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ふと擦れ違った見知らぬ人から、何の脈絡もなく聞こえてきた一言の会話に唐突な気持ち悪さを感じた時、自分の中にあったはずのモノがすっぽり消えている事に気付いた。***工事現場を囲む、大きくて真っ白な防護壁を見た時、小さな衝動が湧きあがった。あの、スプレーで壁に落書きする連中の心理が、ほんの少しだけ判った気がした。***福引の前を通ったら、カランカランカランと盛大な鐘が鳴って嬌声が響いた。今日は止めておこうと思った。