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2004年10月31日(日) 「図書館の水脈」

作日読了の本

・竹内真「図書館の水脈」メディアファクトリー

 最近いささかあと一歩…な感が強かった竹内の、
 これは新機軸だと言っても良いと思う。
 「本の紹介」を小説で…という一種のメタちっくな手法なのだが、
 メタものの苦手な私でも、これは悪くなかった。
 というか、なかなかの出来だと思える。

 視点は2つ。
 若い本好きなカップルと、図書館に棲む男。
 若いカップルはお互いに本の紹介をし合う。
 男は本棚で本を見つけ、昔からの読書暦を披露する。
 その別々だった2組が、ある本を巡って別方向から交錯して行く。

 見事なほどに、出てくる本出てくる本、
 ほとんど皆無と言っていい程読んだ事が無いのに、
 読んでなくても全然困らない、
 でもちょっと読んでみたい…そんな気にさせてくれる。
 (あ、でも有名な本ばっかりです。)

 人の縁というものか、単なる偶然なのか、
 出てくる地名の方は何故かほとんど知っている。
 というか、身近に見知っている地名。
 一ヶ所ではなく、まるで離れた幾つかのポイントなのに、
 その事如くを知っている…という感覚が、
 この本をより不思議なものにしてくれた。

 と言うわけで、四国へ行く前には、
 「海辺のカフカ」を読んでおけば良かったかなぁ…と思う、
 今日この頃なのであった。


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