| 2006年11月12日(日) |
「家守綺譚」ゆかりの地 |
ぐっと冷え込んだお休みでした。 娘は森の子で御所での活動でしたが さぞかし寒かったことでしょう。
でも、こちらの心配はなんのその、 いろんな種類のどんぐりを拾って、 どんぐり笛を吹きながら ご機嫌な足取りで帰ってきました。
さて、「家守綺譚 」を読了しました。 各章が植物の名をもとに成り立ち、 ほんの百年前には、こうして自然と異界の生き物が 人のすぐそばに、ごくあたりまえのように存在していたのだろう…と そう思えてきます。
それにもまして、読んでいくうちに なじみのある地名がたくさん出て来たので、 それでいっそうこの物語に親しみを覚えたのです。
(注:これより先は、未読の方は読まれてからの方が いいかもしれません…m(__)m)
まずは朽木村。 自然が豊かで大好きな場所です。 鯖街道もなじみのある道。 (余談ですが、娘の学校では6年生になると、 夏休みに鯖街道を歩いて、小浜まで行きます。 途中、朽木村の小学校を借りて宿泊するのです。)
一乗寺の狸谷不動山のくだりでは、 あそこでたぬきがよりあっている図を想像して、 思わず吹き出してしまいました。
 ↑ 我が家から見える狸谷山。 その背後の瓜生山の尾根伝いに 叡山から南下して天女を乗せるサルが 通って行ったのでしょう。
あと、牛尾山から石山寺に至るルート。 小学生の頃、瀬田川のすぐ近く、 石山寺まで歩いて行ける距離に住んでいた私は よく遠足やハイキングで、牛尾山に登っていました。
やがて山頂とおぼしき野原に出る
たぶん牛尾観音のある、あそこのことだな…と 古い古い記憶をたどります。 あそこで琵琶湖をながめながらお弁当をいただいたなぁと 懐かしく思い出しました。
遠い昔、小学生の私の山道をのぼっていた時の息遣い、 でこぼことした山道の感触、山の匂いと風の音…、 本を読みながら、よみがえってくるようです。
そして、石山寺の上で 綿貫征四郎が展望のよい場所で月を眺めるところ。 左手に湖、前方にその湖から流れ出る唯一の川、
この場所は、たぶん私が通っていた小学校の少し上のあたり。 男女の一群が登って来た道は、 おそらく螢谷から国分へとぬける道だったのでしょう。
今はそのすぐ下を新幹線と高速道路が走り、 その陸橋からのながめは、 まさしく主人公がながめたものと同じ月が 見られるのではないかと思うのでした。
ところで、主人公の友人の高堂は 萩の浜から出発して、行方不明になったとあります。 これも旧四高のボート部の遭難を思い出させるところです。 (時代設定は物語の方が古いですが…) そして、あのあたりで行方不明になると 死体は見つからない…という話も、 滋賀県民にはなじみのある話。 (私はえせ京都人。根っこはやっぱり滋賀県人だと思う。)
また、この綿貫征四郎が家守する高堂の屋敷が いったいどこにあったのか…それを推理していくのが この本を読んで行く上での楽しみのひとつでした。
山一つ越えたところにある湖 家の北側は山になっていて、 山の裾には疎水が走っている。
…というこのお屋敷の設定。 湖から山をひとつ越え、 疎水の北に山があるところとなると、 たぶん、山科の疎水端なのでしょう。
その後も安寧寺川はたぶん安祥寺川のことだろう…とか、 地図をにらめっこしながら、 お屋敷のあっただろう場所を探しました。(^^;
今度、近いうちに「家守綺譚」ゆかりの地 小関越え〜山科疎水のルートを 何十年かぶりに歩いてみたいなと思っています。
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