海を進む
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会社で他の人が席を外していて私が部屋に一人のとき、ある非常勤の男の人が 真っ青な顔で入ってきた。 「いやー、ほんっと申し訳ないんですけど、こんなこと言うのはアレなんですけど、 あのー、いや、申し訳ない、ちょっとアレなんですけど・・・・」 という長い長い前置きの後、お金を貸してほしいと言われた。 なんでも、喫茶店でお金を払おうとしたらお金がなく、下ろしてこようとしたら、 カードがなかったとか。 今払わなくちゃいけないお金もなく、今日家に帰る電車代もないそうな。 仕方ないなー。私だってお金ないけど、お茶代と電車代くらいなら貸そう。 「じゃ、この千円どうぞ。」 とお財布から差し出すと、 「あ、千円・・・」 「私今日千円しか持ってないんですよ。」 「いやー、千円じゃちょっと・・・。」 結局、銀行のキャッシュカードがバッグの中から見つかったようですけど。 お金を全く持たずにお店に入ってしまった彼もみじめな思いをしたと思うけど、 千円しか持ってなかった私も、なぜかみじめだった。 そんなところで財布の中身大公開するつもりなかったのにー。
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