囚はれのシネマ日記
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朝ノートパソコンを開いてまづチェックすること。 あたらしいカフェオレボウルの情報と、シネフィルイマジカの本日のプログラム。 けふはとくに見たい映画はなかつたものの「愛されるために、ここにゐる」の男優が渋くていい男であつたことを思ひ出し、もう一度見る。 この映画の原題は「Je ne suis pas là pour être aimé 」直訳すると「愛されるために、そこにゐない」となり、あまりにもそつけないものだから「愛されるために、ここにゐる」と反語にしたのでせう。 この男優の名はパトリック・シェネ。 検索すると「潜水服は蝶の夢を見る」「変態ピエロ」などに出演した個性派とある。 「潜水服…」は見たけれど、どの役だつたつけ? 「潜水服…」は実話の映画化らしいが、さすがフランス映画と感心する演出が随所に散りばめられた素敵な作品だつた。 主人公はモード雑誌の編集長で、パリで多忙を極めるきらびやかな日々を送つてゐたが、突然の病で全身麻痺となる。 ただし左目だけはまばたきすることができ、そのまばたきを言語療法士が言語に変へることによつてのみ己が意思を伝へることが出来る。 この主人公を助けるのが言語療法士、理学療法士、執筆の秘書。 それらすべてが美しくなまめかしい女性であることが、彼のリハビリへの意欲を支へてゐるのであつた。 感心したのは、こんな身動きできない状況に陥つてしまつた彼ではあるが、彼を献身的に支へる美しい女性たちとの接触に官能的な歓びを見出してゐることだ。 逆説的に云へば、死ぬこともできず、ひどい現実を受け入れて生きなければならないときにも、人間にはなにかしら歓びを見出す、美しい瞬間が与へられるといふこと、恩寵のやうに。 そしてこの、まばたきを言葉に変へてゆく、気の遠くなるやうな作業によつて一冊の本まで書き上げられるのだつた、奇跡のやうに。
「愛されるために、ここにいる」(変なタイトルっ!)は、もう少し小粒ながら同じような境地に見る者を導く正統的なフランス映画でありました。
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