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2002年02月21日(木) 映画『化粧師─kewaishi─』

何が腹が立つと言って、映画版「指輪物語」の日本タイトルである。

これ、元題は「THE LORD OF THE RINGS」。指輪たちの王、という意味である。

エルフに渡った三つの指輪、ドワーフに渡った七つの指輪、
そして人間に与えられた九つの指輪…、それら全てを統べるのが、一つの指輪。

それを日本タイトルでは「ロード・オブ・ザ・リング」とやる。

違うだろう?! 指輪は複数なの! でなきゃ、意味が通らんて。
それと、頭の「ザ」を省略すな!

そもそも、昔から邦訳題名として「指輪物語」という立派な名前があるんだから、
格好付けて英語風タイトルなんかにしなくても良いやん!

わざわざ間違ってるしぃ…。


***


映画『化粧師─kewaishi─』


化粧師は人を見抜く。
時代を見抜く。

人とモノの本質を見抜いて、それを炙り出している。
黙って、人と人の流れを見つめている。
余計な事は語らない。

ただ、見抜いた物を、顔にのせていく。

  +++

石森章太郎の時代物には、人を見抜く者たちが多かった様に思う。
「さんだらぼっち」の“とんぼ”しかり、
「佐武と市捕物控」の市しかり。

残念な事に、石森章太郎の「化粧師」は読みそこなっているのだが、
「化粧師」もまた、一連の時代物に連なる、人を見抜き、人の本質を炙り出し、
そして、人を癒す… そんな人間達の物語だったのだろうと思う。

  +++

石森章太郎の、特に時代物は、どこか生々しい。
温度と湿度と空気の密度を、時に過剰に演出しているかと思える程に。
そして、それが、体感的な気持ちの悪さでもあり、
また反面、見事なリアリティと心情描写であったと思う。

しかし、映画「化粧師」には、そういう生々しさは、さすがにあまり無い。
画面全体を吹き抜ける爽やかな風は、独特の石森色とちょっと違って見えた。
しかし、石森の描く人情と色気は、確実に表現していたと思う。

ただ、あまり濃密な画面が少ない中で、椎名桔平と菅野美穂の絡みだけは、
非常にエロティックであった。
いや、決して「絡み」では無いのだが、しかし、あれは絡み以上の絡みだった。

  +++

そして、椎名桔平に惚れた。
彼は、目で演じる。

TVドラマ「アンティーク〜西洋骨董洋菓子店」で、
物言わずに語る椎名がとても気になったのだが、「化粧師」でそれを一層感じた。

また一人、お気に入りの俳優が見つかって、嬉しい限りである。

  +++

そして、佐野史郎。嬉しそうでしたねぇ。
いやいや、趣味と実益を兼ねて…というのは、正にこういうものかと思いましたよ。

  +++

それにしてもお客さん、
折角の美しい化粧の直後、そないに泣いたらあきまへんで…。


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編集… ぼちぼちです。
今夜中に、最初のをupできるかなぁ…。


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