笑)
その場で発注をお願いして、約2週間のあいだ到着を待った

「来たぞスミト!おめでとう、コイツはアタリや!」

アメリカの空気のまんまケースから出てきたその音は、まさしくLOUD!
マーチンらしからぬ暴れん坊的な音を発してくれました♪
K.Sさんにお礼を言ってお金を払い、持ち帰った日はホンマに嬉しかったな〜♪

しばらくして日本の湿気にちょびっとしょんぼりな時期があり、
それから回復したところで今度はピックアップを取り付けることにした

僕のステージングの性質上、ピックアップを着けるのは必至

今度は京都の老舗中古屋のY楽器さんへ
スミト「あの〜、このギターにピエゾピックアップを付けたいんです〜」
ご主人「ん?んんん?またこれ、珍しいギター持ってきたね〜(笑)」
そんな会話から始まって、フィッシュマンのプリアンプ付きピエゾに決めた

出来上がってきたら、ブリッジがえらいチューンアップされててビックリ!
ピエゾピックアップはブリッジ下に仕込むので削らなきゃいけないのだけど、
単に下部を削るんじゃなく、弦のあたるとこも各弦細工がしてあった

「電池(9V)付けるとこはここしかあらへんねん、
ま、一生使うて決めたギターやろ?かまへんかまへん(笑)」

いや、もう付けてしもてからそんな事言われても・・・
電池のホルダーの付いた場所は、ギターのシリアルナンバーの上(笑)、
とはいえご主人の言う通りだ、ギターは使ってナンボやもんね、
売るつもりであとあとのことを考えて使うようなもんじゃない♪

ギターへの加工はこれで済んだ

しかし、このギターをそのまんま直でライブハウスの音響につないでも
「べんべらべん」で「びきんばきん」、生音にはほど遠い音しか出ない・・・

どれだけ良い生音がするギターでも、
ピックアップで拾った音はクソ、なんてことはままある事だ
こんなクソ音を「こんなもんでしょう」とライブする気にはなれまへん、
生音をピエゾで拾えるはずも、再現出来るわけもないけれど、
出来るかぎりのところまでは納得のいく音を作りたい

それから僕のアコースティックシュミレータ探しの旅が始まった
Roland AD-5,Roland AD-8,そして今年使い始めたZoom A2.1u、
まだまだ今も旅の途中、これはきっと永遠にたどりつけない旅だろうな〜(笑)

そして同時に、色んなことも試し始めた

切れにくい&チューニングが狂いにくい弦を求めて
じつに様々なメーカー&ゲージの弦を張り替えながら
GHSというエレキの弦で有名なメーカーのものにたどりついた

これまた様々なメーカー&形&大きさのピックを使い倒すうち、
ダンロップのちゃんと店に置いてない非定番のピックにめぐりあい、
「発注するときゃ300枚」なんていうバカな単位で買いだめてあったりね(笑)

言ってしまえば自己満足なだけのハナシなのだけれど(笑)
僕が一生懸命模索した、ギター&弦&ピックの組み合わせは
現状で考えうる最強のコンビネーションだと「信じ込むこと」が、
僕のライブを支える大きなベースになっていると思う

さてさて、
僕の酷使が続いてまる10年が過ぎた2005年の6月、
ギターの各部パーツがいろいろとSOSを発し始めた

ペグ(糸巻き)はギアが欠けたのだろう、回すとゴクンっとなり、
ライブ中にチューニングがやたら狂うようになってきた
フレットは1,2のプレーン弦のところで片減りが激しく、ビビリたおしている

大幅なリペアが必要になってきたのは分かるのだけど、
色んなもんを交換したりすることで、今の音が変わることが怖い
さらに・・・リペアにいったいナンボかかるんかがコワい(笑)

慣れ親しんだ楽器店Studio Moonlightで店長の加藤さんに相談すると、
店に出入りしているギターリペアショップさんに訊いてくれた

・ペグの交換
・フレットの打ち直し(12フレットまで)

当初これだけをお願いする予定でいたにもかかわらず
「どうせやるんやったらキッチリ全部見直しましょう!」ということになり

・ペグの交換
・フレットの打ち直し(全部)
・ナットの交換(プラスチックから牛骨へ)
・テールピース&ブリッジのメンテ

こんだけを、
当初お願いした内容のお値段にちょいプラスでやって下さることになった

リペアを終えて帰ってきたら、当然出音は変わってた
でも、より僕が欲していた音の方向に変わっていて嬉しかった♪

年月を経て、今もどんどん音は良くなっていると思う
この酷使に、いつかはネを上げる日が来るとも思う
かといって、壊れんように弾くなんて器用なマネは僕には出来ません

「こんなん、マーチンて書いたるただのミカン箱や」
むかしマーチンフリークのバカオヤジ(ここ見てませんよーに:笑)が
そう言って罵り、キレた僕のファンに殴られそうになったこともあったな〜(笑)

そんなこともすべてひっくるめた僕とD-16の歴史
これからもコヤツが壊れるまでは刻み続けることが僕の楽しみデス

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ぎたー 詞・曲:フジタスミト

好き勝手にやっている
ところかまわず吠えている
わだかまりひけらかして

穏やかじゃない素振りを
感じていてもおどけて
張り詰めてしまう僕を柔らかくしてくれる

たまにキレて狂いだす
やりきれなくて黄昏れる
おしまいはしどろもどろ

当たり障りのないもの
求める気はさらさらない
色刻みつける君のメロディにシビれてる

こみあげて弾け飛ぶときには

けたたましい音をくれ
暴れさせてくれ

コイツと花咲かせて笑う
コイツと肌さらして笑う
舞い上がる日もドン底の日も
いけるとこならいってみよう

コイツと腹抱えて笑う
コイツと恥さらして笑う
ごり押しの日も尻込みの日も
やれることならやってみよう

たいがい
「裏切りの街角」にも
そろそろ
お互い慣れたし

あきらめておくれ
もはや腐れ縁

艶やかに混ざりあう

鮮やかに絡みあう


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