囚はれのシネマ日記
DiaryINDEX|pastwill


2006年08月26日(土) バラード入り江

8月26日の夕方の6時ごろに成田空港を発つ。
およそ8時間のフライトでヴァンクーヴァーに着くのが同じ26日の午前11時ごろ。
ヨーロッパへ行くには直行便でも12時間はかかるのでかなり近いといふ感じがする。
でも日付変更線を超えるのでもう一度半日を繰り返すやうな疲れがある。
飛行機のなかではうつらうつらしてゐたのでとても辛いといふほどではなかつたけれど。
テロ対策のために機内には液体や歯磨きのチューブまで持ち込み禁止だつた。
そのうへヴァンクーヴァー空港での入国審査も念入りのため長蛇の列。
空港周辺にはとくにカナダらしい風景はない。
けれどダウンタウンに入ると港とその対岸のノース・ヴァンクーヴァーの山々がくつきりと見えてきた。
ヴァンクーヴァー自体は小さな街だ。
たとへて言へば横浜みたいな。
それに歴史の浅い国なので私が大好きな石畳の中世の街といふものはない。
広大な国土で見るべきものはカナディアン・ロッキーのやうな大自然なのかもしれない。
ダウンタウンのフェアモント・ホテルで娘と落ち会ひさつそく昼食へ。
大盛りのサラダを目の前にしてまるで食欲がわかない。
やはりパンといふものは味気ないとつくづく思ふ。
日盛りのダウンタウンを少し歩く。
この日は25℃ぐらゐもあるせいか意外に暑い。
ヴァンクーヴァーではめづらしく夏らしい気候のせいか、市民は戸外で日差しをありがたく浴びてゐるかに見えた。
コロセウムのやうなガラスばりの図書館の中庭を抜け、トロリーバスに乗る。
街は埃つぽくさびれてゐて東京のやうに小奇麗で最先端な印象はまるでない。
白人、アジア人 アラブ人 中南米人、インド人、いろいろな人種が混沌と混ざりあふ都市。
その多くは肥満体で大きなアイスクリームをなめてゐる。





スタンレー公園とその西側にあるイングリッシュ・ベイといふ海岸へ行く。
広大な公園のなかは自転車やローラースケートやジョギングをする人でにぎはつてゐる。
巨体をゆらしながら体をしぼつてゐる。
ここはヴァンクーヴァー市民の憩ひの場所。
イングリッシュ・ベイは夕日が綺麗な海岸と言はれる。
でもその海岸ではなく海浜プールでみな泳いでゐるのは鮫でも出るのだらうか。
太平洋を西に見るのは私にとつて生まれて初めてのこと。





4時ごろにウォーター・フロントにあるホテル・パンパシフィックにチェック・インするとき、港に大きな船が停泊してゐた。
これからアラスカへのクルージングへ出航する豪華客船だつた。
まるでタイタニックのやうな。
ホテルも船のやうに海にせり出してゐるので、窓からはバラード入り江とノース・バンクーヴァーが目の前に見える。
汽笛がなり、やがて船はゆつくりと入り江から外海へと出航していつた。





このバラード入り江をはさんでダウンタウンとノース・ヴァンクーヴァーがある。
娘はノース・ヴァンクーヴァーでホームステイをしてゐて、ホスト・マザーはイラン人ださうだ。
私たちは入り江の見えるチャイニーズ・レストランで夕食をとつたのだが、料理ひと皿の量は日本のおよそ2倍はある。
といふわけで私たちは食べきれなかつた焼きそばと春巻き(スプリング・ロールといふ)を包んでもらひ、ホスト・マザーへのお土産とした。
その後ギャス・タウンといふ言はば旧市街をぶらぶら歩いてから、娘はシーバスに乗つて対岸のノース・ヴァンクーヴァーへ帰つて行つた。
ホテルの窓からの夜景があまりにも美しいので、カーテンは開けたままにしてベッドに入つた。
外国へ来るとなかなか眠れない私はこの晩も2時過ぎまでその夜景のひかりをずつと眺めてゐた。


m.m |MAILHomePage