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作日読了の本
・竹内真「図書館の水脈」メディアファクトリー
最近いささかあと一歩…な感が強かった竹内の、 これは新機軸だと言っても良いと思う。 「本の紹介」を小説で…という一種のメタちっくな手法なのだが、 メタものの苦手な私でも、これは悪くなかった。 というか、なかなかの出来だと思える。
視点は2つ。 若い本好きなカップルと、図書館に棲む男。 若いカップルはお互いに本の紹介をし合う。 男は本棚で本を見つけ、昔からの読書暦を披露する。 その別々だった2組が、ある本を巡って別方向から交錯して行く。
見事なほどに、出てくる本出てくる本、 ほとんど皆無と言っていい程読んだ事が無いのに、 読んでなくても全然困らない、 でもちょっと読んでみたい…そんな気にさせてくれる。 (あ、でも有名な本ばっかりです。)
人の縁というものか、単なる偶然なのか、 出てくる地名の方は何故かほとんど知っている。 というか、身近に見知っている地名。 一ヶ所ではなく、まるで離れた幾つかのポイントなのに、 その事如くを知っている…という感覚が、 この本をより不思議なものにしてくれた。
と言うわけで、四国へ行く前には、 「海辺のカフカ」を読んでおけば良かったかなぁ…と思う、 今日この頃なのであった。
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