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暫く、某所のweb小説に浸ってました。 どこ?というご質問にはお答えしません。 ただ、腐れ方面… とだけ。
小説って、物語って、こういうものなのか…と、改めて思っています。 そこに描かれているものは、人間の苦しみ、悲しみ、そしてホンの些細な幸福。 小さな、ささやかな出来事の中にある、葛藤、感情の変化、想いの数々。
以前、自分は小説なんか書けない…と思っていた頃読んでも、 きっと面白かったし、切なかったし、胸が詰まったかもしれない。 けれど、1本2本、何かしら書いて、あぁ、自分も書けるんだ… と思ってから読むと、ここまで…と思える程の衝撃。 それは、その書き方、描かれ方の凄さが見えるようになったから。
読むほどに見えて来る、洞察力、観察眼、生き物や子供達への深い愛情、 そしてそれらを目の前に再現してくれる言葉、ことば、コトバ…。
人間達の、単純に見えて実は複雑な心の襞、自然の息を飲む美しさと 淀む汚濁と、闇に潜む恐怖、そして記憶の彼方に葬られていた筈の 幼き日々見つめていた低い目線と好奇心の思い出…そういうモノ達を、 その都度違う単語と表現で、熱と湿度と湧きあがる想いを伴って体感させてくれる。
いつも感じているのに、言葉にする事をしない、取るに足りない出来事、 そのひとつひとつを拾い集めて、綺麗に洗って、くるくると回して見せる。 見る角度と、光の当たり具合の変化で見えるいろんな色を、知っているけれど 知らない言葉の糸で繋ぎ合わせ、織り上げ、出来上がったその形を眺めると、 あぁ、そうだね、人間ってこうだよね、こんな事もあったよね、こういう 想いの塊で生きてるよね…って、思い出させてくれる。
見なければ書けない…というのを実感しました。 見たもの、感じた事を言葉にする、その言葉が余りにも足りないと思いました。 これはもうどうしようもないかもしれないけれど、経験してきた些細な日常の 記憶の引き出しが、多くなければならないと、痛感しました。
外に出なければ…と思いました。 もっと、いろんなモノを見て、描いて、感じ取って、引き出しを増やさねば…と。 そして、言葉を探す旅もしなくては…と思いました。 今、これだけの文章を書くのですら、適確な言葉が浮かんでこない自分が歯痒いのです。
自分にも書ける… そう思ってから、1本2本書いたところで書けなくなった… その理由が、何かふと書きたくなっても書けない…理由が、解った気がしました。 それに気付かせてくれた、こんな風に思わせてくれる小説に、出会えた事、本当に感謝。 言葉を紡ぎ出す力って、ある意味、出版されてる小説達より巧だぞ…と、そう思います。
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MTR様>昨日頂いたアドの方に、短信致しました。
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