ひとりアライグマ同盟バナ 朶話事 たわごと

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2002年06月20日(木) 言の葉

暫く、某所のweb小説に浸ってました。
どこ?というご質問にはお答えしません。
ただ、腐れ方面… とだけ。

小説って、物語って、こういうものなのか…と、改めて思っています。
そこに描かれているものは、人間の苦しみ、悲しみ、そしてホンの些細な幸福。
小さな、ささやかな出来事の中にある、葛藤、感情の変化、想いの数々。

以前、自分は小説なんか書けない…と思っていた頃読んでも、
きっと面白かったし、切なかったし、胸が詰まったかもしれない。
けれど、1本2本、何かしら書いて、あぁ、自分も書けるんだ…
と思ってから読むと、ここまで…と思える程の衝撃。
それは、その書き方、描かれ方の凄さが見えるようになったから。

読むほどに見えて来る、洞察力、観察眼、生き物や子供達への深い愛情、
そしてそれらを目の前に再現してくれる言葉、ことば、コトバ…。

人間達の、単純に見えて実は複雑な心の襞、自然の息を飲む美しさと
淀む汚濁と、闇に潜む恐怖、そして記憶の彼方に葬られていた筈の
幼き日々見つめていた低い目線と好奇心の思い出…そういうモノ達を、
その都度違う単語と表現で、熱と湿度と湧きあがる想いを伴って体感させてくれる。

いつも感じているのに、言葉にする事をしない、取るに足りない出来事、
そのひとつひとつを拾い集めて、綺麗に洗って、くるくると回して見せる。
見る角度と、光の当たり具合の変化で見えるいろんな色を、知っているけれど
知らない言葉の糸で繋ぎ合わせ、織り上げ、出来上がったその形を眺めると、
あぁ、そうだね、人間ってこうだよね、こんな事もあったよね、こういう
想いの塊で生きてるよね…って、思い出させてくれる。

見なければ書けない…というのを実感しました。
見たもの、感じた事を言葉にする、その言葉が余りにも足りないと思いました。
これはもうどうしようもないかもしれないけれど、経験してきた些細な日常の
記憶の引き出しが、多くなければならないと、痛感しました。

外に出なければ…と思いました。
もっと、いろんなモノを見て、描いて、感じ取って、引き出しを増やさねば…と。
そして、言葉を探す旅もしなくては…と思いました。
今、これだけの文章を書くのですら、適確な言葉が浮かんでこない自分が歯痒いのです。

自分にも書ける… そう思ってから、1本2本書いたところで書けなくなった…
その理由が、何かふと書きたくなっても書けない…理由が、解った気がしました。
それに気付かせてくれた、こんな風に思わせてくれる小説に、出会えた事、本当に感謝。
言葉を紡ぎ出す力って、ある意味、出版されてる小説達より巧だぞ…と、そう思います。

***

MTR様>昨日頂いたアドの方に、短信致しました。


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