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2004年11月27日(土) 「西遊記」

昨日読了の本

・渡辺仙州 編訳 佐竹美保 絵「西遊記 上中下」偕成社

 ひょんなことで借りることになった、児童向け西遊記。
 子供の頃「福音館古典童話シリ−ズ」の上下を読んだのは覚えているが、
 毎度のことながら内容はほとんど覚えていなかった。
 有名な銀閣金閣の瓢箪の話とか、三蔵が孕んじった話とか、
 覚えてるのか他で聞いたのかすら定かではなく。

 で、今回のこのシリーズ、これがまたなかなかの優れものでしたよ。
 ひとつにはそれなりに子供向けなんで判りやすい。
 でも決して手抜きな内容じゃなく、平易に読める判りやすさ。
 随所にキャラや武器、道具の衣装のイラストが満載で、
 それも出てくるたびに同じイラストと解説が何度でも描かれてるんで
 イメージしやすいし、覚えやすい。

 これはなんというか、出版社の意向だけでなく、
 編訳者のセンスがモノを言ってるんじゃないのかなぁ…
 と思わせるのが、編訳者氏の経歴。

 1975年生れ。
 同志社国際高校から、同志社大学へ。
 工学部電気工学科から同大学院工学研究科数理環境科学専攻。
 2001年3月現在、京都大学大学院工学研究科博士課程に在学中。

 って、どうよ!
 完全に理科系の人ですやん!
 かなり意外… とはいえ、完全文系の学者風の人じゃないぶん、
 逆に変にのめり込まない判りやすい文章になるのかも。
 ちなみに小学校2年から中学3年まで北京に住んでたそうなんで、
 現地の元々の西遊記といろいろ接していて、
 その辺りも知識の裏付けがしっかりしてる要因なのでしょう。

 判りやすかった分、いろいろと意外だったことも発覚。
 その最たるが、あの三蔵が乗ってた白馬。
 こいつ、あんなに性格悪かったんかい!
 知らなかったよ。
 沙悟浄は河童じゃなかった…というのも忘れてました。
 というか、中国には元々、河童なる生物(?)は居てないのね。
 ゆえに、沙悟浄が河童では有り得ない。
 つか、すっげクソ真面目…。
 そして、猪八戒が黒豚、というのも発見でした。
 あれが一般に白豚なのはイラストレーターの事情…というのが
 ライトの解説にあって、これも目からウロコ。

 佐竹美保というイラストレーターには憶えはないのだが、
 これがまたちょっとマンガチックでなかなかに可愛い絵。
 衣装付けてない単なるお猿な悟空なんかたまらなく可愛いですよ。

 巻末にはイラスト入りの人物辞典もついていて便利です。
 西遊記入門版としてはもってこいの3冊組でありました。


 ちなみにこの編訳者、あの封神演義も書いてます。
 うっかりまた借りちまったよ!(笑)


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