【三志塾】 塾長yoneの授業日記

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2004年09月10日(金) 蜘蛛の糸

平凡な日々を過ごしていると思っていたが、
結構いろいろな事が毎日あるものだと
日記を続けるようになってから思う。

きょうは朝早く、
1階で寝ている母親の「わっ!」という声で目が覚めた。

何事かと思い見に行くと、
母親の部屋に全長20cmはあろうかと思われる足の長い大きなクモが!
すでに母親は殺虫剤をまこうとスプレーを持って身構えていたが、
目の前で生き物が死ぬのを見るのがイヤな私は、
それを制して「外へ逃がそう」と提案する。

ビニル袋を持ってそこにクモを入れようとするが、クモは当然逃げる。
大きいくせに動きはやたらすばしっこい。
上下に、前後に、左右に、斜めに、・・・とチョコマカ動き、
思うように袋に入ってくれない。

クモは逃げる時に糸を出していたようで、
追いかける私の顔や頭にその糸がからむ。
ついに見かねた母親が、クモに向かってスプレーをひと吹き。
あの長かったクモの足が見る見るうちに縮んでいく。
母親が動かなくなったクモをティッシュでつかみゴミ箱へ。
それを横目で見ながら、心の中でクモの冥福を祈った。

クモを見るといつも、私が幼い頃によく聞いた
芥川龍之介の『蜘蛛の糸』の話を思い出す。

天上の極楽から地獄をご覧になっていたお釈迦様が、
生前クモを助けたことのある男を地獄の中で見つける。
地獄に落ちた男と言えどもクモを助ける優しさがある者だということで
天上からクモの糸を垂らしてその男を地獄から救おうとなさる・・・
結末は、クモの糸をつたって地獄から抜け出す途中、
男が「この糸は俺だけのものだ!他の者は登ってくるな!!」と
自己中心的な独り善がりなことを言ったため、
糸がプツリと切れてもとの地獄へ真っ逆さまー!、というお話。

この話を聞いた幼い子は、そのどんでん返しの結末に恐れを抱き、
「自分勝手はダメ。他人のことも考えよう」と、たいてい思う。

例にもれずこの私もその時そう思ったし、今でもそう思っている。
この話を聞いたことで、
幼いながらにも人はどう生るべきかの一端を学んだような気がする。

「クモ1匹を助けるというような小さな優しさが、
  いつかは大きな優しさとなって自分に返ってくるんだ」

幼い頃にそう感じたことが、
「人には親切に」ということを身上とする今の私につながっている。

その意味で『蜘蛛の糸』という話の教育的効果は大きかったわけで、
幼い頃にそれを私に話してくれた人に感謝しなければならないだろう。
この『蜘蛛の糸』を幼い頃に何度も話してくれたのは一体誰だったか?

それは・・・、

今朝、クモにスプレーをかけていた母親だった・・・。


さて、夕方は小6の国語。
熟語の組み立てを中心に学習したが、
漢字や言葉の知識が身についていない子どもが
年々増えているような気がしてならない。
夜は中2理科で確認テストの日。
1分野・2分野とも基礎知識に関してはスラスラと答えていたが、
記述問題で苦戦している生徒が多く、
知識偏重になっていたことに気づき自己反省する。


過去の今日・・・
2002年09月10日(火) 私はもう気にしてないのですが・・・
2001年09月10日(月) 警報出ず、小学生がっくり・・・



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