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昨日読了の本
・松浦理英子「親指Pの修業時代 上下」河出文庫
これも発売当初かなり話題になった問題作である。 某所でちらっと触れていて、こちらも偶然目に付いたので読んでみた。
ある午睡から目を覚ましたら足の親指が男性器になっていた女性の、 変化と成長の物語…とでも言うと極めてキワモノ的だが、 文字通りキワモノな物語ではあると思う。 こういうのが駄目な人は徹底的に駄目だろう。
が、この全編に渡る、ほとんど全ての設定がキワモノと言った感じの、 しかも性的描写のオンパレードなこの作品が、しかしちっともポルノチック に感じられないのは、内面的な部分に非常に重点を置いて書かれている からだろう。
恋愛というものが、性愛というものが、決して型にはまった一辺倒な ものでは無い…という事を、普通では経験できない極限的状況を追体験 する事で考えさせてくれる… そんなイメージの物語だと思った。
キャラクターの性格のひとつひとつに、実在の身近な知り合い達の性格との 共通性を見たような気がした。どこか醒めたような淡々とした語り口で、 性愛への想いや考え方の個性を、決していやらしく感じさせずに教えてくれる、 そんな感覚があった。
読みながら、誰かと触れ合いたい…と思った。 そう思える物語というのも良い物だ。
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ただ、気をつけねばならないのは、そのキワモノの実態というものは、 いくら説明されても本当にわかる物では無く、これを読んでこういうものだ… と勝手に思い込んだり、わかった気になったりしてはならない…という事。
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で、実はこの文章を書く為にあちこち見直していて、変なものを発見してしまって、 内容よりそっちの方が気になってしまいました。
手持ちの本は、河出文庫版の初版なのですが、この版の帯とカバー裏の紹介文では 親指Pが「左足」となっているのですよ。 中の文章では「右足」なのに…。
ちなみに羊さんはずっと「左」だと思い込んでいたらしいです。 でも、羊さんの持ってる本は河出文庫の8刷くらいのやつで、 残念ながら帯とカバーは紛失してましたが本文は「右」でした。 蜂さんはハードカバーで読んで「右」だった記憶があるそうですが、 実物は持っていないそうです。
文庫本の初版という事で、単なる誤植の可能性が高いのですが、 でも、帯とカバーって印刷タイミングとかチェックとか、全然違うものなのでは?とか、 ハードカバーの時点でもあれだけ売れて、本文中では傍点まで付けて 「右」を強調しているものを、間違えるだろうか?という気もするんですよねぇ…。
もしかして、雑誌掲載時(「文藝」1991年夏季号−93年冬季号)には、 「左」だった…なんて事があったりした…とか?
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という訳で、公開調査です!(いきなり。しかも勝手に…!)
もしお手持ちの「親指Pの修業時代」がありましたら、親指Pが「右」か「左」か チェックして頂けませんか? 特に文庫版をお持ちの方は、帯とカバーに着目を! 万一本作掲載の「文藝」を持っている…という方、居られましたら雑誌では どうなっているのか教えてください!
もし、これは…という情報がありましたら、形態(ハードカバー/文庫/雑誌の別)、 第何版・何刷、場所(本文/帯/カバー)などを明記して、 掲示板かこの下のフォームから、是非是非お知らせくださいませ〜。
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という訳で、羊様、蜂様、情報ありがとうございます!
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本を求めて何千里…。 本屋4件と図書館をはしご。
北村の足りないシリーズを埋める。 芦辺を予約する。 でも… クビは見つからず、泣きながら帰る…。 こないだは見かけたのに、出遅れたか…。 あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 気になるよぉぉぉぉぉぉぉ!(じたばた)
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何となく暗い目の雰囲気が嫌になったので、 掲示板の壁紙をまたぶ〜たのおいどさんに変えてしまいました。 ぼちぼちまた何か描かないとねぇ…。
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