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ライブが終わったのは今から何時間前だっけ・・。 今はそれとは全く違った空間−バーのカウンターに肘をつき、似合わないダイキリなんかをちびちび舐めている。 店に流れる音楽もそこに流れていたそれとは違った黒人の物悲しい歌声が、グラスの氷が溶ける音やオイルライターの火を擦る音なんかに混じって、まるで何かを訴えるかのように心の中にすっと入ってくる。 アルコールがほどよく体中に回り始めた頃、ちょうどレコードが終わった。この店で俺が声を発するのは、注文する時と店を出るときだけだ。 「マスター。もう悲しいブルースはやめてくれ」と小さな声でつぶやいてみる。 期待はあっさり裏切られた。ダイキリをもう一杯注文して一気にそれを飲み干して店を出た。 通りはまだ暗く、街頭のほのかな明かりは、夜はまだ終わっていないと言いたげだった。 路地裏の陰で少し吐いて、とぼとぼと歩き出した。 「俺たち日本人は幸せなんだよなぁ」 むせび泣くような女の歌声がしばらく耳から離れなかった。
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