囚はれのシネマ日記
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 つひにあの『あの胸にもう一度』をもう一度みることが できた。1968年の映画でヴィデオにもDVDにもな かつたもの。マリアンヌ・フェイスフルのもつとも美し かりし姿を永遠に残す貴重なフィルム。 もう一度見ると、この映画の風景の美しさには息を呑む ばかりだ。朝まだきスイスのジュネーヴの家をオートバ イで発つた若妻が、国境を越えて愛人の住むドイツのハ イデルベルクまでをひた走る。 雪のアルプス山脈、澄みわたるジュネーヴの朝の空気、 みづみづしい街道の樹木、ながいながい橋、古都ハイデ ルベルグの落ち着いた佇まひ。ハーレー・ダヴィッドソ ンに跨りマリアンヌ・フェイスフルはひたすら走る。 これはロード・ムービーの走りでもあつたのだと気づく。 『イージー・ライダー』は1969年の映画だから、それ より1年先んじてゐたわけだ。時代を反映してサイケデ リックな、わけわかめな映像も混じつてはゐるけれど、 なにかなつかしいやうな、ゆるやかな官能性にひたひた と満たされる。こんなに気持ちのいい映画は久しぶり。 マリアンヌ・フェイスフルはさすがにミック・ジャガー、 キース・リチャーズ、デヴィッド・ボウイの3高峰を征 服しただけのことはある洗練されたミューズとして、一 点の曇りもなくひかり輝いてゐたのでありました。 私と友人は20日の初日に見に行つたので、ポスターを もらへた。28日まで下高井戸シネマでレイトショウ。
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