ウチの実家には かなり立派なお雛さんがある
母ちゃんが嫁入り道具に持ってきた
もともとは 母ちゃんの姉(僕の叔母:故人)のお下がりで 大正もしくは昭和一ケタに作られたものと推測される
今はもう絶えてしまったのだけど 母ちゃんちは京都西陣のでっかい織屋さんだった
なんでも丁稚さんが数人いて 庭には池があって橋がかかってて そりゃあ豪勢なお屋敷だったそうだ
母ちゃんの姉は女学校へ通う際 カバン持ちの丁稚さんを連れていたそうで いわゆる「ええとこのお嬢さん」だったらしい
母ちゃんが言うには 自分の頃はもう戦争でなんもかんもとられて ビンボー極まりない暮らしだったそうな
でもそのおかげで父ちゃんと知り合い 僕は父ちゃんと母ちゃんから生まれた
人生のタイミングはなんとも妙なもんだな♪
そのお雛さんは 妹が小学校を出る頃までは 毎年うちの座敷に飾られていた
その当時でも既に50年近く経ったシロモノだ なんぼ立派なディテールでも年季は入る そのアンティークなオーラに子供はビビる(笑)
しかも母ちゃんは言っていた・・・ 『髪の毛とかはたぶんホンマの人毛やわ』
ワシら兄妹がこんなハナシを聞いて さすがに怖がらないワケがない!(笑)
とはいえビビりつつも
その作りの細やかさ 特に人形以外の小物(螺鈿漆器とか)のキレイさは 今も心に残るほどの素晴らしいものだった
それが妹が中学校に入ったころ お雛さんを飾るという行事がパッタリなくなった
おそらく父ちゃん&母ちゃん的に妹に対して 「女の子」と「女子」の境界を引いたのだと思う
実はそれ以来30余年(こっからがコワいとこ:笑)
ウチのお雛さんは実家の押入れで 『一度も飾られることなく眠り続けている』のだ・・・
「ど、どうする!?髪の毛伸びてはったら!?」 「ど、どうする!?泣いてはったら!?」 「ど、どうする!?箱開けて出たはるかもしれんで!?」 「このせいで嫁入り出来ひんのちゃうか!?」※妹ムコ募集中(笑)
もはや約80年のアンティーク どんな状態になってしまっているか 想像するだけでもういっぱいいっぱいだ
こ、コワい
見事にトラウマになっとるのだな(笑)
けれど僕らの心の端っこには そのお雛さんの素晴らしさが引っ掛かっていて 兄と僕は今度いっぺん勇気を出して飾ろう!と言ってはみる (そもそもお雛さんを飾るのに勇気が要る事がおかしい:笑)
言ってはみるが結局今年も 出さんと終わりそーなんでございます・・・
お雛さん
いや お雛様
ほんとーに ほんとーに ごめんなさい!!!!!!!!!(-人-;)
|